100mの決勝のスタートラインに舞美はついた。
決勝に残ったのは6人。レース前に、絶対勝ってねと言うと、
「ひとり速い子がいるのよ。隣の6コースに」勝てるよね。
「その子スタートが抜群なの、遅れずついて行ければ勝てるかも」
私のために絶対勝って!「愛理のために勝つよ」
スタートの号砲が鳴った、舞美の隣の青いユニフォームの子が
真っ先に飛び出した。50mまでその青い子がリードする。
舞美も懸命に追いすがるけど、体ひとつ遅れてる、
青い子はポニテをなびかせて走って舞美を寄せつけない
舞美〜!!
と大声で応援したら、聞えたのか舞美は加速する
ゴール間近、舞美は歯を食いしばって追いすがる、
ゴールテープを二人同時に切った、
私は舞美の元へ走った全力を出し尽くして座り込んでいる舞美にすがる。
大きく息をしている舞美の体は焼けるように熱かった。
二人で座ったまま結果を待った。やがて、係員が来て、
「一着、矢島舞美!」二人で飛び上がる
それを聞いた舞美は私の手を取ると歩き出す
どんどん早足で私の手を引っぱって行き
競技場の外れの木陰に私を連れ込むと、
いきなり抱きしめて有無を言わさず唇を重ねてくる。
私も舞美の背中に腕を回して受け入れる。ようやく唇を離すと、
「ごめんね、レースが終わるといつも興奮するの」
「終わった後、体がすごく熱くなって誰彼かまわず抱きたくなるの」
いや!抱くのは愛理だけにして。
舞美は私の喉に唇をはわせる、片手は私のスカートの中に浸入する、
下着に指をこすり付ける、じ〜んとしびれる。
舞美の唇は耳たぶを噛んでくる、電気が走る、
止めて〜!思わず舞美を突き離す
こんな所じゃいや!帰ってからにして!
「だって・・・」だってじゃない、見られたらどうすんのよ!
こんなに舞美がエロいとは知らなかった、
恋人同士になったら遠慮なしだもの。
不満げな舞美の手を取ってグランドへ戻ると、
向こうから2着に負けたあの子が近づいて来て舞美に手を差し出す
その子は体は小さいけどガッツがありそうだ、
まるで男の子のような顔と声。舞美を称えて握手をする。
舞美もそれに応える。
いかにもアスリート同士のやりとりでちょっぴり焼ける。
このレースはただの高校の記録会なのに、
この熱気はなんなの私には理解出来ない。
今夜の事を考えると体の芯が熱くなる。
女子マネ
舞美が兄の部屋へ行くと兄は考え事をして舞美にも気がつかない、
お兄ちゃん!と言うと、あっ舞美か、あの本貸してよ。うん、
どうしたの、ぼ〜として。兄は舞美を見ると、
そうだ舞美、友達で野球部の女子マネ出来る子知らないか?
女子マネ? 兄は高3で野球部のキャプテン、舞美は1年生だった。
女子マネが一人辞めて、今一人だけで大変なんだ、
もう一人女子マネを探してるんだ。
お兄ちゃん、なぜ私に頼まないの。
だって妹が女子マネなんて。私やっていいよ、女子マネ。
本当にいいのか、うん、やる。舞美は野球が好きだった。
女の子だから部員になれないけど、
女子マネなら出来ると思っていた。
女子マネって言っても雑用係りなのだ。
2年の先輩と一緒に用具を運んだり部員の世話をしたりする。
朝練もあって大変。
時にはキャプテンの兄相手にトスバッティングもする。
兄は大きな当たりを飛ばしながら、舞美は野球が好きなんだな。
と兄は感心して言う。うんと笑顔で答えた。
陸上部から是非舞美を欲しいと言われたよ。私は女子マネよ。
だって舞美は速いし、大会で優勝出来ると思うな。
私は野球が好きなの。そうだな、舞美が女子マネで助かるよ。
兄にそう言われると飛び上がるほど嬉しい。
野球が好きと言ったけど、本当は野球をする兄が好きだとは
言えなかった。
プロゴルファー
私は父の練習を手伝っていた。プロゴルファーの父は
最近ずっと予選落ちを繰り返していた。
口には出さないけど、相当に悩んでるのがわかる。
だって私は娘なんだから。父はひたすら練習に励んでいたが
結果に結びつかない。そんな父の力になってあげたい、
でもどうすればいいのかわからない。
それを従姉の純子さんに相談した。
純子さんは「愛理はパパが好きでしょ」大好き。
「じゃあパパも愛理が好き?」好きだと思う。
「だったらパパを元気づけるような事を愛理がして上げればいいのよ」
どんな事?
「パパと一緒にお風呂に入ってあげるの」
もういい!!純子さんには相談しない!
「愛理、パパのスイングを見てどう思う?」
突然父が言った。そんなの私にわかるわけがない。
「どんな事でもいいんだ、以前のスイングと較べてどう思う?」
前に私と舞美とパパの3人でラウンドした時を思い出して、
その時のパパのスイングを必死に思い出そうとした。
大好きなパパと舞美とのゴルフは楽しかった。
ゴルフが上手くなりたいからパパのスイングをよく見ていた。
ふと気がついて、今のパパは大きく見える。
「大きく見える?なぜそう思う」
わからない、そんな感じがした。パパは考え込んだ。
パパは何度もスイングをして大きく見えるかと聴いた、
パパはスイングをして「今度はどうだ?」
あっ!今度のパパは小さく見える。
パパは大きくうなずいて、
「わかった。今のパパはアップライトのスイングになってたんだ。
垂直に近いスイングになって体が立っていたんだ、
だから愛理には大きく見えたんだ」
なんとなくわかるような。
「良い時のスイングはより水平なフラットなスイングだったんだ、
体も前傾で、それで愛理には小さく見えたんだ。
それが知らず知らずの内に体が立ってしまっていたんだな」
そうなんだ。
「愛理のおかげで良い時のスイングを思い出したよ」
なんだかわからないけど、役に立ったみたいでよかった。
次の週の大会でパパはギリギリだったけど見事予選を通った。
それを知って飛び上がるほど嬉しかった。
それを純子さんに報告すると
「良かったわね。愛理が一緒にお風呂入って上げたおかげね」
だから〜一緒にお風呂なんて入ってないから〜!
「今度は私と一緒に入ろ〜」
なんでそうなるの!
好きな人は
愛理、次の日曜に買物に付き合ってくれる?
あっごめん用事があるんだ、次にしてくれる。わかった。
一人で買物に行った舞美は店を出た所で愛理と雅を見かけて思わず隠れた。
愛理と雅は笑顔で話している。なんとなく2人の後を歩いてると、
公園で2人が抱き合ってるのを見てしまう。
愛理と雅は高校で新体操部に所属してる。3人は中学は一緒だった。
放課後、舞美は雅に声をかける。雅は驚いた顔をした。
愛理と雅が友達なのは認める。でも、私と愛理の間に入らないでほしい。
雅は舞美の顔を見ていたが、黙ってその場を立ち去った。
言い過ぎたかもしれない。
雅が舞美に謝ってたよ、何かあったの?
何でもないと首を振ると、
そう。中学の頃、雅に告白されたの、舞美の事を憧れてるって。
え?舞美の事が大好きだって。意外だった。
愛理は舞美の耳に顔を寄せると、雅と浮気したら許さないよ。
見ると愛理はいたずらっぽい眼をしてる。