亜依は、自分が希美を連れて無事に帰ったことに
涙を流して喜んでくれる麻里を見て、
やはりこの人は矢口さんだと思いを強くした。
希美は麻里を不思議そうな顔をして見ている、
亜依は、ののが矢口さんそっくりの麻里を見てどんな
反応するか注目した。
麻里は希美の顔をじっと見つめている。
亜依は、その麻里の目に何か異様な雰囲気を感じて
戸惑った、
やがて、麻里は笑顔で希美の手を取って、
「あなたが希美さんね、私は麻里というの、
あなたのことは亜依からよく聴いているわ」
希美は何か、ぼうとして、うなづいた・・・。
麻里はサスケを待たせている所に歩き出した。
亜依はすぐののに問いただした、
「ねえ、ののも麻里さんって、矢口さんだと
思うでしょ・・・」
希美は、その声で我にかえったように亜依を見た、
「麻里さんが、矢口さん? そりゃあ似てるような
気がするけど、矢口さんとは違うと思うけど」
亜依は希美の意外な反応に首をかしげた、
「のの、本当にそう思ってるの」
希美はうなづいた。
亜依は歩いて行く麻里の後ろ姿に目をやった、
あの人は絶対に矢口さんだと確信しているのに、
希美の反応が不思議でしょうがない。
希美が亜依の腕を取って体を寄せてくる、
亜依も希美の手をぎゅっと握り締めて、
再び会えた喜びを噛みしめた。