今年の夏休み、さゆが海で沖に流された時
後藤がただ一人沖のさゆめがけて泳いで行き、
助け出してくれて以来、
愛は後藤に好意を持つようになっていた。
同じテニス部だけにそれからは話しかけるように
なったのだけど、
無口な後藤はほとんど喋ってくれない。
時々、助けたさゆの事は気になるのか、
さゆがどうしてるか、ぽつぽつと聴いてくるので
いつも二人の話題はさゆの事になる。
待ち合わせの駅前に行くと、
後藤は、早くも来ていた。
愛は、大きく深呼吸して気持ちを落ち着かせると、
後藤に近づいた。
愛はこの日に備えて思い切りオシャレをしたつもりだ、
さゆに習って、服にピンクを入れていた。
愛が後ろから声をかけると、
後藤は振り返って愛を見て、
驚いたような顔をした。