Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

チューブトップ

朝食はリゾットに温野菜とゆで卵、さゆにはオレンジジュース、
自分にはコーヒーが付いている。

自分のリゾットには海老や貝が入っているが、
さゆのリゾットには、ほうれん草やトマトが入っていた。
ここで朝食を食べるのも今日で最後になると思うと、
ゆっくり噛み締めながら食事を取った。

「明日からはここの美味しい料理を食べられなくなりますよ」
残念そうに言うと、

「可哀想〜。でも友男さんは帰ったらどんな物を食べてるの?」

ゆで卵の中身をスプーンですくってひと口食べると、
「普通は、アパートには食べる物など何も無いですね。
電気やガスは止まってる事が多いですからね、ガスが
通っていても料理する食材がまったく無いですしね。
あるのは、水だけです」


「でも、食事はどうしてるの?何も食べないわけには
いかないでしょうに」

「それは、大学に行けば給食として食事が配給されます、
とても食べられたものでは無いですが、飢えるよりは
ましですから、仕方なく食べてますが」

「どんなものなの?」

「いつもはペレットと言う合成食品です。屑肉や野菜屑を
固めたものです。それと水みたいなスープがつきます。
たまに、小麦粉をねって薄く伸ばして焼いたパンが出ます」

「どんな味なの?」

「ペレットですか?ひどい味ですよ。とても人間の食べるもの
では無いですね。なにか栄養剤が入ってるそうで、それを
食べれば何とか一日生きられるというしろものです」


「そうなの。私は毎日贅沢な食事をしてるから、悪いみたいね」

首を振った、
「さゆが悪いわけでは無いですよ。悪いのはこの国を支配して
いる連中なのです」
ちらっと上を見た、
どうせ今日が最後なのだから言いたい事を言わせてもらう。

「お肉なんかも食べられないようね」

「そうですね。家畜の餌を人間が食べるてる状態ですから、
家畜も数が少ないですね、特に牛や・・・」

『豚』と言いかけてあわてて口を閉じた。
今、さゆの前では『豚』は禁句なのだ。


食事が終わり、私はコーヒーを飲み、さゆは
ジャスミンティーを飲みながらくつろいでいた。
そして二人はソファーに並んで腰を降ろし、
さゆは私の肩に頭をつけて目を閉じている。
さゆがぽつりと言った。

「友男さんはこの後どうするの・・・」

「この後ですか?何も無ければ、また大学に通う生活を
続けると思います」


何も無いという意味は、さゆが生贄になるという私の想像が
間違いで、7月13日に何も起こらないという事だった。


「友男さんの夢は何なの」


その言葉を聞いて思わずさゆの顔を見た、
夢。ここ何年も夢などという事を考えた事が無かった、
夢さえも持てない、現実の世界があった。

「小さい子供の頃の夢でいいですか」
さゆはうなずいた。

「子供の頃、宇宙飛行士になりたいという夢を持っていました」

さゆはほほえんで、
「素敵な夢ね。男の子らしくとても素晴らしい夢だと思うわ」


「さゆはどんな夢を持っているのですか」

さゆは少しの間黙っていたが、やがて私を見ながら、
「私は小さい頃、可愛いお嫁さんになりたいと思っていたの」

はっとなってさゆを見た、
ごく普通の女の子のような夢をさゆも持っているのだと
思うと、なんだかさゆがいじらしくなってくる。


「素敵な王子様と結ばれて、可愛い双子の女の子を
産みたいと思っていたわ・・・」


「そうなんだ。さゆにはこれからそんな未来がいくらでも
やって来るよ。素敵な王子様もきっと現われるよ」

自分が果たしてその王子様になれるのかと思った。
さゆを幸せにさせてあげたいと願った。

しかし、さゆは首を振りながら、
「夢は夢でしか無いのよ。今の私には大事な役目が
あるの。その役目を負うために私は生きてきたのよ」


「そんなことはないよ!夢を必ず叶うと信じる事が
大切な事なんだ、
その役目とはいったい何なの!」

私は思わず大きな声を出してしまった、

なぜか監視してるはずの山口の声は無かった。

さゆは首を振りながら何も答えずに立ち上がった。
「お風呂の時間よ。ドレスを脱がせて」


後ろからフェミニンドレスを脱がせてやると、
さゆは肩紐の無いチューブトップのブラをつけている。
ドレスの肩紐だけにするためのようだった。
色はこれもピンクだった。

今日は一人だけでお風呂に入ると言って、さゆは
一人で浴室に向かった。
少しがっかりしてソファーに腰を降ろした。
シャワーの音で誰にも会話を聞かれる心配の無い、
お風呂の時間は、二人だけの秘密の時だったのにと
残念に思った。


その時、上のマイクから山口の声がかかった。


「私は所用があってしばらく席を外す。
替わりの者がいないし、録画装置は今故障している。
私は午後3時に戻る予定だが、それまで監視のカメラと
マイクは切る事になる。
監視装置が無いからといって不穏な行動をとらないように。
以上だ」

今11時過ぎだから、後4時間近く山口の監視から
逃れられるわけだ。しかし、なぜそれを私に告げるのか
山口の意図を測りかねた。
黙っていれば私には皆目わからないことなのに。



しばらくして、さゆの呼ぶ声がした、
「友男さん、バスタオルを持ってきて〜」

バスタオルを出してくると、浴室のドアを開けた。
さゆは背を向けて立っていた。
いつものように大きめのタオルでさゆの濡れた全身を
タオルで包むようにして拭いてやる。
首から下をくまなく拭いた後、髪の毛をゴシゴシと拭く。

拭き終わるとさゆはくるりと振り返ると、自分と私の間に
あるバスタルを取ると下に落とした。
そして背中に両腕をまわしてぴったりと抱きついてくる。


着ているTシャツを通じて素裸のさゆの湿り気をおびた温かく柔らかい
肌が感じられる。
さゆは顔を上げてキスをせがむように目を閉じた。
さゆを抱きしめながら、お望み通りさゆの唇に自分の唇を合わせた。


山口が見ていないと思うと、つい大胆になってしまい、
キスは今までに無い情熱的なものになってしまう、
口を開き気味にしてお互いの舌が触れ合うほどの
ディープなキスに発展していく。
さゆの背中に回した私の手が下がってさゆのお尻に触れた。

自分自身に危険なものを感じて、思わずさゆの唇から逃れた。
生まれたままの姿のさゆを抱きしめている状況は、
強く自制しなければいけなかった。
さゆを女性として性的なものを感じないと言えば、嘘になる。


さゆは光る瞳で見詰めながら、

「今、この瞬間にあなたは何を考えているの?」

「何も・・・」

「嘘よ。桃子さんのように、私を抱きたいと思っているのよ」

その言葉に、残念ではあるがさゆから体を離しながら、
「僕は子供を抱く気は無い」


幼い頃からこのビルに閉じ込められていて、おそらく男性と一切
接していないはずの、まもなく15歳になる少女を抱けるはずがない。
将来はともかく、今はダメだ。


落ちていたタオルを拾うと、まだ濡れているさゆの髪の毛を
ゴシゴシと強く拭いてやる。

さゆは不満そうにそのタオルを掴むと、
「私はもう子供じゃないわ」

その濡れたタオルをさゆの手から取ると、乾いたバスタオルを
出してくると、さゆの体を巻いてやる。
胸の前で留めようとして指が内部に入って乳房に触る。


さゆはいきなり自分の胸にある私の手を、自分の手で上から押さえつけた。
「こんなに胸だってあるんだから」


さゆの柔らかい乳房を掌に感じる。
冷静さを装って、
「15にもなれば誰だって胸は大きくなるよ」


さゆは何か言いたそうだったが、
そのまま浴室を出て行く。私も後に従う。さゆはまっすぐ寝室に入ると
巻いていたタオルを取り去るとベッドに腰を降ろした。
そして片方の足を上げて私に向ける。

もちろん、それは下着を穿かせろという思し召しなのだ。

私は衣装タンスの下の引き出しを開けて収めてある下着を
選びにかかる。さゆのお気に入りの下着を選び出すのは
結構難儀な事なのだ。

ピンクのショーツを取り出すと、さゆの前にひざまずいて、
さゆの片方の足に通してやる。続いてもう片方の足を上げさせて
通してやってから、つつーと太腿まで上げてやる。


幸いこのショーツはお気に入りだったようで、さゆはベッドから
腰を上げると、ショーツを腰の上の所定の位置まで上げた。



続いて、タンスから同じようなピンクのブラを取り出すと、
背中を向けているさゆに後ろから付けてやり後ろで留める。

不思議なもので、ここまでやっていると、さっきの素肌の
さゆを抱きしめていた時のたかぶった感情は収まっていて、
なにか、義務的な感じで下着を付けさせてやる事が出来た。

さゆは下着をつけ終わると、衣装タンスの中を見渡し
この後身につけるドレスを選んでいる。

金貨


午後になると、あの女医がやって来てさゆの診察を
始めたので部屋の外に出ると、
所用を済ませた山口が現われて、私を階下の事務所へ
連れて行った。

山口は自分の部屋に入ると私をデスクの前に座らせると、
「一ヶ月間、色々な事があったが何とか無事に最終日を
迎える事が出来たわけだ。ご苦労様と言っておく」

テロリストによるミサイル攻撃で死にかけたり、
さゆの自殺未遂騒ぎなど、波乱万丈の一ヶ月だった。

「さて、報酬だが、米ドル、欧州ユーロ、中国人民元
揃えている。希望の外貨を選んでくれ」


「そうですか。良かった、円で支払れるのかと思って
いましたよ」

国内の惨状で円相場は、かって約百年前の固定相場時代の360円まで
下落した後、外国為替相場から取引停止になっていた。

「通貨が嫌なら、金貨も用意している。
オーストラリア政府から発行された純度99・99%の金貨だ。
米ドルで三千ドルの価値がある」
「ありがとうございます。では、金貨でお願いします」
「よし。帰る時までに渡す」

「その金貨で百万本の薔薇を買えますか」
冗談めかして言った。

山口は顔を上げて、
「百万本は無理だが、一万本の薔薇を買えるだろう」
彼は真面目な顔で言った。


「なるほど」
通貨としての円が無価値になっている今は、金が
もっとも信じられる財産なのだ。

「どうするのだ、さゆみ様に贈るのか」

この薔薇を贈る話は、例のシャワー室での二人だけの
会話の中の話だった。
「・・・そんな所です」

10階に戻ると、部屋から女医が出て来た、
女医は私を見ると、
「今日は、あなたも診察するようにと言われてるの」
「僕はいたって健康ですよ。その必要はありません」

しかし、女医は私をつかまえると、廊下に置かれた
椅子に座らして診察を始めた。
胸のネームに「SUGAYA」とあった。


二十代後半ぐらいで、長い茶髪を後ろでまとめた彼女に
大きな黒い瞳で見据えられると従うしかなかった。
女医が脈をはかるため手首を取った時、
チクリと手首に痛みを感じて、そのまま意識を失ってしまう。


すぐに飛び起きたが、意識を失っていたのは、
ほんの一瞬のような気もするし、数時間のような気もする。
あの女医は自分に何かを施したのかと気になった、
別に体の異常は何も感じなかったのだが。



聖少女 16

キャミソール


さゆの選んだドレスは、ピンクのワンピースのショートドレスで、
キャミソールの胸元に少しだけドレープ(ひだ)ができるのが
上品で、膝くらいのスカートの4段ものフリフリがキュートな
感じだった。

さゆはドレスを着け終えると、可愛くポーズをつけて、
「どうかしら、これはキャミドレスっていうの」


「ものすごく可愛いよ。スカートのフリフリがとっても良いね」

「ありがとう〜」
さゆは嬉しそうに輝くような笑顔で私の腕を取った。


「踊りましょう」


戸惑って、
「僕は踊れませんよ」

「大丈夫、ただ音楽に合わせてればいいのよ」

さゆは壁に向かって腕を伸ばし指先をひらひらと動かした。

すると、音楽が流れ出した。
二人は寄り添いながら体を動かした。

どう踊ればいいのかわからないので、さゆの背中に
そっと手をやると彼女の動きに合わせた。
音楽はバラード風な感じだった。
さゆに聞いた、

「この曲はなんていうの」
「これは50年も前の曲で、雪の華っていうの」

二人は手を握り体を寄せ合っていつまでも踊り続けた。



30分近く踊ると、さゆは私を見て、
「ちょっと疲れたの。ベッドへ運んで行って」

さゆは私の顔をじっと見詰めた。何か企んでるようにも見える。

疲れた風には見えなかったが、お姫様の言う通りにお姫様抱っこで
さゆをベッドに運んで降ろした。


さゆは私を見上げて言った、
「最後にお願いがあるの」


「僕に出来る事なら何でも」


「私を抱いて欲しいの」


一瞬何の事かとわからなかった。
抱きしめて欲しいのかと思ったが、
すぐに気がついた。さゆはある行為をして欲しいと言うのだ。


「そんな事出来ないよ。
たとえ、今監視カメラとマイクが作動していないとわかっていても、
さゆを抱く事なんて出来ない」


「今、監視カメラとマイクは動いていないの?」

「そうだよ。さっきさゆがお風呂に入っている時、山口さんが
外出するから、カメラとマイクを切ったと言われたよ」



さゆは私を真っ直ぐに見つめると、

「もう永遠に友男さんと会えないかもしれないわ。
最後に想い出を残して欲しいの。

「出来ないよ、子供を抱くなんて出来ないよ!」

さゆは腕を伸ばして私の手を掴むと、
「私を何も知らない子供だと思わないで」


「そんな事思えないよ」

「じゃあ言うわ。私は子供じゃない証拠があるの」

証拠ってなにを言い出すのか、


「私は、一度だけど男の人に抱かれた事があるの」

私は驚いてしばらく口がきけなかった。
ようやく話せるようになって、


「本当なの?!」

「嘘じゃないわ」

「誰と、どんな男と?!」

「言わないといけない?」


聞きたくは無かったが、でもどんな男なのか知りたい。

「僕がももとの事を話したのだから、さゆも話して欲しいな」


しばらく考えていたさゆは、驚くべき事を言い始めた。

「私には兄がいるの。優しくて大好きなお兄ちゃんだったの」

「・・・」


「私が14歳になってすぐだったわ。最後に家族の一人だけに
会わせてくれる事になって、私は兄を指名したわ。それでこの部屋で
会ったの」


「会ったって、まさか」

「そのまさかよ。子供の頃から大好きなお兄ちゃんに抱かれたいと
思っていたの。その願いをかなえたいと考えていたの」

「なんというか、この部屋で?」
「そうよ」


「その、お兄さんはなんて?」
「お兄ちゃんは驚いていたけど、私の最後の願いを聞いてと言うと
なんとかうなずいてくれた」

「それで、ここでお兄さんに抱かれた?」

さゆはうなずいた。


「しかし、この部屋には監視カメラが常に見張ってる」

「それは、私はある時監視カメラの死角を見つけたの。
あのスタジオの隅なの。
その死角をいつか利用しようと思っていたの」


「それでも・・・マイクがある」

「そう。声を出そうになるのを堪えるのが大変だったわ。
声を出さない為にお兄ちゃんの肩にずっと強く噛み付いていたの。
「だからお兄ちゃんに痛い思いをさせて悪かったわ」

究極の兄妹愛なんだな思う。

確か生贄は、処女でなければいけないはずだ、山口もまさか
実の兄に抱かれるとは思って無いだろうし。


しかし、さゆは物心つく前にこのブリードビルに閉じこもって
いた筈だから、その男女の性愛をどれだけ知っているのだろう。
それを言うと、

「私は本で読んだの。昔の恋愛小説をたくさん読んだわ。
だから男女の性愛も知ってるつもりよ」

ふとその口ぶりから果たしてさゆは本当の性愛と言うものを
知っているのか、疑問がわいてきた。


「抱かれるのは初めてだから大変だっただろうね・・・」

「ええ、大変だった。でもお兄ちゃんが優しくしてくれたから
全然痛くなかったわ」

「全然痛くなかった・・・」

「そりゃあ、お兄ちゃんがその、あの私のオシッコをする所に
触ってきた時は思わず興奮して声が出そうになったけど」

「そう。それから?」


「え?それからってそれで終わりでしょ」

「はあぁ?その後お兄さんは何かしなかったの?」

「何かって何を?」

「その、手で触った後に何かしなかったの?」

「その後は何もしなかったわ。性愛ってそういうものでしょ?」


どうやら、さゆは性愛、セックスというものをとんだ勘違いを
しているようだった。
恋愛小説はポルノと違ってセックスの場面は、はっきり書かないし、
セックスというものを、さゆなりに想像していたのかもしれない。

お兄さんも、さゆの部分を触っただけで、思いとどまったのだろう。


さゆに衣通姫の物語を聞かせたときに、兄妹の王子と王女が
禁断の恋をした時に涙を流したのは、自分も兄に抱かれたと思い、
自分自身と衣通姫を重ね合わせたのだろう。


もちろん、私はさゆに本当のセックスとはどういうものか、教えるつもりは無い。

さゆは起き上がり、腕を伸ばして私の首に腕を回して、
「だから、お願い。私を抱いて」

まさか、自分もさゆのあの部分を触ってさゆを抱いたと思わせるなんて、
到底出来るはずが無い。


「僕にはどうしてもさゆを抱くなんて出来ないよ。さゆのお兄さんの
気持ちを考えると」

「お兄ちゃんの気持ちって?」

「だってお兄さんはさゆの初めての経験の相手なんだし、そんな
お兄さんの気持ちをさしおいてさゆを抱くなんて出来ないよ」


それを聞いたさゆは、私を見ながら考えていたようだが、

「そうね。お兄ちゃんの気持ちも考えないとね。わかった。友男さんに
抱かれるのは諦めるわ」

どうやらさゆをごまかす、いや、さゆを納得させたようだ。