イベントが終わり、亜佑美とさくらは仲良く連れだって
近くのスーパーに寄る。
「お腹がすいた~」
「私が美味しいものを作るよ」
「わあ、楽しみ」
「でも、さくらの好きな小籠包は無いみたい」
「亜佑美さんの作るものなら何でもいいですよ」
売り場を見て回る。
「豚汁を作ろうかな。豚肉はどれくらいでいいかな、
百ｇじゃ少ないかな」
「二人なんだから二百ｇじゃないと」
「そだねー」
さくらは、亜佑美一緒にあれこれ喋りながらの買い物が
新鮮な感じで楽しくてうきうきする。
午後七時過ぎで割引のシールを貼ったパックが目立つ。
「お魚は好き？」
「いいですね」
亜佑美は魚売り場を熱心に見て品定めをする。
「亜佑美さん！このお魚三割引きですよ」
「う〜ん、まだまだ」
「あっこちら半額ですよ！」
見ると、ぶりのアラのパックだった。
手に取って見ると消費期限が今日までだった。
「さくらちゃん、半額だからって
飛びつくようじゃダメよ」
「なぜですか？」
「こうして傾けると赤い汁が出るのは
相当古い証拠なの」
なるほどと、さくらは感心する。
亜佑美はパックを持ったまま他の魚見ている、
すると亜佑美がそれをさりげなく籠に
入れるのをさくらは見た。
その時、店員が鯛のアラのパックを持ってきて置いた、
半額のシールが貼れている。
「二人だからもう一つ買わないとね」
とそれも籠に入れる。
見ているさくらに、
「消費期限は今日中だから今夜料理すれば
何の問題も無いのよ」
「そうですね・・」
後は大根などを買う。もちろん葉付きのもの。
キュウリは冷蔵庫に四本ほどある。
ジャガイモを取ると、
「ポテトサラダは好き？」
「大好きです」
部屋に帰ってさっそく料理に取り掛かる。
「さくら、ジャガイモをボイルしてね。時々箸でついて見て、
少し固めぐらいで火を止めてね」
「はい！」
亜佑美はぶりのアラの煮付けに取り掛かる。
鯛のアラは焼き魚にするので軽く塩を振って置く。
「お魚のアラの頭にはコラーゲンが豊富だから
美容にも良いし、美味しいし、お安いし
こんな良いものは無いわ」
「そうですね。こうやって亜佑美さんと二人だけで
お料理するなんて楽しいですね」
「そだね〜」
亜佑美は煮付け用のコンニャクを取り出すと、五センチぐらいの
短冊にして薄さ７ミリほどに切り、包丁で真ん中に切り込みを
入れてその切り込みにコンニャクの端を折り込んで通して
きれいなねじりコンニャクを作る。
「わあー！そんな風に作るんですね。初めて見た」
「こうするとコンニャクによく火が通るんよ」
後は味噌汁に豚こまを入れて豚汁を作る。
もちろん大根葉を入れる。
やがて安い材料にしては豪華で美味しそうな料理が
完成した。
ぶりアラと大根とコンニャクの煮付け。鯛アラの焼き魚。
豚汁。キュウリ入のポテトサラダ。キュウリとワカメの酢の物。
亜佑美の手作りの白菜の漬物。
「すごく美味しいですぅ。アラの煮付も美味しい！
鯛の焼き魚も。白菜のお漬物も良い塩加減で」
と、さくらは箸がすすむ。
「そう。よかった」
「本当に亜佑美さんはお料理が上手ですぅ。
亜佑美さんをお嫁にしたいです」
すると亜佑美は、ちょっと照れ気味に、
「それは、もうなってるようなものじゃない・・」
さくらは思わず箸を止めると、
「そ、そうですねぇ。私たち同棲してるんだから」
亜佑美はうなずくと、箸を取ってご飯をかきこんだ。
終り
