Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

愛の存在


気がつくと、雷雲は足早に通り過ぎて行き、
雨は上がり、雲の切れ目から陽が差している。
座り込んでキスしていたカップルは、立ち上がると
手をつないで何処かへ歩いて行ってしまう。



愛と後藤は外へ出た。


「もう帰ろうよ・・・」
後藤が言った。
愛もうなずいた。


二人は、駅で別れることになった。
愛は彼に向き直った、


「今日は誘ってくれてありがとう。
すごく楽しかった。また誘ってね」


彼は愛を見つめていたが、
「高橋さん・・・ごめん、もう誘えないよ」
「ええ〜!どうしてなの」
「今日、さゆみさんが来るとばかり思ってたんだ」
「・・・・」


「おれ、さゆみさんが好きなんだ・・・どっかで
行き違いになったんだと思うけど」


愛は茫然と彼を見つめた、
「じゃあ、さゆを待ってたら、何も知らない
私がのこのこと現れたわけなの」


彼はうなずいた、
「なんで、なんで言ってくれなかったの!
私じゃないって!」
「それが、言い出せなくて・・・」


「すると、好きでも何でもない私と一日
つき合ってくれていたわけなの」
「ごめん、でも、高橋さんのことも好きだったんだ」
「結構よ!心にも無いことを言ってくれなくても」


「本当なんだ、最初は高橋さんの方が好きだったんだ、
でも、さゆみさんを知るようになってからだんだん
好きになっていき、この前の海でさゆみさんを助けて
メールで話すようになってからは、本当に好きになって
しまったんだ・・・」


愛は唇をギュッと噛み締めた、
「わかったわ・・・じゃあ、今度をさゆを誘って上げて」


すると、彼は首を振った、
「ごめん、もうさゆみさんとは会えないよ」
「なんで、どうしてなの!」
「だって、高橋さんが僕のこと好きだったって
知ってしまったら、もう妹のさゆみさんとも
つき合えないよ、高橋さんにも悪いし」


「どうしてよ!私は何とも思わないし、
本当にさゆのことが好きなら、二人のことを
応援するわ。
さゆはとても良い子だし、自分の命を救って
くれた後藤君の事を尊敬してるし、きっと
王子様のように思ってるはずよ。
だから、さゆの王子様になってあげて!」


しかし、彼は首を振って、
「ダメなんだ・・・こうなったら、さゆみさんとは
つき合って行けないし、常に高橋さんのことが
頭から離れないし、そういうの、嫌なんだ」


愛は彼を睨んで、
「そんなの身勝手よ!私の事は、私が勝手に
思っていたのだから仕方ないわ、
でも、さゆを勝手に好きになって、そんな
つまらない事で、もうつき合えないって、
勝手過ぎるわ・・・」


「ごめん・・・」
後藤は逃げるように立ち去って行った。


愛はどうにもやり切れない思いで帰途についた。
頭の中が混乱していて、何も目に入らなかった、


「高橋さん」


急に名前を呼ばれて、愛は顔を上げた、
そこには、吉澤先輩が立っていた。
そして、先輩の後ろに隠れるようにして、
友達の麻琴がいた・・・。