俺とリカは早々にお風呂から上がることにした。
裸のまま居間に行ってしまうリカを追いかけて、
肩につかまらせて足を上げさせ下着を穿かせる。
その後、なんとかパジャマを着せる。
夕食を作らなくてはいけない、
リカの好きなハンバーグを焼くことにする。
最近はリカも料理に興味を持ち出したようで、
俺と一緒にキッチンに立って手伝おうとする、
しかし、俺が教えたにもかかわらずリカは、
塩や砂糖は手づかみでドバッと入れてしまうし、
醤油や油も瓶からドクドクッと流し込んでしまう。
その結果、リカの作った悲惨な料理を食べさせられる
はめになってしまう。
その辺は、DNAが同じ梨華に似ていると言える。
その日の夕食は、俺が焼いたハンバーグとスープ、
俺が下ごしらえをして、リカがドレッシングを
ドバーッとかけたせいで少々酸っぱくなったサラダ。
お腹いっぱいになって満足したリカは、ソファーに
陣取って、テレビのリモコンのスイッチを入れる。
今夜は、生放送の歌番組に、梨華がリーダーの
ユニットが出演する。
梨華たち3人が登場すると、
「ほら、お姉ちゃんだよ〜!」
と、画面を指差した。
梨華と偶然出くわしてからは、
リカは梨華を〝お姉ちゃん〟と呼ぶようになった。
もし、リカと梨華が並んでいれば、双子の姉妹としか
見えないだろう。
リカは華やかな衣装で歌う梨華を食い入るように
見つめている。
俺はテレビの画面の中の梨華と、俺の側にいるリカを
見比べていた、
手の届かない遠い存在でしかない梨華。その分身で、
俺に寄り添い、その温もりをじかに感じる存在のリカ。
俺は類稀な幸せ者と言えるかもしれない。
終わり