Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

雷鳴

遠くで雷鳴が轟くのが聴こえてくる、雲行も
あやしくなってきた。


俺とリカを追いかけて来るのは、元格闘技の男
ひとりだけだ、後の二人は紺野とマリリンを
追っているようだ。


俺とリカは手をしっかり握り合って、人込みの中を
懸命に走った、
男は執拗に追いかけて来る、
俺とリカを追いかけて来るのは、おそらく俺が妨害を
したので、クローン人間の居場所を知っていると
踏んだのかもしれない。



「おい!ジロー!何やってんだ〜」
前方に山田の姿が見えて、声をかけてくる、
「悪いやつに追われてるんだ!」
山田は、追ってくる男を見た、


「なんで追われてるんだ〜」
「それは・・・」

俺はリカの方を見た、
山田もリカの方に視線をやった、
リカは泣きそうな顔をして山田を見た、


「そうか、よしわかった!」


山田はうなづくと、追ってくる男の方に向かって行く、
山田は学生時代ラグビーのFWをやっていて、
体は大きかった、
山田は男に強烈なタックルをかまして、男と一緒に
倒れこんだ、
思わず立ち止まって見ている俺とリカに、


「早く逃げるんだ!」


「すまん!!」


俺はそう言うとリカの手を取って走り出した。
すぐ近くで雷鳴が轟き、続いてザーッと強い雨
落ちて来る。
雷に怯えて俺にしがみついて来るリカの肩を抱きながら、
全身ずぶ濡れになって走った。
すると前方に黒い制服の男ふたりが見えてくる、
さかんに辺りを見回している。紺野とマリリンを
見失って捜しているようだ、
俺とリカは方向を変えてまた走り出した、


ものすごい土砂降りの雨の中、建物に逃げ込もうと
した時だった、


稲光とともにカッと辺りが明るくなって、一瞬おいて


ゴロゴロゴロッドッカーーーーンン!!!!!


と、鼓膜が破けるような雷鳴がすぐ近くで轟いて、
目の前に落雷した、


リカは悲鳴を上げて俺の首に強く抱きついてくる、


俺達は抱き合ったまま、地面にしゃがみ込んでいた。


すぐ目の前に恐怖に歪んだリカの顔があった、
ぶるぶると震えながら、しっかりと俺に抱きつきながら
俺の頬に自分の頬を強くくっつけて来る、
べっとりと濡れた髪の毛がひたいにまとわりついている。



どうして、そんなことをしてしまったのか俺自身にも
わからない。
俺はリカの顔を向けさせると、その唇にキスをした。


雷の恐怖で目を閉じていたリカは、一瞬、瞳を見開いたが、
すぐに瞼を閉じて俺のなすがままになった。


ようやく俺が唇を離すと、リカは目を開けて唇に
指をやって、俺をじっと見つめた。


初めてのキス。
リカにとって生まれて初めての口づけ。



気がつくと、雨は上がっていた。
そして陽がさしてきた。


俺とリカは立ち上がると、しっかりと手をつないで
歩き始めた。
前方の空に綺麗な虹が出現していた。