Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

りんご4


としこはグループのメンバー全員を集めて報告した。

「メンバーについての大事なお知らせがあります」


そのリーダーの言い回しにメンバーは凍りついたようになった。


「そのメンバーとは、元宮りんごの事です。
一年後にりんごは卒業します」

突然の報告にりんご以外のメンバー唖然とした。

「なぜかと言うと、りんごは私、金崎としこと婚約したからです」


「えええええええええええええーーーー?!」
りんご以外のメンバーは驚きの声を上げた。


としこは、りんごを呼び寄せると、二人して左の薬指の
指輪のリングを見せた。

としこに促されてりんごが、


「え〜と、皆も知ってるように女優の鈴村玲香さんと葉瑠さんが
婚約しましたね。私達アイドルも負けてられないので、
大好きなとしこと婚約する決意をしたわけなの〜」


としこはりんごの腰に腕をまわしながら、

「というわけで私達は婚約したの」


するとサブリーダーのゆきが、

「でも何でりんごが卒業ってなったの?」


「それは事務所に婚約を伝えたら、一応恋愛禁止なのに、
メンバー内とはいえ、勝手に婚約するとは何事となって
ペナルティーとしてりんごは一年後に卒業となったの。
でも、その後はりんごはソロとして残るから安心して」


「じゃあ、一年後にあなた達はめでたく結婚するわけね」


「そういう事。でも、卒業と婚約の発表は半年後だからそれまでは
この事は絶対秘密してね。マスコミはもちろん、他のグループにも
内緒にしてね」


メンバーのほとんどはうなずいた。
しかし、さゆりが、


「そりゃあ、いつもいちゃいちゃしてるりんごととしこが婚約するのは
不思議では無いわ。でもまだ信じられない。二人が婚約したという
証拠を見せてよ」


としこが、
「証拠って、婚約リングではダメなの?」


「キスしてよ。いつもの頬じゃなくく唇に」


すると、りんごがとしこの首に腕をまわすと、その唇に
自分の唇を合わせてブチューーー!とキスをした。



それを見た、仲の良いあきらとららが、きゃあああー!と叫んで
抱き合う。




その一ヶ月前に、私とりんごととしこは九州で落ち合っていた。



としこを迎えに行って、駅からの帰りに
私は宝石店に寄り、 ダイヤモンドリングを二つ買う。
思いついて、もう一つ買う。
カードで払う。


3人で会ったあの天神の公園に行く。


りんごを立たせると その前にひざまずいて、
ジュエリーケースを差し出す。


「受け取ってくれるね」
「これは何?」


としこが、
「なにボケてるのよ」


光り輝くリングを見たりんごは
自分もひざまずくと私を抱きしめた。


私はりんごに耳打ちすると別のケースを渡す。


りんごはとしこにそのケースを渡そうとする、
としこは激しく首を振って

「私が貰ういわれは無いわ」


「受け取って欲しい。私とりんごにとって
としこさんはかけがえのない人だから」


うなずいたとしこにりんごはしばらく抱き合っていた。


私の部屋に戻り、今後の事を話した。


「りんごと婚約したけど、当分結婚はしない。
りんごがアイドルを続ける限りしないつもり」
りんごがうなずく。


としこが、
「アイドルは25歳までと言われてるの。
りんごは後5年は続けるかもしれない、それまで 待てる?」


「何年でも待つ」


としこは薬指のリングを見ながら、
「これは婚約リングだよね。ぐずぐずしていつまでも待たすと、
りんごを横取りしちゃうよ」


りんごを見ると、
「わたしは、としことなら結婚してもよかったりして」


私は りんごを後ろから抱きしめて、


「りんごは誰にも渡さない。俺の女だから」


りんごはうっとりと前のまわした私の手に自分の手を重ねた。


としこはうなずくと、
「問題は、事務所に言うかどうかね」


「黙っていて、もし漏れたらやっかいな事になる。
腹を決めてすべて話した方が良い」


「そうね。でも、あなたとりんごが婚約したと知れば、
スキャンダルになるかもしれない。
そうなれば、りんごは切られるかもしれない」


「そうなれば仕方ない。りんごも覚悟してるね」

りんごはうなずいた。


「わたしに良い考えがあるの。
あなたが表に出ればスキャンダルになる。
でもそうならない方法があるわ」


「わたしにまかせて。事務所を説得してみせるわ。
でも、りんごは一年ほどで卒業になるかもしれない。
でも皆に祝福されての卒業にしてみせる」


としこにすべて任せる事にした。


さりげなくとしこを誘って二人で外へ出た。
としこに聞きたい事があった。それは言うべきで無いかもしれないが、
どうしてもとしこの気持ちを聞きたかった。


「あの公園でバックが落ちた時、ナイフが入ってたね。
どう使うつもりだったの?話したくないのならいいけど」


としこは、私をじっと見詰めていたが、
「わたし、人を傷つけるような事は絶対にしません」

「わかった。馬鹿な事を聞いて本当に悪かった。謝るよ」


「りんごはグループにとってかけがえのない存在なんです。
でも、私は違います。私がいなくなる事でりんごを引き止める
事が出来ればと考えたのです・・・」


思わずとしこの顔を見た。
自分次第では、としこを死なす事になったかもしれない。
そしてとしこをそっと抱きしめた。


としこはぽつりと言った。
「私、間違っていました。りんごを縛り付ける事なんで出来ないと
気づいたのです。私、嫉妬していました」


猫のように自由気ままのりんごを縛り付ける事なんで誰にも出来ない。


部屋に帰ると、りんごが2人を見て、
「わたしに内緒で何を話してたの?」


「としこさんは夕方頃帰るそうだけど、まだ時間があるし、
3人で何処か遊びに行こうかと相談してたんだ」


「わあ、行きたい!何処に行くの」


「動物は好きなかな、たまに行くサファリパークがあるんだけど」
「いいわね。どんな動物がいるの?」


「アフリカにいる動物全般かな、ライオン、トラ、象とか何でも。
他にリス猿とカンガルーとか。それに猫カフェみたいのあるよ。触れるし」


「そこには、爬虫類はいるの?」
「え?」
「ニシキヘビやイグアナとかいるの?」
「それは爬虫類はいたかな・・・」


としこが、
「りんごは爬虫類が大好きなの。カワイイー!ってオオトカゲの
頭を撫でていたわ。りんごと婚約したのなら爬虫類を好きでないとね」


そのサファリパークは、自家用車でコースを周る事も出来るが
ただ動物を見るだけなので、
ジャングルバスで周れば、ライオンなどに餌やりも出来るので、
ジャングルバスに乗って周回する事になった。


りんごととしこは、ライオンの一群にバスが囲まれて
きゃあきゃあ!!と怖そうに大声を上げていたが、


丈夫な金網越しに餌の肉などをライオンに差し出すと、ライオンが
後ろ足で立って食いつくのを見て歓声を上げていた。


そんな楽しい日を過ごして、
としこが先に帰るため空港へりんごと2人で送る。


としこは私達に手を振った。リングを着けている。


りんごが、
「あなたと私だとスキャンダルだけど、
りんごととしこだと大丈夫だからってメンバーには
りんごと婚約したって報告するって。


だから私はフィアンセのとしこといちゃいちゃするの」


「いちゃいちゃって、いつも同じじゃないか」

「そうね。って何でそれを知ってるの?!
初めての時りんごを全然知らないと言ったくせに」

「りんごのブログを見てるからね」


りんごと腕を組んで歩いてると、

後ろから声を掛けられた、振り向くと、洋子だった。


綺麗な女性と一緒だった。



「ごぶさたしています」
沙由だった。


りんごと私。洋子と沙由。二組は向かい合った。


洋子はりんごを見て、

「あ、あんたはあの時の彼女?」
ちらりと、2人の薬指のリングを見る。


そうです。とりんごの肩を抱く。


りんごは去って行く2人を見て、
「綺麗な人ね」


「洋子の彼女だよ」


りんごは私を見て、
「わたしが言うのは、洋子さんの事よ」


私の顔をさぐるようにじっと見詰めた。


洋子が私の元カノだという事を察したようだ。


私は答えずにりんごをぎゅっと抱きしめた。


歩きながら、りんごに、
「なぜ俺を好きになったの?としこさんは俺がりんごの父親に似てるって
言ってたけど」


りんごは首を振った。
「父さんに似てるから好きになったのではないです。
逆に聞くけど、なぜりんごを好きになったんですか?


「最初はりんごと会って話しをするのが楽しかっただけなんだけど、
ある時、突然りんごが好きでたまらなくなった。
理由なんて無い」


「私もそうです。理由なんてないわ」


二人は手をしっかりと握って夕暮れの街を歩いていた。



りんご  四終り



この作品はフィクションです
実在のアイドルと似た部分、および画像と本文は関係ありません。




りんご 1




りんご 2




りんご 3