Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

監視


電気の復旧作業は夜になっても終わらなくて、
どうやら明日までかかるようだった。
そして夕食の弁当を食べ終わると、私の帰る時間に
なり、出入り口のドアが開いて山口が姿を現した。

しかし、さゆは私に強くすがり付いてきて、
「お願い、今夜だけは側にいて・・・とても怖いの」
今にも泣きそうな表情で訴えた、

私も同じ思いだったので、
山口に向かって言った、
「どうかお願いします。今夜だけはさゆの側に
ついてやりたいのです」

山口は、じっと二人を見ていたが、
「わかった。今夜だけここに泊まることを許す」
それを聞いたさゆの顔がぱっと輝いた。


さゆが着替えるため寝室のある自分の部屋に
下がった後、
「ありがとうございます」
と、山口に頭を下げた時、
山口は表情を変えずに言い渡した、
「キスぐらいは大目に見る。それ以上のことは許さん」

「はあぁ〜?!」
驚いて、上の監視カメラと山口を見比べた、
「だって、監視カメラは停電で作動しないはずじゃ
なかったのですかぁ」
「外からの送電が止まったら、ただちに自家発電に
切り替わって監視カメラは引き続き作動しているのだ」

思わず首を振ってソファーに座り込んだ、
爆発直後の最初のキスは見逃しただろうが、
2回目のあの情熱的なキスは見られてしまったのだ。

山口は続けて言い渡した、
「それから念のために言っておくが、あの監視カメラは
暗視装置が付いてるから、例え明かりが消えても常に
監視されていることを忘れるな」


私は肩をすくめて、
「わかりました。するとあなたは一晩中モニターの前で
監視を続けてるというわけですね」
と皮肉を込めて言うと、

「もちろん、私が24時間監視しているわけではない、
他の人間が代わりをする場合もある、それに夜は
録画して後で見ることになる」

私が納得して、立ち上がると、
「さゆみ様は今日の爆発で非常に不安定な状態にある、
お前が側についてやるしかない」
「わかりました。それで僕はさゆの寝室で休んでも
いいのですね」
「それはかまわない。しかし、繰り返すがキス以上の事は
許されない」

私はむっとして、
「キス以上の事とはどんな事なんですか!
あの子はまだ14歳なんですよ、キス以上の行為なんて
出来るわけがない。
確かに僕はあの子とキスした。それはあの子が好きだから
です。好きになるのも許されないと言うのですか」

山口はそれには答えず、背を向けるとドアを重々しく
閉めて出て行った。



聖少女 10