Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

日常


部屋に戻ると、俺は自分が冷静なことに気がついた。


たしかに、石川さんが言うように俺は最初はクローンを
下心があって金で買ったことは疑いのない事実だった、
この点は言い訳出来ないことだった。
それにリカを連れ去ったのが、リカを作り出したDNAを
提供した石川梨華さんなのだから、俺自身はどうにも
ならないことかもしれない。
もし、リカが俺よりも石川さんのほうを選ぶなら、
それはそれで仕方のないことに違いない。
しかし、俺には確信めいたものがあった、
リカは必ず俺の元へ帰ってくると。


俺は誰よりも、リカを愛してる。
ただそれだけの理由で。



翌日、久しぶりに先輩から電話があった。


「先輩、石川梨華さんを寄こしてくれて
ありがとうございます」
先輩は笑うと、
「おお、皮肉たっぷりのお言葉だな。
彼女から、お前にぜひ会いたいと頼まれてな、
彼女は、すべて知っているようだったし、会わせるしか
ないだろ」
「決して皮肉で言ってるわけではないです、いずれこうなる
ことは避けられないと思ってましたから。
それで、なにか石川さんのほうから言ってきたのですか」
「そうだ。なんでも、リカちゃんを無断でお前の所から
連れ出したのだが、今日になってリカちゃんが
いなくなったと泣きついてきたよ」


「ふ〜ん、そうでしたか」
「おや、リカちゃんがいなくなったと言うのに冷静な
口ぶりだな」
「そう聴こえますか、石川さんの所からいなくなったのなら
冷静ではいられないですけど」
「おれの言うのは、彼女がリカちゃんをお前の元から
連れ出したことを言ってるのだが」
「そうですか、連れ出したのが石川さんなら俺には
どうしようもないことですからね」
「それでだ、彼女はリカちゃんがお前の所に帰ってないかと
聴いてきたのだが」
「まだ、帰ってないです」


俺は受話器を置くと、立ち上がった。
リカを捜しにいかなくてはいけない、あては無いのだが。
すると、ピンポ〜ンと玄関のチャイムが鳴った。
インターフォンで、どなたですかと聴くと、


タクシーの運転手ですが、と返事があった。
ドアを開けると、60歳ぐらいの制服の男が立っていた。
彼は後ろを振り返ったので、見ると、


そこには、リカが立っていた。


俺はタクシーのお金を払うと、リカを中に入れた。





リカと梨華