Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

未来


安土城では信長が、戦国時代にタイムスリップして
琵琶湖へ着水したジャンボ機の機長と二人だけで
相対していた。


機長は、何度か信長と対面してその人となりを知り、
信長が聡明で理知的な部分を見せ、時には
最初の対面のように癇の強い所もあるが、人間として
信用できると思い、自分の素性を話すことにした。


機長は、自分たちが21世紀の未来から来たことを
告げ、21世紀の社会、科学を話して聴かせた。


信長は時おりうなづきながら興味深そうに聴き入った。


自分が操縦していたジャンボジェット機をわかりやすく
説明した、ジェット機は日本や世界中を飛びまわって
いることを話した。
機長は携帯電話を取り出した、これは日本中どこへでも
居ながらにして誰とでも通話出来ると説明した、
もっともこの戦国時代ではなんの役にも立たない代物
だったが。


信長は、なぜ機長たちが未来からこの戦国時代へ
来ることになったのか質問した。


これに機長は考えながら説明した、機長は学生時代には
SF小説を読んだ事があり、なんとかタイムスリップの
ことを信長に説明した、


時間の流れというものは、流れる大河のようなもので、
大きな大河が蛇行して流れている場所があり、
21世紀の未来と、16世紀の過去が接近して流れている
場所があり、稀に境目に裂け目が出来、
21世紀と16世紀が繋がってしまう事があり、それで
我々21世紀の人間が過去の16世紀へ来てしまったと
説明した。


信長は、その説明に納得したようで大きくうなづいた。
そして、自分のもっとも関心のあることを質問した。


「我々は過去の出来事を古い書物などで知ることが
出来る。 そちたち未来から来た者たちは、過去の
出来事、つまり我々の近い将来の事を歴史の書物に
よって知る立場にあることになる」


機長は、表情を硬くして聴き入った、前につい口を
すべらして信長の怒りをかい、切られそうになった
ことを思い出していた。


「前にそちは、わしは家臣に裏切られることになると
言ったことがあろう。それはわしの将来を知った上での
言葉なのか」


機長は言葉につまった、
信長が、数年後に京の本能寺で家臣の明智光秀
謀反によって最後を遂げるとは、とても言えない。


信長は口を閉ざした機長を見て、立ち上がった。
機長は体を硬くした、また信長が怒り出すかと思った、


しかし、信長は大きく笑い出した、
ひとしきり笑うと腰を降ろして、


「よいよい、言いたくないのなら聞くまい。
自分の未来というものは、自分自身で切り開くもの
だと承知している。
未来にどんなことが待ち受けていたとしても、
それに向かって突き進むだけのことだ!」


機長はその信長の言葉に大きく頭を下げた、
ますます信長が好きになっていた。
信長を志半ばで死なせたくないと思わずには
いられなかった。 しかし、


信長に将来の事を話してしまうのは、歴史を変えて
しまうことになり、許されない事だった。