Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

クローン・リカ


「クローン人間?!」


「しっ大きな声を出すな!他人に聴かれたら
まずい」


信じられなかった、ハッピー・ドリーム。のクローン
なんて・・・。


「信じられないのも無理はない。つまり、それほど
あそこも困ってるということだ。
いよいよ、文字通りアイドルの切り売りを始めたのだ。
しかし、本人達は全国をツアーで飛び回っていて
忙しい。そこでクローン人間の登場だ。


なに、原理は簡単だ。本人の髪の毛のでも
何でも良い。本人のDNAを取り出して、培養
するのだ。
それで、一ヶ月もすれば、見事本人そのままの
クローン人間の誕生だ。
本人と違って、色々と自由がきくというものだ。
ただし、子供の娘。はダメだ。
18歳以上の娘。に限られる」


18歳以上の娘。と言えば、
かおりんやぐっつぁん、チャーミー、ミキティ
よっすぃ〜の5人か。
幸い、俺の好きな娘。は、この5人の中に居る。


「もちろん、そのクローンがお前のものになる
わけではない。レンタルなのだ、一か月百万円だ」


一か月、百万円〜!! 高いと言えば、高い。
しかし、憧れのアイドルがクローンとは言え、一か月
自分の自由になるのだ。安いものだ。


問題は金だった。俺は現在25歳のサラリーマンで
安月給の中から、毎月娘。のCD、グッズ、
娘。の載る雑誌、ライブのチケット代を捻出する
のにいつも汲々としている。


とても、百万円もあるはずが無い、もちろん
貯金なんて一銭も無い。金のほとんどは、娘。の
ために使ってしまう。

今、何とか1万円ならある。それを百万円にする
しかない。となると、競馬で一発当てるしかない。


俺は、勝負に出ることにする。
あるレースの、ガチガチの本命で必ず勝つと思われる
馬と、まったくの人気薄の馬を一本買いする。
くれば、百倍以上つく。


ゴール寸前、本命馬がハナの差で人気薄の馬を
かわして勝った。


これで、百万円が出来た。
後は、クローン・モーニングを迎えるだけだ。



ようやく、先輩から電話が掛かって来た。
百万円を前払いしていて、いつかいつかと、
ジリジリしていたのだ。


「お〜、待たせたな。今日、待望のクローン
モーニングがお前のアパートに行く予定だ〜」


「本当ですか〜!いや〜嬉しいな〜!
ところで俺の好きな娘。は、わかってるでしょうね」


「わかってるって〜、娘。の中で一番可愛くて、
美人のあの娘。だろ〜」


「もちろんですよ〜!」


「ところでな、お前の所の近くに、喫茶カトレア
ってのがあるだろ、そこから出前を取るんだ、
その後、クローン娘。が行くことになってる」


なんで、喫茶カトレアから出前を取るのか
わからない・・・。
俺は首をひねりながら、とにかくそこに電話して、
サンドイッチとコーヒーを2人分、出前してもらう。
もちろん、俺とクローン娘。の分だ。


やがて、ドアがノックされて開けてみると、


「チョベリバァ〜〜電話したのここ〜〜?」


見ると、今時流行らないガングロコギャルが、
やたら背が小さくて、金髪を頭の上でボンボンで
止めて、白いシャツと黒のスカートで、
ルーズソックスをはいている・・・。


「あの〜、どちら様で・・・」


「だから〜〜、喫茶カトレアだけどォ〜
注文の出前持って来たの〜〜、
いいじゃ〜ん〜〜、ありえないし〜〜」


「意味わかんねぇ・・・じゃあ、そこに置いて
ください。いくらですか」


「ふたつで〜、2千円〜〜!」


「あれ〜!これは何ですか〜!」


「何って、注文の焼肉カルビとチューハイよ〜」


「カルビ!って、そんなの注文してねョ〜〜!」


「いいじゃぁ〜〜ん!!
ホンとは〜、焼肉はおいらが食べるの〜
そして〜、ホントの注文の品は、おいらよ〜!」


「は〜??」


ガングロコギャルは、横ピースをしながら、
ウインクして、舌をかわいく出しながら言った。


「おいらがご注文の『クローン・マリリン』で〜す!」


「あ〜!!どっかで見たと思ったら、あなたは、
まりっぺ〜〜!!」


「違う〜!おいらは、クローン・マリリン〜。
本人とは違うの〜、本人より可愛いけどね〜」


あ〜あ!やっぱり先輩は間違えている、
俺の好きな娘。は、この子ではない・・・。


「あの・・・僕が注文した娘。と違うのだけど」


「いいじゃ〜ん〜!じゃあ、なに〜おいらじゃ
不満なの〜!なんか文句でもあるの〜、
娘。の中で、一番可愛くて美人じゃん〜」


「・・・そ、そうですが」


しかし、なにゆえコギャルのマリちゃんなんだ、
たしか先輩はクローン・モーニングは、本人の記憶を
インプットするから、本人と同じ記憶のはずだと
言ってたけど。


クローン・マリリンは、俺の部屋に上がりこむと
ペタンと座ってあたりを見まわした。


「しっかし〜、狭くて汚い部屋ね〜」


「すみません・・・安月給なもんで。それに、
ほとんど、ハッピー・ドリーム。に使ってしまうので」


「あっー!!!」


マリリンは、いきなり大声を上げて立ち上がる!


「ど、どうしたんですか!」


「オシッコ〜!」


「・・・・」


「って、この部屋トイレあるの?まさか、
共同便所じゃないでしょうね・・・」


「トイレぐらいありますよ!」


俺は、玄関脇のトイレにマリリンを案内する。


「う〜〜、漏れちゃいそ〜!」


マリリンは、すぐさま洋式トイレに腰を降ろす。
トイレのドアを開けたままで。


「ドアを閉めて〜〜!?ドアを〜!!!」


俺があわてて声を上げると、


「いいじゃ〜ん!開けたままで〜」


「よくない〜!!見られても平気なんですか〜!!」


「おいらは、トイレはいつもドアを開けてるよ〜」


「そんな話、ラジオでも聴いたことない〜!!
そりゃあ、怖がりのマリちゃんだから、狭いトイレが
怖いのも無理ないけど」


「そうなの〜、こんな狭いとこひとりで入ってるの
怖いも〜ん、誰か見てると、安心してよく出るの〜」


やけくそ天使の阿素湖じゃないんだから〜!」


「なによ〜阿素湖って〜?」


「マリちゃんに顔も性格も似てる、漫画の主人公。
とにかく、クローンとは言え、本人はアイドル
なんだから、みっともない真似はやめてください!」


マリリンは、立ち上がってトイレから出てくる。


「あ〜!もういい!ぐじゃぐじゃ言うから、
出るものも出てきやしない〜!」


なんなんだ、この娘。は・・・。


マリリンは部屋に戻ると、立ったまま、


「さてと、じゃあ早くそこに布団敷いてよ〜」


「いきなり、なにを言い出すんですかぁ〜!
昼間から布団敷いてなにするんですかぁ!」


「もちろん、にゃんにゃんよ〜ぉ
それが目的なんでしょ〜」


「にゃんにゃんってなんですかぁ〜!
バカなことを言わないでください!
そんなこと・・・無いです!!」


「え〜ぇ、ホントかな〜、それなら帰るわよ〜
今日はこれから5軒ほどまわらないといけないの」


「ええ〜!話が違うじゃないですか!たしか、
クローンは、30日間のレンタルって聴いたど」


「そんなこと聴いてないわよ〜、おいらは
忙しいのよ〜今日は日曜だから、
夜は「あな真里」に出ないといけないの〜」


「マジですかぁ〜!、マリちゃん本人が出るんじゃ
ないんですかぁ〜!」


「本人は、今日北海道で夜までコンサートなのよ〜
東京まで来れるわけないよ〜」


「本当なんですか、クローンが代役をしてるとは
初めて聴いた!」


「本人が出られない時はたまにおいらが代わって
出てるのよ、時々やたらエッチなことを言う時が
あるでしょ、あの時はおいらなのよ〜」


「やっぱり〜!」


「とにかく、何もしないのなら、おいらは帰るよ」


「何でですかー!こっちは百万円も払ってるん
ですよ〜!」


「そんなこと、おいらは知らないよ〜」


「もう頭に来た!帰るのなら、帰ればいいでしょ!」


それならと、クローン・マリリンは出て行こうとする、
靴を履きながら振り返ると、


「ねえ、さっきは別の娘。を好きみたいな事を
言ってたけど、ホントはおいらを好きなんでしょ」


「そ、それは・・・好きなことは好きですけど」


「やっぱり〜、ありがとう。 これからも
ハッピー・ドリーム。を応援してね〜チュッ」


マリリンは可愛い笑顔と、例のハ〜ト口をして
投げキッスをすると、バイバイと出て行った。


可愛い・・・。


本当は、前はマリが誰よりも好きだった。
しかし、今はあの娘。が一番好きなのだが。


俺は、すぐさま先輩に電話をする。


「あ、先輩!どういうことですか!!来たのは、
俺の好きな娘。と違うじゃないですか!」


「なんだと〜!娘。で一番かわいくて美人の
子じゃないか〜」


「違いますよ〜!、そりゃあ、マリちゃんも一応、
かわいいですが、やっぱりあの娘。のほうが、
いいんです!
どうしてくれるんですか!お金を返して
もらいますよ!」


「まあ怒るなよ。仕方ないな、わかった来週
お前の好きな娘。を寄こしてやる」


「本当ですかぁ〜、でも、またもう百万円出せって
言わないでしょうね」


「それは心配するな、最初のお金だけでいい。
え〜と、お前の好きな娘。は、4期メンで一番
かわいい、あの娘。だな」


「そうですそうです!その娘。です。
そうですかぁ〜、助かります。しかし、そんなこと
先輩の一存で決められるんですか?」


「それは、大丈夫だ。俺はあそこの事務所に
顔がきくんだ」


「ええ〜?!信じられないな〜」


「お前は、俺の名前を忘れてるな、とにかく
俺にまかしておけ」


そこで、電話は切れた。


はあ〜、頼みますよ。 あれ、先輩の名前って、
たしか、山崎だっけ・・・」


まさか・・・・、