Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

再会 5


ラッコのパフォーマンスに満足したなつみと希美は
次にイルカのプールにやってきた。
プールには、トレーナーと共に数人の一般の人たちが
水の中に入り、近づいてきたイルカに触れている。


希美は興味深そうに見て、


「あっイルカに触ってるよ!私も触りたい〜!」


「あの人たちは事前に予約をしている人たちなの、
また今度来た時にね」


しかし、希美はなおも、


「やだ〜!私も触りたい!」


なつみのダメだという言葉にも、希美は
イルカに触りたいと駄々をこねる。


「のんちゃん!子供みたいなことを言わないの!
我がまま言って、お姉ちゃんを困らせないの!」


なつみの思わぬ強い言葉に、希美は黙り込んでしまう。


その後、二人の間は気まずい雰囲気になってしまう。
次にアシカやセイウチを見てまわったが、希美は
下を向いたまま黙ったままだった。


「そろそろ、帰ろうか・・・」


なつみの言葉に希美は黙ってうなづくだけだった。


少し遠い駐車場へ向かう時も、希美はなつみの後を
とぼとぼと歩いていく。


ようやく車の止めてある場所に着く。
真夏の野外に止めてあった車の中は、灼熱の地獄の中の
ようで、耐え切れないほどの暑さだった、


しかし、運転席に腰掛けたなつみはエンジンもかけずに
しばらく、下を向いたままだった。


「・・・お姉ちゃん」


不審に思った希美が声をかけると、なつみは顔を上げて
希美を見た。


今にも泣きそうな姉の顔を見て、希美はなつみの
肩に手をやった。


「お姉ちゃん、どうしたの?」


なつみは助手席の希美の方に寄りかかりながら、


「のんちゃん、さっきはごめんなさい・・・、
せっかくのんちゃんが会いに来てくれたのに、
あんなきつい事を言ってしまって」


希美は、なつみの手を取って、


「何とも思ってないよ、悪いのは私なんだもん」


なつみは、希美の額に浮かんできた汗を見て
気がついて車のエンジンをかけてエアコンを入れる。


「お姉ちゃん、大丈夫?」


なつみは笑顔をつくると、

「大丈夫さ、ちゃんと運転出来るよ」


「そうじゃなくて、なんか心配事があるのじゃないの、
いつもは優しいなっちが、あんな風に急に
怒り出すのは何か悩みがある時だもの」


「・・・よくわかるわね」


「当たり前よ、なっちのことは何でもお見通しだって」


「生意気言っちゃって、とにかく帰ろう」


なつみは車を動かした。


なつみの運転する車は海沿いの国道を過ぎると
市街地に入る。やがて右に曲がり鉄道の上の陸橋を
渡って行く。


そしてトンネルを通り過ぎて、郊外に向かう。


「あっゴリラがいるよ!」


希美が声を上げる。
道路脇の鉄柱の上に、作り物の大きなゴリラがいる。


やがて車は住宅街に入り、一軒の家の前に止まった。