Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

Twitter小説 一

芝生とトランペット

第一章
月曜、高校の昼休み。舞美を昨日渋谷で見たよ。
「見たのなら声かけなかったの?」 
だって二人でデート。
「デートじゃないよ彼が妹の誕生日プレゼントを選んでくれって」
そういうのがデートなの。
「違うよ」
私は一人だけでお買物。
「今度一緒に行こうよ」
ねえ私って舞美の何。
「愛理は私の一番の親友だよ」
私が舞美を想う気持ちは、親友以上恋人未満。
究極の片想い。







部屋で舞美と一緒。舞美と観るテレビは楽しい、
舞美とお喋りはすごく楽しい。そんな一日のはずが舞美の携帯が鳴る、
「あ、キャプテン」舞美の彼は野球部のエースでキャプテン。
舞美はその女子マネ。
「愛理ごめん!彼が練習試合の交渉に私も来てと言うの」
私がうなずくと舞美は出て行った。寂しさで唇を噛み締めた



強豪校との練習試合、私も応援に行く。
エースの彼が良く抑えるも試合は 9回の裏で0対3。
相手は控えの投手を出す、それで2死満塁。
次の3番打者は前の守備で足を痛めて退場していた、
部員は9人だけ。彼が相手の監督に頭を下げていた。
そしてなんと舞美がバットを下げて打席に向かうのが見えた



私は舞美が毎日バットを振っているのを知ってる。
懸命に声援をする。でもたちまちツーストライク。
舞美はベースに被さる。次は彼の打順。スリーボール、
投手は仕方なく真ん中に投げてくる。
鋭く振った舞美の打球はライナーとなって外野の頭を超える、
走者が帰ってくる、舞美は速くも3塁を回る、



制止を振切り舞美は本塁へ向かう、返球が捕手に戻る中、
舞美は頭から本塁へすべりこんだ。審判の右腕が高く上がった。
倒れたまま動かない舞美の元へ私は真っ先に走った、
舞美は右腕を押さえて苦痛に顔を歪める、
彼のために打席に立ち怪我した舞美を見て涙が溢れ出した、
気がつくと私を見つめる舞美。


舞美は腕の骨折の為一晩だけ入院して翌日には帰宅していた。
私は下校するとその足で舞美の家に行った。
骨折は案外軽くギプスもなく一応包帯で吊ってはいたけど、
舞美は元気そうだった。明日にも学校に行くと言う。
もっと休めばいいのに、私なら一週間は休むな。
「私は愛理みたいに暇じゃないの」



リンゴを剥いて、ア~ンして。「よして、片手は使えるんだから」
いいからア~ン。
昨日の走塁に、なんで無理をするの同点なんだから3塁に止まって
彼の打撃を待つのよ。「なんでそんなに野球に詳しいの?」
それは、高校野球ぐらい見てるからよ。
舞美が女子マネだから自分も野球を勉強してる事は言えない


夜まで居座って舞美の世話をこまごまと焼く。「大丈夫だから」
と言う舞美を無視して。舞美の世話は楽しい事を知る。
ソファーで一休みしてたらふと眠くなる、
昨夜は心配で眠れなかった。視線を感じて目が醒めた。
目を開けると舞美がじっと見つめている。
なんだか恥ずかしくて赤くなる



帰り道、お婆さんが倒れて側に中学生の女の子が付いている。
どうしたの?声を掛けてみると、
「自転車にぶつけられたんです。その人は逃げたみたいで」
ACの広告みたいだ。
病院に連れてった方が?「でも家へ帰ると言うんです、
私携帯忘れたので電話できなくて」
私の携帯から電話してあげる。



少しして、家の人が車で来てお婆さんを乗せて行った。
女の子は私に頭を下げた。私は何にもしてないよ。
「電話をありがとうございます。S高校の方ですね」制服なので。
「私のお兄ちゃんもS高なんです」なんか変な予感がして、
まさか野球部とか、
「はい。キャプテンです」ええ~~~?!



翌日、あの感心な女の子の兄、舞美の彼が電話を掛けてきた。
なぜ私だとわかったのか、
彼の妹が私の鞄のネームで名前を知った事。目ざとい子。
練習試合で覚えられたわけで、番号は舞美に聞いたと。
電話を切った後、あの女の子が忘れて行ったハンカチを見る、
KANON』と刺繍してた。



第2章

中学2年の夏、舞美は突然私の前に現れた。転校してきたのだ。
体育で一緒に走った。舞美は楽々私を引き離して行く。
プールで泳げない私を尻目にゆうゆうと50mを泳ぎきる舞美。
そんな舞美を好きになった。
思い切って私と友達になってと言った。
「いいよ。愛理」それから私達は親友になった



いつも私達は一緒だった。学校が終わると手を繋いで帰った。
皆の前でもかまわず舞美にべったりとくっ付いていた。
部屋で舞美が本を読むと後ろから抱くように覗き込む。
頬が付いて舞美の息を感じるのが好きだった。
修学旅行で皆でお風呂に入った。
触れた舞美の肌が心地よかった。そして卒業



舞美と一緒の高校へ行こうと決心して、ひたすら勉強をした。
気がつくと夜が明けていた事もあった。
合格して「おめでとう」と舞美に言われて泣きながら抱き合った。
入学した二人の前に彼が現れた。
舞美は女子マネになって二人は接近して行った。
私にはどうすることも出来なかった。



第3章
視線を感じる。誰の視線かわかってる。
視線の先に舞美がいる。そのくせ私が近づくと目をそらす。
前には無かった事だった。
あの練習試合以降何かが変わったような気がする。
帰り道、舞美と別れる場所に来た。急に思い立って舞美の手を取った、
今夜は私の家にお泊りしよう。舞美は首を振った



今夜は私の家にお泊りしよう。「今日はダメだよ」
いいじゃない、舞美の手を取って離さない。
私の目をじっと見つめてくる。私も見返した。
私の気持ちをわかってよ。そんな気持ちをこめて。
少しして、「いいよ。愛理の家にお泊りする」
嬉しくて舞美の手を振り回した。
手を繋いで私の家に向かう。
今夜は何かが起こりそうな予感がする



家に帰るとパパがいた。プロゴルファーのパパは優しくて私は大好き。
舞美が挨拶するとパパは笑顔で迎えた。
一度だけパパと舞美の3人でゴルフのラウンドをした事がある。
舞美は初めてなのに100を切ってパパは驚いていた。
女子プロになれると言われても舞美はその気は無いみたい。


パパは今夜はスポンサー主催のパーティがあるから
ママと一緒に出掛けて今夜は遅くなると言う。
舞美がお泊りすると言うとパパ達は安心して出かけて行った。
夕食はママが材料を買っておいてくれたので
カレーを作る事にする。
舞美と一緒に料理するのは初めてなので
新鮮な感じですごく楽しい。



舞美が意外に料理が上手いの知った。
美味しそうなカレーとサラダが出来上がる。
いつになく舞美は口数が少ない。
二人だけの夜を意識してるみたい。
食事が終わり食器洗いは舞美にまかせて私はお風呂を入れる。
戻って食器を拭きながら、一緒にお風呂入ろう。と言う。
舞美は顔を上げて私を見た。



「何を言い出すのよ」舞美は呆れた声を出した。
舞美の腕を取ると甘えた声で、いいじゃない一緒に入ろう。
「気持ち悪いから止めな」あくまで舞美は拒否の姿勢をくずさない。
そこで、舞美の事をお姉さんだと思ってる、
私は一人っ子だからお姉さんと一緒にお風呂入るのが夢だったの。



舞美は疑わしそうだ。舞美を姉と思う気持ちに嘘はない。
背が高く、スポーツも勉強も出来る舞美は姉のように頼もしい。
やがて舞美は笑みをもらすと「わかった。愛理一緒に入ろう」
私は嬉しさで飛び上がると、お風呂場へ行き湯加減を見る、
実は私が欲しいのは姉では無い事を隠していた。



「先に行ってるよ」舞美は脱衣所に入るとドアを閉めた。
本当は、私の方がドキドキしていた。
小さい頃はパパやママと一緒に入っていたけど、
大きくなってからはいつも一人だった。
脱衣所のドアを開けて、固まってしまう、
舞美がそこに全裸で立っていた。
舞美は私を試すように見つめる。



手足が長くスラリとした舞美の肢体はとても綺麗だった。
舞美は私をうかがうように見ていたが、
私が脱ぎ出すとお風呂場へ入ってガラス戸を閉めた。
正直自分の体に自信はないけど、
思い切って裸になって中へ入った。




入ると舞美はシャワーを浴びていた。
私に気がついてシャワーをゆずってれる。
「私ねお兄ちゃんが二人いるでしょ」うん。
「小学校まで一緒にお風呂入ってたの」そうなんだ。
「それが普通だったの。でも中学校に上がると
二人の兄は一緒に入ってくれなくなった」ふ~ん。
「寂しかった」



「愛理はパパやママといつまで一緒に入ってたの」
私が10歳まで一緒だったけど、
それから一人で入るように言われたの。
「そお。いつも何処から洗うの」
パパはまず私の髪を洗ってくれたわ。
舞美はシャンプーを取ると腰を降ろした
私の頭に振りかけた。そしてごしごしと髪を洗ってくれる。



舞美が力強く私の長い髪を洗ってくれてすごく気持ち良い。
お湯で流した後背中を洗い出す。ボディソープを含ませた
スポンジを右手でごしごしと洗ってくれる。気持ち良い。
左の手の平が背中を撫でるのを強く意識してしまう。
偶然脇の下に手が入って、思わず声が出てしまう
「くすぐったい?」



私は首を振った。くすぐったいと言うより、
何か電気が走ったような変な感覚だった
「大丈夫?」と私の顔をのぞきこんでくる。
少し恥ずかしくて首を振る。
舞美は体が冷えたのか湯船に浸かる。
私も入りたいと言うと、長い脚を縮めて私の場所を作ってくれる。
二人で浸かるとぎゅうぎゅうな感じ



パパと入ってた時は楽に入れたのに
何だか狭くなったみたい。
舞美は笑って「違うよ。愛理が大きくなったの」そうか。
「またパパと一緒に入ってみたらわかるよ」
舞美のバカ!もう一緒に入れるわけないじゃない。
湯船の中で二人の脚が密着して心地よい。舞美は立って、
「次は私の髪を洗って」



舞美の長い髪をシャンプーしてリンスをするのにずい分
かかってしまう。またお湯に浸かる。ずっとこのままでいたい。
舞美は立つと「もう出るよ」
舞美はパスタオルで私の髪を拭き、体もパスタオルで
包むように拭く、よろけたのを利用して舞美に抱きつく。
タオル地を通して暖かい肌を感じる



「こら!いつまで抱きついてんの」へへ~と笑ってごまかす。
「ほらいつまでも裸だと風邪引いちゃうよ」
舞美は下着の替えがないので
私のを貸してあげる。私のは少し小さいみたい。
私はバスタオルを体に巻くと、ねぇ抱っこしてと甘える。
舞美は私の頭をこつんと叩くと「調子乗るんじゃない!」



お風呂上りのさっぱりした気分で、まだ寝るのは早いし
ソファーでテレビを観てると舞美はノートを取り出し
チェックを入れてる、
覗き込むと見た事ある名前が、
『福田広 投手 左投げ左打ち』舞美の彼の名前。
他にも野球部員の名前が。現実に引き戻される。
舞美は女子マネージャー。



夏の高校野球の予選はまだ先だけど、キャプテンは今年は
絶対一勝したいと言うの」弱小野球部はいつも一回戦負け。
「それで全部員の短所をチェックして強化の参考にするわけ」
それでエースの短所は何?「無いわ」
それでこそ舞美の彼というわけ。
私の短所は何?「お調子者」ピンポーン。
舞美の短所は、鈍感。



舞美の背中に張り付いて肩に顎を乗せて
熱心にノートにチェックを入れるのを覗き込む。
一緒にお風呂に入ったとしても
それは姉妹の気安さに過ぎない。彼の代わりにはなれない。
ねえ、彼とはどこまで。「どこまでって?」
もう、チューしたの。手を止めて私を振り返って睨む。
吐く息を感じる。



「変な事言うと怒るよ」変じゃない、彼ならチューして当然。
「キスなんてするわけがない」初チューはまだってわけ。
じゃあ私と初チューしよう。すぐ目の前に舞美の唇がある。
顔を近づけてくるような気がして目を閉じた。
舞美は手の平で私の顔を押しのけた。
押されながらその手に唇をあてる



パパから電話が掛かってきて遅くなるから寝てなさいと。
一緒に寝ようと言うと舞美は頷いた。
ベッドに入ってしばらくお喋りをして、灯りを消した。
横向きの舞美の背中に身を寄せる。すぐに寝息を立てる。
寝付きのいいやつ。そっと腕を前に回して抱きつく。
舞美の温かい背中を体中で感じる。




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