Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

キャミソール


さゆの選んだドレスは、ピンクのワンピースのショートドレスで、
キャミソールの胸元に少しだけドレープ(ひだ)ができるのが
上品で、膝くらいのスカートの4段ものフリフリがキュートな
感じだった。

さゆはドレスを着け終えると、可愛くポーズをつけて、
「どうかしら、これはキャミドレスっていうの」


「ものすごく可愛いよ。スカートのフリフリがとっても良いね」

「ありがとう〜」
さゆは嬉しそうに輝くような笑顔で私の腕を取った。


「踊りましょう」


戸惑って、
「僕は踊れませんよ」

「大丈夫、ただ音楽に合わせてればいいのよ」

さゆは壁に向かって腕を伸ばし指先をひらひらと動かした。

すると、音楽が流れ出した。
二人は寄り添いながら体を動かした。

どう踊ればいいのかわからないので、さゆの背中に
そっと手をやると彼女の動きに合わせた。
音楽はバラード風な感じだった。
さゆに聞いた、

「この曲はなんていうの」
「これは50年も前の曲で、雪の華っていうの」

二人は手を握り体を寄せ合っていつまでも踊り続けた。



30分近く踊ると、さゆは私を見て、
「ちょっと疲れたの。ベッドへ運んで行って」

さゆは私の顔をじっと見詰めた。何か企んでるようにも見える。

疲れた風には見えなかったが、お姫様の言う通りにお姫様抱っこで
さゆをベッドに運んで降ろした。


さゆは私を見上げて言った、
「最後にお願いがあるの」


「僕に出来る事なら何でも」


「私を抱いて欲しいの」


一瞬何の事かとわからなかった。
抱きしめて欲しいのかと思ったが、
すぐに気がついた。さゆはある行為をして欲しいと言うのだ。


「そんな事出来ないよ。
たとえ、今監視カメラとマイクが作動していないとわかっていても、
さゆを抱く事なんて出来ない」


「今、監視カメラとマイクは動いていないの?」

「そうだよ。さっきさゆがお風呂に入っている時、山口さんが
外出するから、カメラとマイクを切ったと言われたよ」



さゆは私を真っ直ぐに見つめると、

「もう永遠に友男さんと会えないかもしれないわ。
最後に想い出を残して欲しいの。

「出来ないよ、子供を抱くなんて出来ないよ!」

さゆは腕を伸ばして私の手を掴むと、
「私を何も知らない子供だと思わないで」


「そんな事思えないよ」

「じゃあ言うわ。私は子供じゃない証拠があるの」

証拠ってなにを言い出すのか、


「私は、一度だけど男の人に抱かれた事があるの」

私は驚いてしばらく口がきけなかった。
ようやく話せるようになって、


「本当なの?!」

「嘘じゃないわ」

「誰と、どんな男と?!」

「言わないといけない?」


聞きたくは無かったが、でもどんな男なのか知りたい。

「僕がももとの事を話したのだから、さゆも話して欲しいな」


しばらく考えていたさゆは、驚くべき事を言い始めた。

「私には兄がいるの。優しくて大好きなお兄ちゃんだったの」

「・・・」


「私が14歳になってすぐだったわ。最後に家族の一人だけに
会わせてくれる事になって、私は兄を指名したわ。それでこの部屋で
会ったの」


「会ったって、まさか」

「そのまさかよ。子供の頃から大好きなお兄ちゃんに抱かれたいと
思っていたの。その願いをかなえたいと考えていたの」

「なんというか、この部屋で?」
「そうよ」


「その、お兄さんはなんて?」
「お兄ちゃんは驚いていたけど、私の最後の願いを聞いてと言うと
なんとかうなずいてくれた」

「それで、ここでお兄さんに抱かれた?」

さゆはうなずいた。


「しかし、この部屋には監視カメラが常に見張ってる」

「それは、私はある時監視カメラの死角を見つけたの。
あのスタジオの隅なの。
その死角をいつか利用しようと思っていたの」


「それでも・・・マイクがある」

「そう。声を出そうになるのを堪えるのが大変だったわ。
声を出さない為にお兄ちゃんの肩にずっと強く噛み付いていたの。
「だからお兄ちゃんに痛い思いをさせて悪かったわ」

究極の兄妹愛なんだな思う。

確か生贄は、処女でなければいけないはずだ、山口もまさか
実の兄に抱かれるとは思って無いだろうし。


しかし、さゆは物心つく前にこのブリードビルに閉じこもって
いた筈だから、その男女の性愛をどれだけ知っているのだろう。
それを言うと、

「私は本で読んだの。昔の恋愛小説をたくさん読んだわ。
だから男女の性愛も知ってるつもりよ」

ふとその口ぶりから果たしてさゆは本当の性愛と言うものを
知っているのか、疑問がわいてきた。


「抱かれるのは初めてだから大変だっただろうね・・・」

「ええ、大変だった。でもお兄ちゃんが優しくしてくれたから
全然痛くなかったわ」

「全然痛くなかった・・・」

「そりゃあ、お兄ちゃんがその、あの私のオシッコをする所に
触ってきた時は思わず興奮して声が出そうになったけど」

「そう。それから?」


「え?それからってそれで終わりでしょ」

「はあぁ?その後お兄さんは何かしなかったの?」

「何かって何を?」

「その、手で触った後に何かしなかったの?」

「その後は何もしなかったわ。性愛ってそういうものでしょ?」


どうやら、さゆは性愛、セックスというものをとんだ勘違いを
しているようだった。
恋愛小説はポルノと違ってセックスの場面は、はっきり書かないし、
セックスというものを、さゆなりに想像していたのかもしれない。

お兄さんも、さゆの部分を触っただけで、思いとどまったのだろう。


さゆに衣通姫の物語を聞かせたときに、兄妹の王子と王女が
禁断の恋をした時に涙を流したのは、自分も兄に抱かれたと思い、
自分自身と衣通姫を重ね合わせたのだろう。


もちろん、私はさゆに本当のセックスとはどういうものか、教えるつもりは無い。

さゆは起き上がり、腕を伸ばして私の首に腕を回して、
「だから、お願い。私を抱いて」

まさか、自分もさゆのあの部分を触ってさゆを抱いたと思わせるなんて、
到底出来るはずが無い。


「僕にはどうしてもさゆを抱くなんて出来ないよ。さゆのお兄さんの
気持ちを考えると」

「お兄ちゃんの気持ちって?」

「だってお兄さんはさゆの初めての経験の相手なんだし、そんな
お兄さんの気持ちをさしおいてさゆを抱くなんて出来ないよ」


それを聞いたさゆは、私を見ながら考えていたようだが、

「そうね。お兄ちゃんの気持ちも考えないとね。わかった。友男さんに
抱かれるのは諦めるわ」

どうやらさゆをごまかす、いや、さゆを納得させたようだ。