Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

愛憎


美貴は亜弥をぐいっと睨みつけて、


「だいたい、別の世界から来たあなたが私の何を
わかると言うのよ!今日は初めて会ったのよ!
私達は・・・」

亜弥は首を振って、

「私は亜弥に間違いない。そしてあなたも美貴に
違いない。そして二人は親友同士」

「そうだけど、でも、あなたは私の知っている亜弥ちゃん
じゃない、これははっきりしてるわ。
そして、私もあなたの知っている美貴ではないわ」


亜弥はうなずいた。
「確かにそうね。でもね別々の世界に離れていても、
本質は同じなの。私と松浦は同じ人間なの。もちろん、
私の世界の美貴とあなたも同じ人間なの」
「そこがわからないわ、私は私なの、他に私とまったく
同じ人間が存在するなんて認められないわ」
「でも、存在するの。今ここにいる私がその証拠よ。
あなたも、私が別の世界から来たことは認めていた
じゃない、それが自分の事になると認めないなんて
おかしいわ」


美貴は首を振って、亜弥の側に腰を降ろした、
「亜弥ちゃんのように自分が大好きな人なら、
自分と同じ人間が何人現われようが大歓迎だろうけど、
私は自分がもう一人出現するなんて、考えただけで、
ゾッとするわ・・・」
「それはよくわかるわ。私だって、前に松浦がいきなり私の
前に出現した時は驚いたもの。
まあ、私達はすぐに慣れて意気投合したけどね。
とにかく、私は松浦を呪っている人間を探し出すためには
何だってやるわ。それがたとえ美貴だとしても、
容赦はしないつもりよ」


「あのね、もし仮によ、百歩も二百歩も譲って私が
亜弥ちゃんを呪ってるにしても、それで亜弥ちゃんの声が
出なくなるなんてことがありえないわ!
私は魔女じゃないんだから、黒魔術なんて出来るはずが無いわ」
「それを言われると自信ないわね。あのね、あなたが憎いと
思ってる人が、ユニットを急に脱退してしまうって事は
ないのかしら、それがあれば、
あなたの呪いが通じたということになるわ」


「そう言えば、そんな人が・・・いるわけないでしょっ!!
何をバカな事を言い出すのよ!
私はみんなとは仲良くやってるわ、そんな人いないわ」
「そう。それは残念ね」
「なにが残念なのよ!私、もう帰るわ!」
美貴は憤慨して立ち上がった。


「何言ってるの時計を見なさいよ、夜中の2時よ。
女の子が出歩く時間じゃないわ。泊まってきなさいよ」
「タクシーを呼ぶわ」
「いいじゃない、あなたは松浦とは同じ布団で眠ったり、
一緒にお風呂に入る仲なんでしょ」


「確かにそうよ。でも、それは私のよく知ってる亜弥ちゃんの
ことよ。あなたのことじゃない。あなたとは一緒にいたくない。
だいたい、あなたの世界にいる美貴とはどうなのよ、
その様子じゃ、とても親友とは言えないわ」
「あなたは、松浦を愛してるかどうかわからないって言ったわね
私は違う。私は美貴を愛してると断言出来るわ。もちろん美貴も
私を愛してくれてる」


「だったら、その愛してる美貴と同じ人間である
この私を、どうして執拗に疑うのよ!」


「あのね、人を呪うということは、愛してるということの
裏返しなの。
その愛が深ければ深いほど、ひとたび呪うようになれば、
その憎しみが二倍に三倍にも膨れ上がるものなの」