Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

Twitter小説 二


芝生とトランペット 二


第4章
帰りに舞美の家に寄る。家には妹のえりかが居た。
二つ下のこの子はなんか苦手。
可愛いのだけどきつい所がある。
舞美の部屋で例によってべったりとくっついて本を見てたら
ノックもなしにえりかが入って来た、ジュースを持っている。
気のせいか一瞬えりかの冷たい視線を感じたような気がする




翌日、舞美に電話を掛けた。
なぜか、えりかが出て姉は今いないと言う。切ろうとしたら、
「鈴木 さん」え?
「お姉ちゃんを奪らないで」
えええ〜〜〜〜〜?!何何何、この子何を言ってるの?
すぐに電話は切れた。
翌日、近所の本屋でえりかを見かけた。迷ったけど声を掛ける。



えりかは私を見て笑顔で挨拶する。なんか飲まない?おごるわ。
えりかは嬉しそうに頷いた。
えりかはケーキを頼んで美味しそうに食べている。
思い切って直球を投げる。
私はあなたのお姉ちゃんを奪ったりしないわ。
えりかは顔を上げて私を見た。
何を考えてるのかわからないので不安になる。



えりかは笑うと「ごめんなさい。私嫉妬深いの」みたい。
「鈴木さんとお姉ちゃんがあんまり仲が良いのでついあんな事を
言っちゃったの。忘れてください」
見た限り、舞美とえりかは普通の姉妹にしか見えないけど、
傍目にはわからない親密さがあるのかもしれない。
私と舞美の関係のように。




えりかは左手のスプーンでケーキを口に運ぶと、
「私、鈴木さん好きですよ」
好きならあんな事は言わないと思う。
「野球部のエースなんか嫌い」はあ?
「鈴木さんもあの人嫌いでしょ」
探るような目で私を見つめてくる、
なんだか・・・この子怖い。
私の気持ちを見透かしてるみたい。



第5章
帰ると、従姉の純子さんが来てた。
純子さんは自由気ままに言いたい事を言い、やりたいように振舞う。
しかし決して人の悪口や人を貶める事はしない。
そんな純子姉さんが好きだった。
私を見ると嬉しそうに近づいて手を掴まえてくる。
「愛理、元気にしてた」首に手をまわす



私の顔を覗き込むと、「なんか元気ないんじゃない」
純子さんは顔色を読むのが上手い。二人で私の部屋に行く。
ちょっと悩みがあるの。
「何々、わかった!好きな人が出来たんだ」当たってると言える。
でも、その人には他に好きな人がいるの。
「好きだったらそんな事関係ないない」



それに、その人は女の子なの。
「関係ないない。好きだったら相手が女の子だろうと
男の子だろうと関係ない。もう告白したの?」
首を振る。
「私も女の子大好き。愛理の事も可愛いから大好き!」はああ?
「チューしたいくらい好き」ええ〜〜〜〜!?
「正直、私の事気持ち悪いと思う?」少し思った。



「それが普通の女の子の気持ち。
相手の子の気持ちがわかった?」
はっとなって純子さんを見た。たしかにその通りだった。
「告白するのならあせらず慎重にね。その子は愛理を
どう思ってるの」親友として私を好きだと思う。
「それなら簡単。少しずつ皮を剥くように愛理の
気持ちを伝えていけばいいわ」



でも、舞美には好きな彼がいる。
「その人はどんな人」
野球部のエースで皆から憧れられてる存在。
舞美も彼を尊敬してると思う
「愛理はその人に負けない何かを持ってるはずよ」
考えて、舞美を想う気持ちは彼には絶対に負けない
「それでいいのだ」
私の首に腕をまわして「応援してるよ」



純子さんは仕事を辞めたらしい。
「ようするに首になったの」と笑い飛ばす。
「これからは自分の好きな事をやるの」
純子さんは23歳、限りない未来がある。
今夜は泊まってよ。私が言うと私の首に腕を回すと、
「そうだ一緒にお風呂入ろ〜」ええ〜?!
「昔はよく一緒に入ったじゃない」



私が先に入ってると純子さんはゆうゆうとお風呂に入ってきた。
どこも隠さずにどおという風に私を見た。
あまりに堂々としてるのでこちらも遠慮なく見れる。
ピンク色の乳輪が大きい。乳首も大きめのような気がする、
私と較べて。
要するに大人の女性なのだと納得する。
でも下の毛は薄い。



体を洗ってる私の側に座ると、「洗いっこしよう」
とボディソープを私に掛けてスポンジで洗ってくれる。
「昔はよくこうやったね〜」手の平で私の体を撫で回す、
くすぐったくて、止めてください、って言っても止めないので
こちらも脇の下に手を入れてやると、
ギャャハハハハハ〜〜〜と笑い出す。子供みたい



さんざん大騒ぎした後、お湯に浸かる。
狭い湯船に向き合って入る。
「愛理も成長したね、昔は胸なんかぺったんこだったのに」
今でも大して変わらないけど。
「そのうち大きくなるよ」うなずいて純子さんの胸を見てたら、
「触ってもいいよ」はあ?私の手を取って触らせようとする、
いいですいいです!?あわてて手を引っ込める。



あわてて湯船から出る。髪を洗ってると
「洗ってあげるよ」後ろでごしごしと髪を洗ってくれる。
すごく気持ちがいい。舞美に洗って貰った事を思い出す。
時々何か背中に触れてくるものがある。
どうやら純子さんの乳首の先らしい。
でも硬く尖ってるような気がする。
大人の女性の乳首は皆そうなのかな。



最終章

日曜日、舞美に電話を掛けた。出たのは妹のえりかだった。
嫌な予感がした。
「福田先輩、今日デートみたい」はあ?デートって舞美と?
「お姉ちゃんは居るよ」福田先輩は野球のキャプテンで舞美の彼。
その先輩が誰とデートしているの?
それに、なんでそれをえりかが知っているの?



「私の中学の同級生の友達に、花音ちゃんがいるの」
福田先輩の妹「私の情報源ってわけ」
なるほどね福田先輩のデートの相手は?
「石川先輩よ」あのテニス部のキャプテン
「あのモンロー石川よ」
モンローの意味知ってるの、「誘惑するって事でしょ」


モンロー石川


とにかく、舞美の家に行く事にした。
入るとえりかが顔を出した。舞美に彼のデートの事は言ったの?
「言えるわけないよ。鈴木さん言ってよ」言えるわけないじゃない。
舞美の部屋に行くと、舞美は例の野球部のレポートをまとめていた。
待ってると、終わると舞美は笑顔で顔を上げた。



「明日キャプテンにレポートを提出するわ」
一度聞きたいと思ってたの。彼ってどういう人?
「野球に一途だし、勉強も出来るし、味方のエラーで負けても、
ドンマイ!って言える人。本当に尊敬してる」
舞美は熱く語った。そうかもしれない、でも浮気してる。
浮気を知ったら舞美はどうなるの



「お腹減ったな、外へ食べに行こうよ。
パスタ食べたい」二人で喫茶店に行く事にした。
先に店に入った舞美の足が止まった。
見ると、彼と石川先輩の二人が居た。舞美は足早に店を出て行った。
一瞬見た表情が硬かった。私は二人を凝視した。
彼は私に気がついて手を上げた。石川先輩が振り返った




私は二人に頭を下げると店を出た、
遠くに舞美が駆けて行くのが見えた。
懸命に追いかけたがすぐに姿が見えなくなった。
舞美の家に戻っても舞美は帰っていなかった。
辺りを捜していて、公園のブランコに舞美が座ってるのが見えた。
側のブランコに私も腰を降ろした。
しばらくブランコをこいだ。



何も言わない舞美に、話しかける。
パスタ食べ損なっちゃったね。
福田先輩、偶然石川先輩に会ったんだって。
舞美は私を見た、なんだか寂しげに見える。
「石川先輩って綺麗でテニスも上手くて私も憧れてたの」
そうなんだ。でもモンロー石川って言われてる。
帰ろうと舞美の腕を取った。



翌日の放課後、気になって野球部の練習を見に行く。
キャプテンがシートノックでバットを振っていた。
舞美が立って、ボールを渡していた。
気のせいか、二人の間に微妙な距離があるような気がした。
一人で帰りながら、私はどうすればいいのか考えた、
従姉の純子さんに電話を掛けた。



これまでの事を純子さんに話した。
純子さんは少し考えてから、
「仮に私が愛理の立場になって言うわ。
ライバルの彼が浮気して舞美から離れると私には好都合ね。
だから彼が浮気してる事を舞美に吹き込むわ。
有ること無い事吹き込んで彼から引き離すの。
こんな私をどう思う?遠慮なく言って」 



もし純子さんがそんな事したら、純子さんを軽蔑します。
「それでいいのだ。愛理に軽蔑されたくないわ」
ごめんなさい。純子さんはそんな事絶対するはずないのに。
「あなたが彼女に何をして上げられるか、
あなたにはわかってるはずよ」
はい。舞美を悲しませたくない、
舞美の泣顔を見たくない。




翌日。石川先輩のいるテニス部の練習を見に行く。
練習が終わり、石川さんが一人になるのを辛抱強く待った。
石川さんが洗面所で手を洗っている所に近づく。
石川さんは、美人でスタイルもよくて、
私も一年の頃は憧れの目で見ていた。
「あら、あなたはこの前の」
2年の鈴木愛理です。頭を下げて言う



単刀直入に言った。石川先輩は福田先輩と付き合ってるのですか。
石川さんは不審げに「おかしな事言うわね。
私が誰と付き合おうとあなたに関係無い事でしょ」甘ったるい声だ。
はい。私の友達の舞美は福田先輩と付き合ってると私は思っています。
「そうなの。私が友達の彼を奪ったって言いたいの」



そうではありません。福田先輩と本当に付き合ってるのか
お聞きしたいだけです。
「言っとくけど誘って来たのは彼からよ。
素敵な人だと思ったから相手をしただけよ。
文句があるなら彼に言いなさいよ」甲高い声で言う。
わかりました。頭を下げて離れた。
この人に何を言っても無駄なようだ。



考えたあげく、最後の手段を取る事にした。
えりかに言って、花音ちゃんの携帯の番号を教えて貰う。
花音ちゃんに、兄さんからと舞美を近所の遊園地に
呼び出して貰いたいとお願いする。
事情は全部言えないけど頭の良い花音ちゃんはわかってくれた。
次は私の出番。彼に電話を掛ける。



次の日曜日に彼に話しがあるから遊園地に来てくれと言う。
来ないと石川先輩の事を舞美にばらすと脅かすと否応も無い。
最近二人は学校を出るとデートどころか会話も無いし、
遊園地で二人で会って話し合う事が必要だと思う。
あんなモンローよりも舞美の方がよい事がわかるはずだ。



日曜日。えりかと花音ちゃんに確かめると、
二人共出掛けたようだ。何だか私の方がドキドキする。
そりゃあ舞美が私の方を振り向いてもらいたい、
でも、舞美を不幸な目に合わせたくない。
舞美の不幸は私の不幸でもある。雲行きがあやしい
集中豪雨の危険があると予報。どうか降らないで。



家に居ても二人の事が気になって仕方ないので、
遊園地に行って見る事にした。
家を出るとすぐに雨が降り始めた。
段々風雨が激しくなって傘なんて役に立たない、
ずぶ濡れになりながら歩いてると、
土砂降りの中、向こうから誰かが傘も差さず歩いてくる。
近づいて見ると舞美だった。



舞美は全身ずぶ濡れで長い髪が顔に張り付いてまるで幽霊みたい、
私に気づかず、通り過ぎようとしたので
舞美!と声を掛け腕を取った、
振り向いたその顔が真っ蒼で本当に幽霊みたいだった。
舞美!どうしたの!彼はどうしたの?!
激しい豪雨の音で、叫ぶように問いただす、




突然突風が吹いて、私の手から傘が吹き飛ばされて飛んで行った。
豪雨が顔直接当たるので目を開けてられない、
舞美のブラウスが濡れて下着が浮き出している
私も下着までぐっしょり濡れていた。
「愛理、私の短所がわかる?私の何処が悪いの?」
この豪雨の中でそんな事を聞かれても、彼に言われたの?
舞美に悪い所なんて無い!





雷まで鳴り出して、稲光で辺りが一瞬明るくなる。
舞美の腕をつかまえて叫ぶように、もう帰ろう!
「私って、ダメな人間なのよ、誰も相手にしてくれない」
そんな事無い〜!!私は舞美が好きよ!
誰よりも舞美が大好きなのよ! 
そう言って舞美にしがみついた。
舞美はふらついて倒れこんだ、



私も一緒に倒れこんで泥だらけになる。
目の前に寒さにぶるぶると震えている舞美の顔があった
その唇にキスした。一瞬舞美は戸惑った瞳を見せたが
すぐに瞳を閉じて私の唇を受け入れた。
舞美の濡れた唇を感じる。
しばらくして起き上がると、
豪雨が嘘のように上がっていた。
空に虹が見えた。



エピローグ

純子さんから電話が来て、あれからどうなったか知りたいので
自分の所に来ないかと言う。
なんとなく変な予感もしたけど行く事にする。
純子さんの部屋でお茶を飲みケーキを食べながら
すべて純子さんに話した。
「そういうわけ、結果的には良かったわね」
本当に良かったかどうか、まだわからないけど・・・




「愛理の誠意が通じてこういう結果になったのよ」
私はただ舞美の事だけ考えてしただけなの、それだけ。
「わかってるわ。愛理の告白を受け入れて貰えたのね」
告白って、ただ私の気持ちを言っただけなの。
「そしてドサクサに紛れて初チューをするなんて抜け目ないわ」
そんなんじゃない



ただ成り行きでそうなってしまったと言うか、
「あのね、悪いけど愛理の初チューは、実は私がしたの」
はああああ?!
「昔、一緒に寝た時、愛理の寝顔があんまり可愛いので、
つい、唇にチューしちゃったの」はぁ・・・・
「こうなったのも私のアドバイスがあったおかげでしょ」
そうかも。



「そのお礼をしたくない?」 はあ?
「今夜はここに泊まっていかない?」なにを企んでるの、
「めでたく愛理も恋人が出来たわけだから、女の子同士の
イクラヴのやり方を私が教えて上・げ・る」
ちょっとちょっと止めてください!!
「心は舞美ちゃんに捧げても、体だけ私に捧げてよ」
純子さんの毒牙にかかる前に、私は逃げ出した 。


終わり






芝生とトランペット その後