Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

最後の日


とうとう7月13日がやって来てしまった。


朝起きて、預かったスーツを身に着ける。
そのタキシードは私の体にぴったり合った。
そして黒い蝶ネクタイをつける。

今夜の儀式の事を考えた、どんな次第に儀式は進むのか、
かいもく見当もつかないがこの儀式でさゆの
運命が決まると思うと、暗澹たる思いだった。
さゆを救い出すめどはまったくつかない。

頼みは反政府組織のテロ攻撃だけだった。
前回のテロの時のような、ビル全体を破壊するには至らない
弾道ミサイルが1、2発ビルに命中して、大混乱に陥って
くれれば何とか活路が開けるはずだった。


迎えの車がやって来る時間になった。
光男はまだ姿を現さない、彼がビルの内部に潜入すると
いうことだったが、どういう意図なのかわからない。

やがて外で待っていると前に迎えの車が到着した。
乗り込もうとした時だった、

「待ってくれ〜!!」
と、光男が走ってやって来た、
見ると、光男は私と同じようにタキシードを身につけ、
長髪だった髪も短く刈り、サングラスもなく別人のようだった。

「いや〜遅れてすまなかった、では行こうか〜」
光男はそう言うと車に乗り込もうとする、

運転手は光男を見ると戸惑ったように、
「乗せるのは一人だと聞いてるけど・・・」


私は光男の顔を見た、
「私は友男の兄貴だ。さゆみ様のお誕生日を一緒に祝うために
パーティーに出席することになった。早く出さないと遅れて
しまう、早く車を出してくれ」

光男は自信たっぷりの物言いで、さっさと車の後部座席に
腰を降ろした。関西弁だった言葉も直している。
運転手は首を捻っていたが、不承不承に車を出した。
その運転手は、私を毎日のように送り迎えしていた
運転手では無く、あまり事情をわかってない様子だった。

車がブリードビルに近づくに連れて、軍隊のトラックや
兵士の姿が目立つようになる。
前方に検問所が見えて来た。道路にゲートが出来ていて
道をふさいでいた。

車が止まると、自動小銃をかまえた兵士が近寄ってくる。
運転手がカードの証明書を見せると、ゲートを上げて
車を通してくれる。


辺りに建物が少なくなって、遠くにブリードビルが見えてくる、
少し道路を外れた所に、巨大な戦車が何両も待機しているのが
見えた。


このブリードビル周辺には総統の命令により、一個大隊約千名
ほどの兵士が展開し、戦車中隊の三十両の戦車も動員されていた。
そして、ビルの周辺一帯に一種のバリヤー網を張り巡らし
上空を弾道ミサイルが通過すればたちどころに察知して、
すぐさま迎撃のレーザー砲でミサイルを打ち落としてしまう、
完璧なシステムで、テロ攻撃を待ち構えていた。


私と光男を乗せた車はブリードビルの前の広場に到着した。
近くには一両の戦車が威圧するように止まっていた。
戦車は60トン以上の大型で、主砲は140mmの滑腔砲を
装備し、対空ミサイルも搭載している。



車から降りた光男は私の顔を見た、
光男をどうやってビルの中に入れようかと考えていた。

ビルの入口には両側に武装した兵士が並び、ビルの
警備員の一人が次々と車でやって来るゲストの人達から
証明用のカードを受け取り、機械に読み取らせてから
中に入れていた。

その係員の警備員は、都合のいい事にさゆがいた10階の
警備員で、毎日のように顔を合わせていた。
私は決心すると山口から貰った証明用のカードを光男に渡した。
光男はうなずくと一人で入口に向かった。

私のカードは無くなったが、何とか顔見知りの警備員に
頼んで入れて貰うしかない。
光男は、車で到着した年配の男女のゲストの後から、
何食わぬ顔で続くと、カードを示した。
光男は無事にビル内に入って行った。


私は警備員に近づいた。
顔見知りの警備員に、笑顔で言った。

「実は、うっかりカードを忘れてきたのです。
何とか入れないでしょうか、お願いします」
そう言って頭を下げた。

警備員は少し考えていたが、
「君だという事はわかっているが、私の一存だけでは
入れるわけにはいかない規則になっているのだ」
その警備員は携帯電話を取り出すと、誰かに報告していたが、

私に向き直ると、
「須藤さん、いや責任者の許可が出たから、入ってよろしい」

「責任者とは、僕の担当者の人ですね」
警備員はうなずいた。
山口に違いなかった。本名は須藤というのか。
礼を言って中に入った。


儀式は3階で行われる。
待っていた光男と一緒にエレベーターに乗り込む。
儀式に参加する人達が何人も乗り込んでくる。
エレベーターは三階で止まり、ほとんどの人が降りたが、
光男は私に向かって小さく首を振ったので、
二人はそのまま残り、10階で二人は降りた。

10階のさゆの住んでいた部屋のドアの前に立った。
さゆは前日から身体検査のために病院に移ると聞いていた。
だから、もうこの部屋にいないはずだった。
ドアの小窓に手の平をかざした。
そしてドアノブを握って回すと、ギギッ〜と開いた。

三日ぶりに入ったさゆの部屋は静かで人の気配は無かった。
かすかにさゆの匂いがするような気がする。
光男に目配せしてここで待つように合図する、
光男はうなずいてソファーに腰を降ろした。


そしてタキシードの上着を脱ぐと、下にはベストをつけていた。
その厚めのベストを彼はゆっくりと脱ぐと、
不自然なほどのゆっくりとした慎重な動作でそのベストを
前のテーブルに置いた。そしてひと息ついて座りなおした。

何となくその光男の様子が気にかかったが、
部屋を出ると、エレベーターに乗って一階の
事務所まで降りると、山口の部屋に行った。
山口は私を見ると立ち上がった。

山口は私を医務室に連れて行くと、顔見知りの医者に声を掛けた。
山口は私を残して出て行った。
医者は座らせると、耳の後ろをピンセットのような器具で探っていたが、
やがて極小の発信機を取り出した。


大きく息を吐き出した、
「ふぅ〜これでようやく盗聴機から解放されたわけだ」

医者は不思議そうな顔で、
「盗聴機とは何の事だ?」

「その発信機ですよ。僕の会話も盗聴出来るそうじゃないですか」
医者は首を振った、

「これは電波発信機だが、会話を盗聴するなんて出来んよ」
「はあぁ〜?!」

「何かの間違いだろう、この発信機は約一キロ範囲に近づくと
電波をキャッチ出来るが、あまり遠くだと役に立たん」


このビルから私のアパートまでは70キロ以上はある。
山口にまんまと騙されたのだ。

医者は立ち上がると、
「さて、もうすぐ晩餐会が始まるな。
もちろん、君も出席するんだろう」

うなずいて、
「もちろん出席します。そのために来たのですから」


さゆにとって、そして私にとっても最後の晩餐になるかも
しれないパーティーの事を思った。

医務室を出ると光男のいる10階のさゆの部屋に戻ることにした。
パーティーの始まる6時にはまだ少し時間があった。


エレベーターはゲストが続々と到着して使用するため
込み合っているので、階段を上がって行くことにする。
この一ヶ月はさゆの部屋にほとんど居続けたので、
いささか運動不足で、10階まで階段を上がっていくのに
息が切れる。

ようやく10階の部屋の前にたどり着いた時、ある事に気がついた、
大変な事を忘れていた、さゆの部屋にはカメラとマイクが
仕込まれているのだ。

さゆがいないからと言ってカメラとマイクが作動していないとは
限らない。万が一作動していれば、
部屋に不審な人間(光男)が居る事がわかってしまう。


いそいでドアを開けて部屋に入った、
光男は部屋の隅に座り込んで煙草を吸っていた。
少し離れた部屋の中央にあるテーブルにはベストが置かれた
ままだった。

「光男さん、この部屋には監視カメラとマイクがあります!
もしかすると見られてるかもしれません」

光男は天井を指差した。
見ると、天井の角に設置されていたカメラとマイクの様子が
おかしい、よく見ると黒く変色していてカメラのレンズ部分は
壊されているようだ。マイクも同様に壊れている。

「何をしたのですか?」
光男は脇の下に吊ったサックから何か拳銃のような物を
抜き出して見せた。
「これで始末したのや」


「それは拳銃とは少し違うようですね」

光男はうなずいて、
「レーザー銃というものや。威力はせいぜい人間一人を
殺せるぐらいのものだけど、拳銃と違って音が出ないから
すぐには騒がれなくて済む」

「そうですか。では僕はこれから始まるパーティーに出ます、
光男さんはここに隠れているのですね」

「そうする事にする。どうせ会場に入る人間は検査装置で
体や体の内部まで厳重に調べられるに決まってるから、
色々と危ない物を所持している俺は簡単には入れないんや」


テーブルに置かれたベストに目をやって、
「あれも、その危ない物何ですね」

「そうや。俺の最後の切り札や」
「・・・それで外部からのテロ攻撃は何時頃始まるのですか?」

光男は腕時計を見て、
「今から一時間後の7時から始まる予定や。だから、7時に
なったら、ここに戻ってきて俺を出してくれないと困る」
「わかりました。7時になったら戻ってきます。だからそれまで
この部屋から出ないでください」

光男は首を振って、
「出たくても、ドアは内から開けられへんわ。
この部屋に、そのさゆみという女の子は閉じ込められて
いたのやな」


「そうです。僕が通う前から、もう何年もこの部屋から一歩も
出る事も無く、一見お姫様のように大事に扱われていても、
実際はこの日だけのために・・・飼育されていたのです」

光男は黙って聞いていた。
もしかすると彼はさゆの運命をある程度は知っているのかも
知れない。今さら聞き出す必要も無かった。
この後の晩餐会ですぐに明らかになるのだから。

部屋を出て、ドアを閉めると階下の会場へ階段を
降りて行った。
会場の三階の大ホール前の廊下には、10メートルおきに
警備員が並んでいた。

武装した兵士はまだビルの中にはいない模様だった。
そして光男の言ったように会場の入口では、次々と会場に
入ろうとするゲストの体を厳重に調べているようだった。



何か小型カメラのような物を持った警備員が、入ってくる
ゲストの体にそのカメラをかざすと、脇に置かれたデスクの
モニターに、それこそ体の内臓までが映し出されている。

私の番になって、警備員がカメラを体から10センチほど
離してくまなく調べている。
何事も無く会場に通された。


広い会場は、やはり結婚式場のように何人も座れるテーブルが
いくつも配置されている。
ざっと見ると、6人ほど座れるテーブルが約30ほどあるようだ。
正面奥には、ステージが設えていて両サイドには楽団が控えて
いて、音を鳴らしてリハーサルを行っている。


ほとんどのテーブルは人でうまっていたが、ステージの前の
いくつかのテーブルには誰も着いていなかった。
まだ姿を見せない総統や政府のお偉方の席のようだった。

白い制服を着けたホール係の者に案内された私の席は
最後方のテーブルで、後ろは壁だった。
そのテーブルには誰もいなかった。

椅子は二つだけしか無い。後で誰か一人来るようだ。
席に着くと、
ジャーンと音楽が鳴り響き、ステージ上に白いタキシードの
男性が立つとマイクを持って喋り始めた。
どうやら彼が司会者のようだ。

「これより、2056年度のディナーパーティーをとり行います。
皆様方はお時間までゆっくりとお楽しみください」


まだ、総統を始め政府の要人達は姿を見せない。
他のテーブルを見ていると、誰かがテーブルにやって来て腰を降ろした。
みると、タキシードに着替えた山口だった。

山口は給仕を呼ぶとワインと料理を運ばせるように言う。
そして私を見て、
「そんな風にタキシードで決めていると見違えるようだな」
さゆの部屋に通う時は、GパンとTシャツだけの事が多かった。


「さゆは今どうしてるのですか、何時ここに出てくるのですか」
「あわてる事は無い、まだ先は長い。さゆみ様は準備をして
待機中だ。今は前菜を食して待つことだ。主菜は後で出てくるのだ」


やがて前菜の料理とワインが運ばれてくる。

ギリシャ風野菜のマリネ
サーモンとキャベツのテリーヌ
シェーブルチーズと生ハムサラダ
マグロの燻製と新玉ねぎのキッシュ
イカのトマトソース煮込み

魚介類と野菜を中心としたフレンチの前菜が次々と運ばれてくる。

楽団の演奏が始まり、男女の歌手が登場して昔のポピュラーを
歌い出した。
それが終わると、マジックショーも演じられる。

ゲストの人達を見回してみて気がついた事は、
子供の姿がまったく見えないという事だった。
夫婦、家族らしい人達はいても、20歳以下の若者や子供の
姿は見当たらなかった。

この後、ブリードビルの住人だったさゆなどの子供達が、
主役として登場してくるはずだった。


その時、遠くの方でドォーンという爆発音らしきものが聞こえた、
その音を聞いた山口はすぐに立ち上がり、足早に会場から
出て行った。

時計を見ると、7時を過ぎていた。
いよいよ反政府組織のテロ攻撃が始まったのかもしれない、
私も立ち上がると会場を出て階段を上って、
光男が潜んでいる10階の部屋に向かう。




ドアを開けて部屋に入ると、
ベストを着け、上着のボタンをかけながら光男はやって来て、
部屋を出ると光男にうながされて屋上に出た。

7月の午後7時過ぎなので空はまだ明るかった。
ビルの下を見ると、一両の戦車が待機してその周りには多数の
兵士が展開している。
その時、遠くの地上でオレンジ色の光が輝いたと思うと、
ドドォ〜ン!!爆発音が散発的に響いてきた。
その合間に、ダダダダッと自動小銃の連続音が聞こえてくる。

少ししてまたオレンジ色の光とともに爆発音が響いてくる。
私は光男を見た、
光男は爆発の後に立ち上る煙を見ながら、

「あの爆発はもちろんテロによる爆弾攻撃なのだが、
どうやって爆発させたかわかるか?」
「・・・わかりません」


「このビル周辺は軍が24時間警備しているので、時限爆弾を
仕掛ける事はとても出来ない。
そして大人の男が爆弾を持って近づこうとしても警戒されて
すぐに射殺されてしまうだろう。
しかし、女や子供だったらどうだろう」
「・・・・」

「何人もの女や子供に爆弾を背負わせて近づいて、油断を
させておいて爆弾を爆発させるのだ」

「ということは」
自爆テロだ。50年以上前に強大な国家の軍隊に対して、
虐げられてきた組織の唯一の攻撃手段を、踏襲しているのだ」

「何も子供を犠牲にするなんて・・・」
「並みの男達よりも、女や子供の方が自分の身を犠牲にして
組織に殉じてくれるのだ」

「そこまでする必要があるのですか」
「今や我々は追い込まれていて手段を選ぶ事など出来ないのだ、
このまま座して政府のやつらに殺されるより自爆テロでの死を
選択するしかない」


またもオレンジ色の光と共に爆発音が響く、
「爆発で混乱するのに乗じて色々なテロ攻撃を仕掛けるのだ」
光男は暗くなってきた空を見上げた、

「そろそろミサイル攻撃は始まるな、ほら第一弾がやってきた」
光男が指差す空の方向を見ると、
まるで流星のように光の尾を引きながらミサイルが飛来して
くるのが見えた、

すると、地上から一瞬光が一直線に伸びたかと思うと、
ミサイルはビルに達することなく上空で爆発してしまう。
迎撃のレーザー砲がミサイルを捕らえたのだ。
それから次々に弾道ミサイルが襲ってきたが、ことごとく
レーザー砲の餌食となって打ち落とされてしまう。

続いていた爆発音は収まり、ビルの周囲では自動小銃
鳴り響く音がひときわ大きくなる、
「小銃をもったテロリスト達が突撃して来たようだ・・・」
しばらく続いていた激しい銃撃戦は、そのうち断続的になり
銃声も遠のいていく、


ミサイル攻撃が止むと、上空にヘリコプターの爆音がして、
何発も照明弾が打ち上げられて辺りが真昼のように
明るくなる中、上空の攻撃用ヘリコプターが低空に降りて
くると機銃を撃って地上のテロリスト達を掃討しているようだ。


やがて辺りは静かになった。
どうやらテロリスト達は撃退されたようだ。

私は光男を見て、
「これで終わりなんですか!総力を上げて攻撃を行うはず
じゃなかったのですか!」

テロ攻撃で混乱する中でさゆを救出するという、
私の思惑は見事にはずれてしまったとしか言いようが無い。

光男は意外に落ち着いた声で、
「まあ見ていろ、これで終わりになったわけではない。
ほら来たぞ・・・切り札のひとつが」
何処からか、キュルキュルという戦車のキャタピラの音が
聞こえてきた、
目をこらすと、向こうの道路からライトを照らしながら
一両の戦車がビルに向かってやって来る。

投光器のライトがその戦車を捉えたが、すぐに味方の戦車だと
わかり、辺りの兵士達も警戒する様子は無かった。
その戦車はビルの広場に入ってくると、いったん停止すると、
二、三十メートル先で待機しているもう一両の戦車の方へ
向けて砲塔を動かすと、主砲の狙いをつけると発砲した。


至近距離から140mmの滑腔砲弾を直撃された戦車は
大爆発を起こし、たちまち赤い炎に包まれた。
炎上している戦車はビルからほんの数十メートルぐらいの
距離しかない。

思わず腕で顔を覆って屋上に座り込んだ、
「これはどういうことなんですか!」

「これが最後の切り札のひとつだ。
政府軍の内部にも反政府組織の者が潜んでいるという事だ。
あの戦車を動かしている人間もその一人なのだ」
光男は屋上から見下ろしている、
私も起き上がると、そろそろと下を覗き込む。


下では、裏切った戦車目掛けて兵士が自動小銃を乱射して
いたが戦車相手ではどうにもならない。
投光器に照らされた戦車の主砲がビルに向かっているのに
気がついた。
その砲身が徐々に上に向いていき、明らかにビルに狙いを
つけているのがわかる、

光男が叫んだ、
「頭を引っ込めて下に伏せていろ!砲弾を撃ち込んで来るぞ!」


戦車が、ドドドゥォーン!!と発砲すると、
ガガガガガガーーーーーーゥンンンン!!!!!
と、ビルの外壁に着弾して爆発が起こった。
ビルはグラグラと大きく震動して揺れ動いた。

下に伏せて頭を抱え込んだ、
ビルが崩壊したかのような爆発だった。
少しして顔を上げてみると、別にビルは崩壊はして
いないようだった。
「よし、下に降りるんだ!混乱している隙に会場へ入り込む」
光男はそう言うと走り出した。
私も続いた。


外では、戦車の裏切りを知った上空のヘリコプターが高度を
下げてくると、下の戦車めがけて機関砲へ撃って来る。
すると戦車から対空ミサイルが発射された、
そのミサイルがヘリコプターに命中して爆発が起こった。
ヘリは炎上しながら墜落してくる。

地上で、砲弾で破壊された戦車と撃ち落されたヘリが炎上
する中、戦車はまたもビルめがけて主砲を撃ち込む。


ビルの中を階段を降りていた私と光男は、
また襲ってきた大爆発と激しい震動に、その場に伏せた。
すぐ側の外壁に砲弾が着弾して爆発したと感じた、
しかし、砲弾はビル内部に貫通した様子は無かった。
どうやらこのビルの外壁は相当頑丈に作られているようだ。



外では、一両の戦車の裏切りを知って他の戦車が何両も
やって来ていた。
ビルに向けて発砲している戦車を発見すると周囲から包囲する、
そして一斉に主砲をその戦車に向ける。

続いて、主砲が次々に発砲された、
何発もの砲弾が命中した戦車は大爆発を起こした。
夜空の高く上がった炎でブリードビルが浮き上がる。


戦車砲を何発も撃ち込まれながらブリードビルは、
崩壊することなくなおも建ち続けていた。



聖少女 18