Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

包帯


ズズズズズズゥーーーーンンンッと腹に響く爆発音が階下でした後、
辺りが地震のように揺れ動き、
はずみで天井の蛍光灯の一部が外れて下に落ちて割れる。
他の蛍光灯も点いたり消えたりする、

さゆは驚いて悲鳴を上げながらしがみついてくる。
さゆを抱きしめながら、何が起こったのかと辺りを
見回し、そして上のマイクに向かって声を張り上げる、

「どうしたんですかぁ!何が起こったですか!!」
やや置いて、山口の声がした、


「今調べている、何処かで爆発があったらしい、
そのまま動かないでじっとしていろ」
上に叫び返す、
「冗談じゃない!ビルが爆発したのなら、外に出ないと
危ない!出口のドアを開けてください!!」
「ビル全体が爆発したわけではない、外に出ると
かえって危ない、そこで動かず待機していろ」


外では、2発目のミサイルが上空に差し掛かり、
窓がほとんどないブリードビルに目標がとれないミサイルは
そのままビルの屋上に突入して着弾した。

屋上のすぐ下の10階にいた私とさゆの頭の上で
爆発が起きた。

ドドドドドドドドォ〜〜〜〜〜〜ゥンンンンン!

爆発の振動で10階全体が木の葉のように揺れ動き、
続いて、天井からはがれた建材の塊りがバラバラと
私とさゆの上に落ちて来た。


キャアアァ〜〜〜〜〜〜〜!!!
と悲鳴をあげるさゆの上に庇うように重なった。

私の体に、こぶし大の塊りが落ちて来る。
それが背中に降って来て、その痛みに思わずうめき声を
あげながら振り返って天井を見た時、
今度はこめかみに鈍い音とともに塊りが直撃した。
一瞬目の前が真っ暗になりながら、じっと耐えた。
少しして目を開けると、実際に辺りが真っ暗になっていた。
停電していたのだ。


やがて辺りが静かになるとともに、
非常用の自家発電に切り替わったみたいで、わずかに
暗い灯りがぽつんと点いて、部屋の中がぼんやりと見えてくる。
もうもうと埃が舞う中二人は抱き合ったままでいた。

しばらくして私とさゆは目を開けてお互いを見た、
さゆは恐怖にブルブルと震えながら大きく瞳を見開いて
私の目を見詰めている。
お互いの大きくはく息が顔にかかる。
いつ天井が落ちて来て二人とも下敷きになって圧死しても不思議なかった。


私はさゆの頬を両側からは手で挟みこむと、
自分の唇を寄せて、さゆの唇に重ねた。
さゆはキスされて戸惑ったように瞳を動かしたが、
すぐに目を閉じた。


ようやく私が唇を離すと、さゆはゆっくりと目を開けた。
そして私の額に手を伸ばしてきて、
「血が出てるわ。怪我をしたの・・・」
さゆの指に血がついている、
自分の額に手をやると生暖かい血に触れた、
手を見るとべったりと血がついている。

天井から落ちてきた破片が額に直撃した時傷を負った
ようだった、
「大丈夫、大したことないよ。少し切れただけだよ」
さゆを安心させるために言った、
実際は頭がくらくらするほど痛み出していた。

さゆは体を起こすと、
「大丈夫じゃないわ、血がふき出してるわ、
何かで包帯をして血を止めないと」

そう言うと、さゆは自分の着ているドレスの裾を
ビリビリと引き裂くと、その切れ端を私の額に
巻いて包帯代わりにした。


二人は何とか立ち上がり、体をぴったりと寄せ合いながら、
安全な場所を求めて歩き出した。
やっと出口のドアの所まで行って、その前に座り込む。
山口がドアを開けてくれるのを待つしかなかった。

さゆはしばらく私の胸に頭をつけていたが、
顔を上げると、じっと私を見ながら、

「さっきは、どうして私にキスしたの・・・?」

どうしてキスしたのか、自分でもすぐには
説明出来なかったが、少し考えてから、


「お姫様を元気づけるために・・・」

さゆはそれを聞いてほほえんだ。
「確かに元気が出て来たわ」
さゆはまた私の胸の頭をつけた。
そんなさゆの髪を優しく撫でた。



聖少女 9