Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

旅立

なつみは家で旅行カバンに荷物を詰めながら、妹の希美に言った。


「のの、後を頼むね。これからは母さんと二人だけなんだから、
母さんのことも頼むね」

「・・・・」

「ののも私が教えたように、お家のことを頑張ってね」


「イヤだ!」

「イヤって、何にを言うの・・・あなただけが頼りなのよ」


「イヤだイヤだ!なっち姉ちゃん、行かないで!」


「のの、私を困らせないで、私だって行きたくないけど、
あの人が、急に九州に転勤になったんだもの、それで、
結婚式を早めて・・・夫婦だもの、一緒に行かないと」


希美は、なつみに強くしがみ付いた。


「イヤだー!九州なんて遠い所へなっちが行っちゃったら
めったに会えなくなるよ・・・イヤだよー!!」

希美は、泣き出した。


「のの・・・私だって、ののと会えなくなるのは
寂しいし、イヤだよ・・・だけど・・・」


「母さんは、スナックのお仕事で夜はいないし、なっちが
いなくなったら、ののは一人で寂しいよー!」


「のの・・・」


早くに父親を亡くした姉妹は、母親がスナックの仕事で夜遅く
なるので、いつもふたりだけの時間を過ごすことが多く、
そのきずなは強かった。


希美は、姉のなつみにしがみついて、大声で泣き出した。

なつみも泣きながら、希美を強く抱きしめた。


「なっちだって、ののと会えなくなるのは、寂しいよ、
とっても悲しいよ・・・。でも旦那さんを一人には
出来ないの・・・許して、のの、」


なつみは、希美の涙を拭いてあげながら言った。


「4月からののも高校生だもね。もう子供じゃないんだから、我慢出来るね」


「・・・ののは、大人になんか、なりたくない」


なつみは、涙をぬぐいながら笑った。

「誰でも、いつかは大人になるのよ・・・夏休みになったら、
九州へ遊びに来ればいいじゃない」


「ウン・・・」


「もうそろそろ、行かないと・・・のの、空港まで見送りに来る?」

希美は首を振った。


「そう。じゃあ、ここでお別れしよう」

希美が突然、なつみの首にしがみついて来たので、
2人は重なり合って倒れた。


「のの・・・」


上になった希美は、なつみにキスしてくる。

やがて体を起こして、なつみは言った。


「もう行くね。ウフフ、こんなとこ旦那さんに見られたら、大変だァ」


希美も、機嫌を直して言った。

「なっち姉ちゃん、バイバイ。またね〜」


      終わり