Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

再会 6


居間のソファーに落ち着いた希美に、
なつみはお茶とお菓子を持ってくる。


「疲れたでしょ、着いた早々お山のお猿を見に
行ったり、水族館に付合わせたりして」


「ううん、すごく楽しかったよ」


「そう、良かった」

「お姉ちゃん・・・お義兄さんとはどうなの、
うまくいってるの?」


希美の問いかけに、なつみは黙って下を向いていたが、
顔を上げて時計を見ると立ち上がった。


「あ、もうこんな時間、晩ご飯作らなきゃ」


なつみはエプロンをつけると、台所に立った。


「今夜はのんちゃんも来たことだし、
うんとご馳走作るね」


「私も手伝うよ」
希美も立ち上がった。


姉妹は並んで台所に立った。


「二人で一緒にお料理作るのって久しぶりだね」

希美が言った。


「そうだね、あの頃はよく二人で言い合いながら
 作ってたね、楽しかったね・・・」


なつみはそう言いながら玉ねぎの皮を剥いている。


希美が野菜を洗いながら、ふと横を見るとなつみが
目をこすっている。


「ごめん、玉ねぎのせいで涙が止まらなくなっちゃった」


しかし、まだ玉ねぎには包丁は入っていなかった、

「お姉ちゃん・・・」


突然、なつみは包丁を持ったまま希美に抱きついてくる、


「お姉ちゃん!包丁!」


希美はそっとなつみの手から包丁を取り上げて、まな板の上に置く、

なつみは、希美にしがみついて声を上げて泣き出した。


希美は姉のなつみを居間のソファーに座らせた。
そして、隣に座りハンカチを渡す。

なつみはハンカチで涙を拭うと話し始めた。


「うちの人、浮気してるんじゃないかと思うんだ」


「ええ〜!まさか〜、結婚してまだ半年だよ〜」


「だって、そうとしか考えられないもん、最近なんか
帰るのは毎晩夜遅いし、私がいくら話しかけても
ろくに返事もしないで寝てしまうのよ」


「でも、それだけでは浮気かどうかわからないでしょ」


「それに、結婚前は優しくて私の言うことは何でも聴いて
くれたし、何でもしてくれたのに、結婚してからは、
まるで違うの、目の前にある灰皿さえ私に取らせるのよ」


「釣った魚には餌はやらないっていうよね」


「料理だって、前は私の作ったものは全部
美味しい美味しいって何でも食べてくれたのに、
この頃はやれ味がうすいとか、辛いとか
これは嫌いだとか、文句ばっかつけるのよ!」


希美は、なつみの肩に手を置いて


「なち姉ちゃん、そんなことないって、あの
お義兄さんに限って浮気なんてありえないって。
夜遅いことだってお仕事で遅くなってる
かもしんないよ」


「あの人は、今仕事が忙しいって言ってたけど」


「ほら、やっぱりそうじゃない。お仕事で
疲れてると何にをやるにも、おっくうなんだと思うよ。
料理だって、前は遠慮してたかもしれないよ」


「そうかな・・・だってあの人は真面目で優しい
ところがあるから女の人に好かれると思うの、
だから・・・」


「はいはい、お義兄さんはもてるからね〜」



希美は義兄の顔を思い浮かべた。体育会系でがっちり
とした体つきで、いかにも真面目で希美にもいつも
優してくれた。

この人なら、姉を幸せにしてくれると感じて、
結婚を認めたのだ。


「とにかく、あのお義兄さんに限って浮気なんて
絶対にありえないよ。なっちもこんな知らない土地に
来て寂しいんじゃないの、だからささいなことが気に
なるんだよ」


「そうなのかな、そうかもしれないね。ののもしばらく
顔を見ないうちに、なんだか大人になったみたい」


希美は照れながら、


「へへ、そう見えるかな〜私ももう高校生だもんね。
もしまた何かあったらいつでも私や母さんに言ってよ。
すぐに飛んでくるから」


「うん、ありがとう。でも九州は遠いぞ〜」


なつみは笑顔で言った。


「ののに話したらなんだかすっきりしちゃった」
 

その時玄関のほうから、ピンポンとチャイムの音が
聴こえた。


「あっ、帰ってきた!今夜はののが来るのだから、
早く帰るように言っといたの」


なつみは顔を輝かして立ち上がると、玄関へとんで行く。


希美も、義兄を迎えるため立ち上がった。



       

        終わり。