Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

下僕


私はベッドのさゆの側に戻った。
おそらく薬で眠らされているのか、さゆは一向に
目を覚まさない。
さゆの寝顔を見ていると、魔女の手にかかって永遠の
眠りに落ち入った童話の中のお姫様のようだ。

ベッドのさゆに顔を近づけた。
眠っているお姫様を目覚めさせるには、王子様のキス
しかない。
さゆの息が感じられるところまで近づいたが、
思いとどまった。
やはり、自分はまだ王子様にはなれないと思うし、
その資格もない。
王子様にはなれないが、下僕ならなれると思う。
さゆの一生の召使となって償うしかない。


さゆの寝顔から少し視線をそらして再び見ると、
さゆは目を開けていた。
大きな瞳を見開いて私を見つめている。


さゆに言うべき言葉はひとつしかなかった。


「愛してる。誰よりもさゆを愛してる」
人を愛している。と言ったのはさゆが初めてだった。

さゆの瞳から一筋の涙が流れた。
体を起こし腕を伸ばしてきて、私の首に両手を
回してくる。私もそんなさゆを抱きしめた。