Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

999回のキス 1


夏休み、16歳の高校生愛は、学校のテニス部の
先輩や同級生と千葉の海岸の民宿に行くことになった。
男子の先輩、吉澤、大谷。クラスは違うけど、
同じ学年の後藤。女子は同じクラスの里沙と
麻琴。この6人だけで行くはずだった、

しかし、中学生の妹のさゆみが、

「お姉ちゃん!私も行きたい〜!」

この妹のさゆは何でも姉の愛について行きたがる、
実は、愛は密かに憧れている吉澤先輩と一緒に海に
行くことを楽しみにしていたのだ。
そんなところに妹のさゆがくっ付いてくると邪魔で
しょうがない。

愛が、ダメ!連れて行かないと言うと、さゆは
泣き叫んで、どうしても連れて行けと大騒ぎになる。
結局、母にも言われ愛は渋々さゆを連れて行くことに
なった。

そこで、愛はさゆに言い渡した、

「絶対に私の邪魔をしないこと。自分の世話は
自分ですること。みんなの前ではおとなしく
してること」

さゆみは大喜びで、言う通りにすると誓った。
そして、
「大丈夫、お姉ちゃんと吉澤先輩の邪魔はしないよ。
あ、そうだお姉ちゃんが言えないのなら、私が
お姉ちゃんが好きだってことを先輩に言って上げるよ!」

「なにお〜!よけいな事はせんでええー!!」

愛が怒って手を上げると、さゆはあわてて逃げ出す。
愛は、こんなことでは先が思いやられると、
今から心配でしょうがなかった。


テニスの部員仲間6人に、愛の妹さゆみを入れて
7人は海岸近くの民宿に到着した。
これから二泊三日の海での毎日が始まる。

皆はさっそく水着に着かえて海水浴場へ行って見る。
砂浜に入った所に、大きな看板が立っていて
注意書きが書いてある。
愛は、何げなく読んでみると、

『この海岸には、ミヨという沖へ向かう
離岸流があります。このミヨに乗って流されてしまうと、
どんな泳ぎの上手い人でも逃れられなくて、沖へ
流されてしまうので、絶対に近寄らないこと。』

すると、さゆが愛の手を取って、
「お姉ちゃん、早く行こう!」
さゆは嬉しくてたまらない様子で、愛の手を
引っ張って海のほうへ行く。

「ほら!お姉ちゃん、海だよ!」
「わかってるって、海に来たんだもの海があるのは
あたり前だって」
「そうだね〜」

愛は、妹のいかにもきつそうな水着を見て、
だから、そんな小学生の頃の水着なんてどうして
持って来たのかと言うと、
さゆは、そのピンクの水玉の水着が大好きなんだと
意に介さない。

愛とさゆは大谷や里沙と麻琴のところに行く。
行きの電車の中でもさゆは大はしゃぎで、
頭の上で両手の指を開いて、うさちゃんピース
やって、皆を笑わせていた。

愛はさゆを皆にまかし、吉澤先輩を探すと、
先輩は水着に着替えてなくブラブラと歩いている。
愛は先輩の側に行くと、

「先輩〜泳がないんですか」
吉澤は、愛の水着姿にちょっとまぶしそうな顔をして、
「ああ、泳ぐのは明日からたっぷり出来るからな」
愛は、思い切ってビキニの水着を着てきたのだ。

愛は、腰を降ろした先輩の側に自分も腰を降ろす。
色々先輩と話をして、いいムードになって来た時、
さゆが後ろから、愛の首に両手をまわしてくる。

「お姉ちゃん〜!一緒に泳ごうよ〜」
「もお〜、あっちに行ってろって言うのに」

さゆはかまわずに先輩に向かって、両手を頭にやって、
うさちゃんピースとやって、先輩を笑わせる。
夜は、皆で花火をやることになった。


7人全員での賑やかな夕食を終えると、買って来た
花火を持ち寄って砂浜へ向かった。
昼には海へ出てこなかった後藤も誘われて出て来た。
女子は手持ち花火で遊び、男子の吉澤や大谷が、
ヒュ〜〜、ドン!と、打ち上げ花火を上げると、
女の子たちが、キャッーと楽しそうに悲鳴をあげる。

愛も線香花火を楽しんでいると、麻琴が側に来て、

「ねえ愛ちゃん、妹のさゆみちゃんあのままでいいの」
麻琴の指差す方を見ると、皆から少し離れた所でさゆが
ひとり、ぽつんとかがみ込んで花火を見ている。

「いいのいいの。あの子花火あんまり好きじゃないの」
そう言うと愛は皆のところへ行ってしまう。

実は、花火に行く前に愛はさゆにひとりでおとなしく
しているようにと、少しきつく言い渡したのだ。

それでも麻琴は、手持ち花火を2、3本持ってさゆの
ところへ行き、さゆにひとつを渡して火をつけた。
さゆも嬉しそうに手に持った花火を見つめている。

宿に帰り、お喋りも一段落ついて明日に備えて休む
ことになり、女子たちは部屋に布団を四つ並べて
寝ることになった。
愛の隣の布団に入ったさゆは、中々寝付かれない
ようだった。こうして親元を離れて一晩を
過ごすのは初めてなのだ。

夜中に愛がふと目を覚ますと、さゆが愛の布団に
もぐり込んで来てるのに気がついた。
さゆは愛の背中に顔をつけて寝息を立てている。
愛はさゆの方へ体を向けると、その髪の毛を撫でた。
なんだか、昨夜はさゆをほって置いてしまって
悪い事をしてしまったと思う。

早朝、愛が顔を洗っていると、さゆが部屋に
戻って来て、

「お姉ちゃん!ちょっと来て!海が変なんだよ」
さゆに手を引かれて、何だよ〜と愛が行って見ると、

「ほら、昨日のお昼はずっと向こうの方まで
砂浜を歩いて行けたのに、今朝見たら波がすぐ
そこまで来てるよ!どうしてなの?」

愛は呆れたように、
「もお〜、さゆは満ち潮も知らないの、昨日のお昼は
引き潮だったので波は沖の方まで引いてたけど、
今朝は満ち潮になって潮が満ちたので波がすぐそこまで
来たんだよ」

「そうなんだ〜。でもどうして海が満ちたり引いたり
するの?」
「それは・・・その〜」
愛は返事に困ってしまう、

すると、

「それは月の引力のせいなんだ」

愛とさゆがその声に振り返って見ると、
そこには、後藤が立っていた。
彼はそう言うと、さっさと行ってしまう。

後藤は普段は無口で、いつも皆の話を聴いてる
だけだった、でもテニスは上手くて吉澤なども
一目置いている存在だ。
さゆはそれを聴いて、

「そうなんだ、お月さんのせいなんだ。じゃあ月にいる
かぐや姫うさちゃんたちに言って海を上げたり
下げたりさせてるかもしれないね」

と言って、得意のうさちゃんピースをやって見せる。

愛は呆れ返って、

「もお〜ひってあほきゃ〜!中学生にもなって
そんなことばっかり言ってるとホントのバカだと
思われるよ!」

「そんな事ないもん〜今日も可愛いぞ〜♡」
「あ〜あ、こん子は頭がのくてぇじゃぁ〜!」

その時、麻琴や里沙がやって来て、どうしたの?と
聴いて来たので、愛はあわててさゆの手を引いて民宿の方へ
戻った行った。

午後になると、7人揃って水着に着替えて砂浜に
出て来た。


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