Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

銃弾


野武士出身の蜂須賀小六は古くからの秀吉の
家臣で剛の者である。秀吉も絶対の信頼を
おいている。
二人は地図を広げて目前に迫った中国攻めに
備えて密議をしていた。
中国攻めはまず播磨から手をつけることとなる。


東播磨の武将はほとんど織田方に加勢すると
約しているから、問題は西播磨の毛利方に組して
いる城をいかに攻略するかだ・・・」

秀吉はまだ播磨をまとめる別所長治が織田に
反旗を翻して、東播磨の三木城に立てこもっている
ことを知らなかった。


「その通りでござる、早くから恭順を示している
黒田官兵衛の姫路城を足がかりにまず上月城
攻めることが肝要と思われます」
と、小六が意見を述べる。


「そうだな、上月城が落ちれば尼子勝久を入れよう」


その時突然、小六が口に指を当てて秀吉を制して
立ち上がると、掛けてある槍を手に取った。


小六は槍を構えると、天井目がけて突き出した。
何度も天井板を突き刺す。


「小六、どうした!曲者か!」


小六は、降ろした槍の穂先に血がついていない
ことを確かめて、


「どうやら、取り逃がしたようですな・・・」


「さては、毛利の間者か!」


「ほとんど、気配を感じさせないところを見ると、
忍びの者かもしれません」


小六はすぐさま部屋を出ると人を呼んで、


「今、曲者が侵入した!まだ城内に隠れているやも
しれぬ、ただちに網を張ってネズミ一匹たりとも
逃すでない!」


と、命を下した。 それに応えて黒い忍者装束の者
数人が走り出した、一人は鉄砲を持っている。


それと同時に大勢の兵士が外庭に出て、かがり火を
いくつも焚いて辺りを赤々と照らし出した。
松明も持った兵士もあちこちを走り回る。


麻里はその様子を城の高い屋根の上からは見ていた、
ただちに城外へ逃れないと厄介な事になる。
屋根を伝わって下に降り、堀の手前の城塁の屋根から
一気に跳躍して堀を越えようとした。


悪いことに雲が切れて、こうこうと満月が辺りを照らし出した。


麻里が大きく宙に跳躍した姿を鉄砲を持った忍者が
発見した。


「いたぞ!」


叫ぶと同時に、麻里目がけて発砲した。


麻里が地上に飛び降りた瞬間、バーンッ!と銃声が響き、
麻里の太ももを熱い銃弾が貫いていた。