Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

将来


俺が、お帰りと言うと、
リカも、ただいま。と、しごくあっさりと言った。
しかし、さすがにほっとした表情だった。
後で聞くと、リカはマンションの名前を憶えていて、
それをたよりにタクシーの運転手が探し出してくれて
帰り着いたようだった。
親切な運転手で良かった。


俺はすぐに先輩へ電話を掛けた、
リカが帰ったことを報告すると、リカの無事なことを
喜んでくれた。
そして、先輩は石川さんが謝りたいとのことで、電話を掛けてくると
言ってきた。
少しして、ケータイに石川さんから電話が掛ってきた。
俺は、リカに声をかけてから外に出て石川さんの話を聴いた。


石川さんは泣き声で俺に謝った、


「私、あなたのことを誤解していました・・・リカちゃんが
いなくなった後、冷静になって考えて見ました。
あなたの話された事、リカちゃんと一晩過ごした時、
リカちゃんが話してくれたあなたへの思いなどがようやく
身にしみてわかりました。
あなたとリカちゃんの深い絆がわかりました、
あなたはリカちゃんを本当の父親のように育ててくれた
のですね」


俺は石川さんに感謝した、今度の事で俺とリカの間を
あらためて考えさせられることになったし、ある決意を
俺にもたらしたきっかけにもなった。
俺は石川さんに、俺とリカの将来について話した。
リカと一心同体とも言える石川さんにだけは、
話さなくてはいけない義務がある。


「リカは今はまだほんの子供です。
近い将来、リカが精神的に大人になったら、すべてを、
リカがクローン・人間だということを話します。
それでもなお、リカが俺を愛してくれるなら、
俺はリカの父親であることを止めて、ひとりの男として
リカの一生の伴侶としての道を選びます」
「・・・わかりました。リカちゃんはあなたという人に
出会って幸せだと思います」



その日の夕食の時、リカが俺に聴いた、


「ねえパパ、私のママっているの?」
俺は思わずリカの顔を見た、
そして考えた末に言った、
「・・・リカのママは、今リカが思っている人だよ」
リカは、ぱっと顔を輝かせた、


「やっぱり!梨華ちゃんが私のママなんだ〜!」


俺は苦笑するしかない。
石川さんとどんな話をしたのかわからないが、
それを聴くつもりは無いし、リカも言わなかった。


「ねえパパ、また梨華ママは来てくれるかな〜」
「きっとまた来てくれるよ、それまでいい子にしてるんだよ」
「うん!」


リカは元気よく言った。


食事が終ると、リカは着替えを持って俺の手を
引っ張って行く。
お風呂に入るのだ。
リカは服を脱ぐと先に風呂場に入っていった。
服を脱ぎながら、浴室の鏡に映る自分を見つめた、
今のところは父親としての愛情でリカを包んで
やらなくてはいけない。


「パパ〜!まだ〜」


リカの声に返事をしながらガラス戸を開ける。



        終わり