Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

愛とさゆの絆

愛が吉澤先輩の顔を見ると、
吉澤は照れて頭をかきながら、


「実は今日、小川と動物園に行ってたんだ、
小川がレッサーパンダを見たいって言うからさ」


愛は何も言いようが無くて、頭を下げると、
足早に通り過ぎようとした、
すると、麻琴が追いかけて来て愛の腕を
つかんだ、
愛が振り返ると、


「愛、ごめんなさい・・・」
「・・・なぜ、麻琴があやまるのよ」
「だって、愛は先輩を好きだったから」
「私のことなんか考えなくていいの、
自分の気持ちを一番にすればいいのよ!」


愛は麻琴を振り切って、駆け出した。


全力で走りながら、愛は今日の自分の姿を
思い出していた、
まるで、今日の自分はピエロだと思った。
何も知らず、自分が主役だと思っていたのに、
はたから見れば、滑稽な道化役を演じさせられて
いただけなのだ。
後藤君と麻琴は自分に、ごめんごめんと
あやまってばかりで、それは返って自分を
みじめにさせるだけだった。


自分の道化ぶりを笑われたほうがましだった。


ようやく家に帰りつくと、
真っ直ぐに、さゆの部屋に向かった。
ベッドに腰掛けてマンガを読んでいたさゆは、
入ってきた愛を見ると、


「お帰りなさい〜お姉ちゃん、今日のデートは
どうだったの?」


屈託の無い可愛い笑顔で言う。
急に愛の瞳から涙が溢れ出してくる。


「みんな嫌い!大嫌い!誰も彼も大嫌いや!!
好きなのは、さゆだけ・・・」


そう言うと、愛はさゆに抱きついたので、
二人はベッドに折り重なって倒れこんだ。


「お姉ちゃん・・・どうしたの!」


さゆは自分の肩に顔を押し当てて泣いている
愛の髪を優しく撫でた。


「私もお姉ちゃんが大好きだよ。でも、さゆは
女の子だから、お姉ちゃんの王子様には
なれないの」


「・・・・」
「今日のデートうまく行かなかったんだ、
あ〜あ、お姉ちゃんの王子様はいつ
現れるのかな」
「さゆはどうやの・・・さゆの王子様は
もう現れているの、何処にいるの」


「さゆの王子様はまだ現れてないの
だから今は何処にもいないの」


しばらく二人はベッドで体を寄せていた。


「お姉ちゃんの王子様、また捜さないとね」
「もうええ。彼氏なんかいらん、さゆが
いれば良い」
「じゃあ、しばらくはさゆがお姉ちゃんの
王子様のかわりになってあげる」


愛はうなずくと、さゆの上になり首の
後ろに腕を回して引き寄せた。


「お姉ちゃん・・・」
顔を寄せて、唇と唇が合わさる。
唇が離れると、
「お姉ちゃん、今のは人工呼吸なの」
「やっぱ、こん子はあほきゃ〜」




夕食をすますと、さゆは愛に言った、
「お姉ちゃん、お風呂一緒に入ろう〜♡」
「ええ〜!一緒にって」
「小学校の頃はよく一緒に入ってたじゃない
久しぶりに一緒に入ろう」


愛はさゆの笑顔に、うなずいた。


二人はお風呂場の中で賑やかにお喋りを
している。
さゆは湯船に浸かった愛に、自分も入ると
体を湯船に入れたが、


「なんか窮屈だね、前に一緒に入った頃は
楽だったのに」


愛は笑って、
「二人とも大きくなったんや。もう、
小学校の頃とは違うんよ」


二人は、湯船のへりに並んで腰掛けた。
足だけをお湯に浸ける。
「今、半身浴が流行ってるそうよ、美容に
とってもいいんだって」

さゆは、そう言うと愛の腕を取り体を
ぴったりと寄せてくる。
愛もさゆの肩に腕をまわした。



「お姉ちゃん、大好き」




        終わり。







999回のキス 1




999回のキス 2