Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

誕生日の朝

裕子は東京への切符を買うために列に並んでいた。
休日前の夕方のせいか込み合っていて、かなりの
人数が並んでいた。
その時、二人の若者が前に割り込んで来て切符を
買おうとした、
中々自分の番がこなくてイライラしていた裕子は
かっとなって、


あんたら!なにやってんのや!!
みな並んでるのに、割り込みしてきて、
なめとんのか〜!!


裕子は二人に近寄って怒鳴りつけた。
ひとりがむっとして裕子に向かおうとしたら、
もう一人の若者が止めた、そして裕子に
頭を下げた。


「すみません・・・」
「わかれば、ええよ」
身構えていた裕子も拍子抜けして言った。



その日の夜、裕子は後ろから呼び止められた、
「さっきは失礼しました、お詫びに御馳走させて
ください!」
見ると、裕子に怒鳴られて頭を下げた男の子だった。


その夜、裕子とその男の子は酒を呑んだ。
ふたりは妙に気が合い、調子に乗って
裕子はしたたかに酔ってしまう。


深夜、裕子は目を覚ました、布団に寝かされている。
起き上がって辺りを見回すと、
側にあの男の子が座っていた。


「ここは、何処やの・・・」
「友達の部屋です、裕子さんが酔いつぶれて
仕方なくここに運んだんです。友達は
今夜は他で泊まるそうです」


「なんで、うちの名前を知ってんの」
「憶えてないんですか、自分で言ってた
じゃないですか、
あ、僕は正樹といいます。東京からこの部屋の
友達ところへ来てるんです」


「東京から来たって・・・あんた、うちになんかせえへん
やったろな」
「まだ、何もしてないです・・・」
「まだって、これからなんかするつもりや
ないの!帰るわ!」


裕子は立ち上がろうとしたが、頭がくらくらして
布団に倒れこんだ。


「大丈夫ですか」
正樹は仰向けになった裕子の上になって顔を
覗き込んだ。
裕子は正樹の瞳にただならぬものを感じて、
身を硬くした、


「裕子さん、好きです!」
裕子は、その言葉に目を丸くした、


「なにゆうてんの!好きやて、昨夜出会ったばっかりや
ないの!」
「ひと目見た時から好きになったんです!
裕ちゃんのことが好き好きでたまらないんです!」


「アホか〜!あんた、頭がおかしいんとちゃうか!!
それに、裕ちゃんって気安く呼ばんといて!」
「僕は真剣なんです!本当に裕ちゃんが好き
なんです!お願いします!!」


「なにゆうてんの!なにをお願いするんや!
ほんまに。あかんよ、あかんて!」


正樹は、上になって裕子を抱きしめてくる、


「あかん、あかん!やめてぇな〜!
あかん、あかん・・・・ぁかんよ・・・」


段々裕子の声が弱まっていき、
そのうち、抵抗する力も弱くなっていった。