Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

再会 1


夏休みになって希美は、結婚して九州に住んでいる、
姉のなつみに会うため単身飛行機に乗った。
この春高校生になった希美は初めての一人旅だった。


飛行機は無事に着陸した。
姉のなつみは空港に迎えに来ていて、到着口で希美が
出てくるのを待っていた。


やがて希美の姿が見えて、なつみは笑顔で近寄った、
周囲の人が一斉に振り返って二人を見た。
希美が大声で泣きながらなつみの胸にすがりついていた。
なつみはそんな希美の頭を撫でた。


空港内のカフェでアイスクリームにかぶりついている
希美を、なつみは笑顔で見つめていた。
その後二人は駐車場に向かった。


車を見て希美が、


「あれ、なち姉ちゃん、免許取ったんだ〜」
「そうだよ、この車で買い物や旦那さんを
送り迎えしてるんだよ」


「ふ〜ん、ちょっと心配〜」
「なに言ってんだ〜、大丈夫だって」


希美は助手席に乗り込む。
希美は、ちょっと恥ずかしそうに言った。
「なち姉の顔を見たら、つい涙が出てきちゃったの」


なつみは笑って妹の頭を撫でた。
「よく来た、よく来た〜」


早くに父親を亡くした姉妹は、母親がスナックの
仕事で夜遅くなるので、いつもふたりだけの時間を
過ごすことが多く、そのきずなは強かった。


甘えん坊の希美は6歳上のなつみを母のように
慕っていた。
なつみが結婚して夫の仕事の関係で東京から九州へ
住むことになった時希美は泣きながら、だだをこねて
なつみを困らしたのは、春だった。


『イヤだー!九州なんて遠い所へなっちが
行っちゃったらめったに会えなくなるよ、
イヤだよー!!』


『なっちだって、ののと会えなくなるのは寂しいよ、
とっても悲しいよ、でも旦那さんを一人には
出来ないの、許してのの』


ふたりで抱き合って泣いたあの時のことは、
今は懐かしい思い出だった。


なつみは、助手席の希美のシートベルトをさわって
確かめると、車を動かした。
別府湾沿いの道路を車を走らせる。
やがて、温泉で有名な市街地を抜けて行く。


「ねえ、のんちゃん、途中の高崎山や、隣の
うみたまごに寄って行こうか」
高崎山と、うみたまごって?」


「お猿さんがいっぱい居るのが高崎山なの、
うみたまごは水族館で、のんちゃんの好きな
イルカも居るし、ラッコの芸も見れるよ」
「そうなの、行きたい〜!」