Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

部屋割り 


部屋割 五


聖は昨夜の事を思い出しながら話した。

「後でニュースで知ったけど、あのミサイルは核ミサイルだったかもしれないって」

「朱莉もそれを知ってびっくりした」

「それが落ちたら、たとえホテルの近くじゃなくても爆発したら、私達は
みんな死んじゃったかもしれないの」

「うん・・・」

「あの時、メンバーが皆震えながら抱き合ってるを見て、リーダーの私が
しっかりしなくてはと気が張っていたの」


聖はあの時の事を思い出して顔を手でおおって体を震わせた、
朱莉はそんな 聖の肩に手をおいて抱き寄せた。
聖は朱莉に身を寄せながら、

「でも、でも怖かった。そして朱莉が傍に居たらどんなにか心強かったって」
「ごめんね。一緒に居てあげられなくて」

聖は首を振りながら朱莉の胸に顔をつけた。

「出来る事なら 聖ちゃんの所へ飛んで行きたかった」

「ありがとう。すごく嬉しい。 あの時、聖は死ぬかもしれないと思ったの、
そして死ぬのなら朱莉と一緒に死ねたら、どんなにか幸せかって」


「・・・朱莉も 聖ちゃんと同じだよ」
「本当に?」 
「本当に。でも、 聖ちゃんが死んじゃうのは絶対に嫌だから、朱莉がこれから
一生 聖ちゃんを守ってあげるよ」

「本当! 聖、最高に嬉しい」

聖はうっとりと朱莉の胸にぴったりと身を寄せた。

しばらくそうやっていて、 聖は顔を上げて、

「そうだ、今日はあちこち歩いて疲れたわね。お風呂入ろう」
「う、うん」
「ねぇあのね・・・」
「な、何?」


「一緒に、入ろ」
「え、ええええぇーーー?!」

「だめ?」
「そそそそそそれは、そのあの、あの」
「死んじゃったらもう二度と一緒に入れ無いよ」
「そ、そうだね。ってそういう問題じゃないし」


聖は笑って、
「わかった。いいよ。朱莉が先に入って」
「うん。って 聖ちゃんが先に入れば」
「どうして?朱莉が先に入りなよ」


「わかった、先に入るよ・・・」
そう言って不安そうに 聖を見る朱莉に、


「大丈夫。先に入った朱莉の後から行って
襲ったりしないから」


「えーーーーーー!?お、襲うって」
聖は笑って、
「 冗談よ。わかった 聖が先に入る」

結局、 聖が先にお風呂に入る事になった。

聖は替えの下着を持って浴室のドアを開けたが、振り返って
「聖を襲いたかったら、いつでもいいよ」

「そ、そんな事するはず無いから!」


やがて 聖はお風呂から出てきたが、バスタオルを体に巻いただけだった。
「あぁ良いお湯だったよ。朱莉も早く入りなよ」

朱莉は目のやり場に困って、横を向いてうなずいた。


朱莉がお風呂から出ると、 聖は頭にタオルを巻いて、楽しそうに鼻歌を口ずさみながら
顔に化粧水をつけている。パジャマでは無くて足首まであるネグリジェみたいな物を
着ている。
朱莉を見ると、化粧瓶を見せながら、
「朱莉もつかう?」

朱莉は首をふって、
「そんなの使った事無いよ」
「ふ〜ん。でも年取ったら肌が荒れるから」


朱莉はさっさとパジャマを身につけた。

聖は向き直ると、
「ごめんなさい」


「はあ?何で謝るのよ」
「だって、突然帰りたくないって言い出して困らせたりしたから」

聖は下を向くと、顔をおおって肩を震わせた、
朱莉はすぐ側に行って、
「どうしたの!」

「 聖ね、岡山駅で朱莉ちゃんの顔を見たら、嬉しくて嬉しくて・・・」

朱莉は、人目もはばからず涙を流しなから朱莉に抱きついて来た聖を思い出した。
「朱莉の顔を見たら、このまま死んでもいいぐらいに嬉しかったの」
「うん」
「それでね、今日は一日中朱莉と一緒に過ごしたいと思ったの。まだまだ帰りたくない、
今夜も朱莉と過ごしたいと思ったの。 聖、こんなにも朱莉の事を・・・」

「待った!その先は言わなくてもいいよ。朱莉も 聖ちゃんと同じ気持ちだから」


「本当!嬉しい!」

聖はそう言うと朱莉の胸に飛び込んできた。
朱莉はそんな 聖を抱きしめながら、ちょっと不安な気持ちを感じていた。
「もう遅いから寝ようね」


ベッドは、テーブルを挟んで離れていた、

二人はベッドに入り、朱莉を部屋の灯りを消した。


しばらくして、向こうのベッドで 聖が枕元の灯りを点けた。
「朱莉ちゃん、もう寝たの」
「どうしたの、起きてるよ」


「朱莉ちゃん、 聖、怖いの、あの時の事が浮かんできて怖くてたまらないの」
「・・・・」
「ひとりで寝てると、たまらなく怖いの」

朱莉は半身を起こした、 聖の声がふるえて泣き声だった、

「お願い、お願いだから、こちらへ来て。お願い・・」


朱莉は、自分のベッドから降りると聖のベッドに行き、立ち止まって聖を見た、
聖は、両手を伸ばして朱莉を迎え入れようとした。

朱莉は決意をして、その両手の中に入って 聖を抱きしめた。
聖の薄い衣を通して、柔らかいふくらみを感じた。



終わり。


これで、「部屋割シリーズ」の完結です


最初はモーニング娘。の部屋割のエピソードだけで終わらせるつもりだったのに、
次々と筆が走り、いつのまにかミサイルまで飛んで来てwふくたけの物語にまで
発展してしまいました。
ちょっと、だーさくのその後を少し。


亜佑美は、さくらを見ると満面の笑みで、
「小田あぁーー!」と言いながら近づくと、
さくらも笑顔で迎え、二人は強く抱き合って、
しばらくそのままで抱き合い、そして手を繋ぎながら歩いて行った。


それを見ていた、尾形と野中は、
「石田さんと小田さん、なんかこの頃すっかりラブラブになっちゃって」
そう言うと、二人もしっかりと手を繋いで行った。』


あの、死の恐怖の一夜を共有し合った事で、お互いの結びつきが強くなったのは、
当然の結果かもしれない。





部屋割 二


マネージャーはモーニング娘。全員をホテルのロビーに呼び出すと、
「皆、落ち着いて聞いてくれ。今緊急警報が入り、
ミサイルがここ九州に向かっていると発表された」
皆息をのんで聞き入る。
「外は、道路は避難する車で大渋滞している。飛行機も電車も止まっている。
ホテルでとどまるしかない。ロビーにかたまっていると危ないから部屋で
待機しているように」


リーダーの 聖が受けて、
「みんな、二人ずつで部屋に入って。部屋割りは」


ぴったりと抱き合っている工藤と佐藤を部屋へ向かわせる。
そして加賀に、「玲奈ちゃんをお願い」
生田 に、「朱音と一緒に」
飯窪に、「真莉愛を頼むわ」
体を寄せ合っている、春水と美希をうながす。


残る二人に、
亜佑美、小田ちゃんをお願い」


「小田・・・」と呼ばれると、さくらは亜佑美に抱きついた。


皆が部屋に行くと、
「ミサイルはどのくらいで?」
「約15分ぐらいだそうだ」


聖は皆の部屋をまわる。
「天井が落ちるかもしれないから、ベッドには入らないで、
床に姿勢を低くしていて」


工藤が佐藤をしっかりと抱きしめていた。
それぞれメンバー達も抱き合っていた。


石田は床に横になり、震えている小田の頭を胸に抱きしめていた。


聖は最上階に行き、窓から空を見た、午後9時過ぎだった。
東の方を見た。
聖の一番大切な人は今、四国で公演だった。
ミサイルは九州を飛び越えて四国に落ちるかもしれない、


もし死ぬのなら、朱莉と一緒に死にたいと思う。


夜空をオレンジ色の尾を引いて流星のような物が流れて行った。


部屋割り 三


ミサイルは太平洋に落ちた。

聖はメンバーにメールで一斉送信した。
『もうベッドに入っていいよ。安全』


聖は部屋に戻ると、
朱莉に、『会いたい、会いたい、会いたい』と送信した。
一時間後、返信があって『明日岡山で』


翌朝、 聖達は新幹線で帰る事になった。
聖は衣梨奈に岡山駅で降りると告げた。
衣梨奈は黙ってうなずいた。


朱莉達は四国から電車で岡山で乗り換えて帰る事になった。
翌朝、朱莉はリーダーの和田に岡山で降りると告げた。
和田も理由を聞かないでうなずいた。


電車を降りると、すぐに 聖が走って来て、
二人はぶつかる様に抱き合った。
「もう、会えないかと思った」
朱莉が見ると涙がこぼれ落ちていた。


「ごめん。守って上げられなくて」
聖は強く首を振った。


朱莉は明るく、
「姫路城を見に行こうよ」
聖は嬉しそうにうなずいた。

二人はしっかりと手を繋いで電車に乗り込んだ。




部屋割り 四


姫路駅前で何か食べてから帰る事になった。午後八時前だった。

食事をしながら朱莉は時計を見ると、
「今日は楽しかったねぇ、今なら最終に間に合うよ」
聖は黙ってスプーンを置いた。
「食べた?じゃあ行こうか」


聖は下を向いて立とうとしない、
「どしたの?」


「帰りたくない・・」
「へっ?」
「朱莉とまだ一緒にいたい」

「 聖ちゃん?何言ってるの、早くしないと最終の
のぞみが出ちゃうよ・・・」



「東京に帰りたくない。今夜は朱莉と一緒にここに居たい」

「はあああぁ?!何を言い出すのぉ」

「明日はオフだし」

「そうだね。って!そういう問題じゃないし、のぞみに乗れなかったら、
どうすんのよ!」


「どこかホテルを探して泊まればいい」

「そうだね。って!?ダメダメ!」

「昨日は、私は死ぬところだったのよ」

「だから、何なのよ!」

その声に他のお客が振り返った。

朱莉は立つと 聖の手を引いて店の外に出た。
時計を見ると、完全に東京行のぞみは出た後だった。


「あーあ、ここで泊まるしかないか、朱莉電車賃しか無いよ」
「聖が持ってるよ、お金」


聖は良さそうなホテルを見つけて入った。
「ここ高そうだよ」「大丈夫」

通された部屋はツインのりっぱな部屋だった。


朱莉は何となく落ち着かなくて、ベッドに腰かけた 聖の少し離れたところに
腰を降ろした。

「朱莉、そばに来て」

朱莉はそろそろと、 聖のそばに腰を降ろした。

聖がまず、
「家へ電話した方がいいわ。今夜は泊まってくと」

「そ、そうだね」

朱莉はスマホを取り出したが、なんて言ったらいいのか迷う、

聖が見たので、仕方なく聖の家に泊まると言う。

聖もスマホを出すと、落ち着いた声で今夜は朱莉に家の泊まると言った。


二人は大嘘つきだと、朱莉は思った。

そして 聖は朱莉を見てほほえんだ。



続く。