Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

さゆと萌 その後 四

永遠


萌は首をかしげながら、
「もしかして、さゆママは
萌にプロポーズしているの?」

麻美は大きくうなずいた。
さゆも小さくうなずいた。

萌は考えていたが、ジュエリーケースをさゆに
差し出しながら言った。

「それならこの指輪は受け取れないわ」

麻美は、その時のさゆの表情、打ちひしがれた様子は
可哀想なぐらいだった。
もし観覧車のドアが内から開けられたら、
さゆは外へ飛び降りそうな気がするくらいだった。

麻美は思わず立ち上がった。
抱いている沙絵をさゆだと危ないので、
萌に押し付けると、声を荒げた。

「何でよーー!?」

萌は、
「・・・萌はまだ子供なんよ。結婚なんて
とても考えられないわ。無理よ」

萌の頭を掴んでこちらへ向けさせると、
「利いたふうな口をきくんじゃないよ!
あんたはね、道重さんに対して責任があるんだよ」
「責任って?」

沙絵を指差さして
「あんたがその沙絵ちゃんを道重さんに産ませた
張本人だからよ!
萌は父親として、いや違う、母親として、って母親は
道重さんだから違う、とにかく萌ママとして責任を
とらないといけないの!」

さゆが、
「麻美さんやめて、萌ママを責めないで」

萌は沙絵を抱きしめながら、
「ママ、大きな声を出して、沙絵ちゃんが驚くわ・・・」

麻美は息をつくと腰を降ろした。
「萌。沙絵を妊娠して出産した事で道重さんが
どれだけ苦労したかわかってるの?
それでも道重さんは、萌の子供をどんな事があっても、
産みたいと言ったのよ」

うつ向いた萌に麻美は立って沙絵を受け取り抱き上げて、

「客観的に見たら、七歳の萌にプロポーズするなんて
無茶に決まってる。でも道重さんは勇気を振り絞って
萌にプロポーズしたのよ。
それだけ萌の事を想っているのよ。
そんな道重さんの気持ちを思うと・・・」
麻美は声をつまらせた。

さゆが顔を上げて萌に、
「萌ママ。その指輪の意味は、結婚指輪では無いの。
婚約指輪なのよ。

将来何年か経ってもまだ私と
結婚しようという気持ちがあるなら結婚して欲しい
という意味であげるの」

麻美が口を添える。
「将来、後3、4年程で萌と道重さんが結婚出来る
世の中にきっとなるわ。その時結婚して欲しいと、
言ってるの」

萌は顔を上げてさゆを見詰めると、

「さゆママ。わかりました。この指輪を受け取ります。
さゆママと結婚出来る日まで大事に大事にします」

そう言って萌はジュエリーケースを胸に抱きしめた。

それを聴いてさゆの顔がくしゃくしゃになり、今にも
泣き出しそうなのを懸命にこらえていた。

 

その時観覧車は下降していた。

麻美が、
「ねえ、萌。このお台場の大観覧車に乗って、

『キスしたカップルは末永く結ばれる』

という伝説があるの。
もちろん道重さんはその事を知っててお台場に来たの
だと思うわ」

萌はうなずくと、

「ママ。目を閉じていて」

 

麻美が目をつむると、萌はさゆの膝に跳び乗ると首に

抱きついて唇を重ねた。さゆと萌は観覧車が止まるまでの

間、キスを続けた。

 

観覧車が止まると麻美が言った、

「ほら、沙絵ちゃんもキスしたいって」

萌とさゆは音をたてて唇を離すと、

さゆは沙絵を抱き上げて間に置くと両側から沙絵の頬に

二人の唇を押し付けてキスをする。

沙絵は、萌とさゆにキスされて嬉しそうに笑顔を見せた。

 

麻美は、
さゆと萌。そして二人の娘。の沙絵。
この三人は永遠に結ばれると確信した。

悪魔の血を受け継ぐ萌と沙絵はもちろん永遠の命を
さずかるだろう。
そして、道重さゆみも萌と沙絵の協力があれば、
永遠の命をさずかる事が出来るはずだから。

 

終わり。