Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

ONE STEP


里沙が学校から帰って自分の部屋に入ると、
母が掃除をしていた。


「里沙!少しは片づけなさい!ホントだらしないんだから
里沙も、もうすぐ3年生なんだから、しっかりしてよ!」


いきなりの母の小言に、
「あ〜、うるさいな〜!いい加減にしてよ〜」


里沙は、そう言って母を追い出すと、
ベッドに寝っころがって、さっそく携帯を取り出す。
さっき、メールが届いていたのだ。
「アッ!やっぱり先輩からのメールだ!」


『にいがきへ、この間の試合は頑張ったね(^_^)
にいがきは、小さいけど、動きが速いからすごい!
これで、僕も安心して卒業出来るよ』


それは、バスケ部の吉澤先輩からだった。
里沙がひそかに憧れている先輩だった。
「あ〜、先輩、嬉しいでちゅ〜!!」
里沙は携帯を抱きしめた。



次の日、授業が終わり、部室に行くと先輩が
顔を出していた。


先輩の顔を見て里沙は緊張する、
女子部員に囲まれていた先輩は、
里沙を見ると声をかけてくる。


「あ、にいがき〜頑張ってるかい」


里沙は思わず顔を赤らめ、下を向いた。
「ハイ・・・」


里沙は、先輩の前だと何も言えない自分が
もどかしかった。
練習が終わり帰ろうとした時、先輩を見かけた。


先輩は、テニス部の石川先輩と笑顔で話していた。
その後二人は楽しそうに連れ立って帰って行った。

里沙が立ちすくんでいると、

「やっぱり、あの二人付き合ってるって、
ホントなんだ」
振り返ると、麻琴がいた。


「ねえ、里沙なんか、先輩に憧れてんじゃないの」
「そんなこと、ないよ!」


里沙はそう言うと、駆け出していた。
里沙は、その日どうやって家に帰ったか、
全然覚えて いなかった。


部屋に入って、カギをかけるとベッドに突っ伏した。
自然に涙がこぼれ落ちる。


そりゃ、石川先輩は、美人でテニス部の部長をして
皆から慕われている。
自分はと言えば、バスケ部にしてはチビで、
頑張っているつもりだけど、
とても今は、石川さんにはかなわない・・・。
里沙は涙を拭って、天井を見上げた。


昨日よりも、今日。今日よりも、明日。


いつかきっと、吉澤先輩も感心するような女の子に
なってやる。


        

        終わり。