Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

嫉妬


何も言えなくて立ちすくんでいると、

さゆは瞳を光らして私を見据えると、
「昨夜会ったのね、女の人と」

「・・・昨夜は誰も会っていないよ」
かろうじてそう言うと、

「じゃあ今朝、女の人と会ったのね」

さゆの大きな瞳に見据えられて嘘は言えなかった。
「今朝、会った」



さゆはうなずくと、
「どんな女の人?」

「大学の友達なんだ、最近大学へ顔を出さなかった
から、会いに来たんだ」

「ガールフレンドなのね。それでキスしたのね」

「今はガールフレンドじゃないよ、それにキスは、
桃子のやつがいきなりしてきたんだ」
「桃子さんていうのね。どんな人、可愛い人?」
「そんな事はどうでもいいよ」


さゆは首を振ると、
「大事な事よ。私よりも可愛い人なの・・・」

ももとさゆの可愛さは質が違うものだし、較べられる
ものではない。


「もうやめよう。ももとは今は何でもないし、
これからは二度と会わないよ」

しかし、さゆは追求を止めなかった、
「前は好きだったのね。恋人同士だったのね」


思わず声を荒げて、
「だから!今は違うと言ってるだろ!
ももとはもう終わったんだ!それだけだ」

さゆは、暗く悲しそうな表情で下を向いた、

たまらなくなって、
「今は好きなのは、さゆだけだよ!」


さゆは小さく首を振ると、立ち上がって行ってしまう。



その日、さゆはほとんど私に口をきかなかった。
帰る時間になっても、
さゆは背中を向けたまま動こうとはしなかった。


山口とエレベーターに乗っていても苛立ちで
いても立ってもいられない気持ちだった。

山口が声をかけてくる、
「どうした、今日はキスしてやらないのか」

思わず強い口調で言い返した、
「からかうのはやめてください!
お姫様は今日はご機嫌斜めなんですよ!
さゆも女なんですね、一人前に焼いたりして」

山口は、面白がっているような目をしていた。
「お前が悪い」
「ええそうです、僕が悪いのはわかってますよ」


その後、面白がってはいられない事態に発展して、
私とさゆの関係が新しい局面を迎えようとしていた。



聖少女 12