Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

「SARUTOBI AI 6」

 「SARUTOBI AI 6」

会話



意外な光景に麻里は唖然として亜依に近づいた。


「今、何をしてたのだ」


「子猿にはなにもしないよって、そのお猿さんに
言ったの」

亜依は事もなげに言う、


「言ったって、お前は猿と話せると言うのか・・・」


「うん、昔小さい頃にお猿さんの言葉がわかることに
気がついたの・・・しばらくお猿さんとは話して
なかったけど、まだ話せたよ」


麻里はまだ信じられないようだったが、
ある一匹の猿を指差して、


「では、あの猿の母親は何処にいるかわかるかい」

亜依はその猿の前に行くと何事か話していたが、
辺りを見回すと、少し離れた所でドングリを食べていた
猿を指差した、


「あそこにいるのがお母さんだと言ってるよ」


麻里は近づいて、毛色や体の特徴からその猿が
亜依の言うように間違いなく、母猿だということを
確かめた。


麻里は、意外な亜依の能力に感心した。


やがて、ふたりは山を下りて行く、
麻里はすっかり亜依を見直したように言う、


「猿と会話出来るなんて大した能力だよ、
ましらの麻里といわれるおいらだって、個々の猿と
コミュニケーションをとるのは難しいことだよ」


「ええ〜、そうかな〜」


「何処でその能力を覚えたのかい」


「よくわかんないけど、小学校の頃遠足でお山に
行った時、山の中で迷子になった事があるの、
そしたらお猿さんが出て来て、帰り道はこちらだって
教えてくれたの」


「・・・それは何処の山なのかい」


「え〜と、確か三重県の上野っていう所だよ、
それ以来、動物園でもお猿さんと話せるように
なったんだよ」


「・・・・」


それからは麻里は黙って山道を下っていく。


ふと、亜依は麻里の言葉に違和感を覚えた、
麻里が何か変なことを言ったような気がした。


「なにをぐずぐずしている、早く山を下りないと
日が暮れてしまうよ!」


「ねえ、さっき変なことを言わなかった?
お猿さんのことで・・・」


「変なことなど言わぬ、猿と話すのは難しいことだと
言っただけだ・・・」


亜依は首をひねった、なぜ麻里が変なこと言ったような
気がしたのだろう・・・。