Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

キッチンズ・バーガー


山田とは、リカと暮らすようになってからは
遠ざかっていた。
クローン・人間のリカと一緒のところを見られたら
なにかと不都合だったのが、恐れていたことが
現実のものになってしまった。


「ねぇ、パパのなまえは、ジローというの?」
リカが、コーンだけになったソフトクリームを
舐めながら聞いてくる。
「・・・そうだよ」
そう言えば、リカには俺の名前を言ってなかった、
その必要もなかったのだが。


リカは、コーンを齧ってしまうと前方を指差した、
「アァ〜!ハンバーガー屋さんだよ〜!」


「まだお昼には早いよ、それに美味しいお弁当を
持ってきてるんだから、ハンバーガーはダメだよ」
「は〜い・・・」
リカは、つまらなそうに言った、


『キッチンズ・バーガー』と、看板を出している
屋台の中で売り子の女の子が声をかけて来る。
頭にストライプの入ったキャップをかぶり、
黄色いユニフォームを着ている。


「とっても美味しい、キッチンズ・バーガーの
ハンバーガー、いかがですか〜」


俺はリカの手を引いて通り過ぎようとして、
思わず振り返った、
そのうすい声、ふっくらとした頬は、どっかで
見たことがある・・・。


リカが、その女の子を指差した、
「あ〜!こんこんでちゅよ〜!」


その女の子は、どう見てもハム。のメンバー
紺野あさ美に違いない・・・。
本物の紺野がこんな所で、ハンバーガーを
売っているはずが無いから、
彼女は、クローン・人間に違いない。
この遊園地は、クローン・人間の集合場所なのか、
わけがわからない・・・。
リカを入れて、もう3人のクローン・人間が
出現している。


リカは俺の手を引っ張って、向こうを指差した、
「あ〜!かんらん車だよ、乗りたい〜!」


俺とリカは、観覧車に向かい合わせに腰掛けた。
高所恐怖症の俺でも、いつか好きな女の子と
ふたりきりで、観覧車に乗ってみたいと
夢見たことがある。
その夢が現実のものになった。


夢中で外の景色を見ているリカを、俺はじっと
見つめた。
リカは俺の視線を感じて、顔を上げて
俺をじっと見つめかえした。
その表情は、梨華そのものだったので、
思わずドキリとする。


すぐにリカは無邪気な笑顔に戻り、立って
俺の側に移り、腕をつかまえて体を寄せて来る。