Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

食欲


10階では引き続き停電の復旧作業が始まった。
その内お昼になり私とさゆに弁当が届けられた。
階下の厨房では主に電気を使って料理していたからだ。
外で作られた弁当は豪華だった。
鳥の唐揚げや鯛の塩焼きなどが入っている。

さゆは肉や魚を食べられないこともあるし、爆発の
ショックなのか、ほとんど食べなかった。
私はさゆの分も全部食べた。
頭の傷や背中の痛みもあったが食欲はあった。
私が食べる姿をさゆはじっと見つめていた。

「男の人がもりもり食べる姿って頼もしいわ」
私は口を動かしながら、
「人間食べられなくなったらお終いですよ。
食べた物が活力になり人間は生きていけるんだ」
「本当にそうね。でも私は食べさせる方だから」


なんとなくその言い方は引っかかった、
さゆが料理をしてるのをこれまで見たことなかった。
さゆのおかげで私が毎日豪華な料理を食べさせて
貰ってることは事実だが。


電気の復旧作業が行われてる間、私とさゆは
居間のソファーに座って過ごした。
さゆがちらっと上を見て、

「今なら停電してるから、誰にも見られたり聞かれたり
しないわよ・・・」
うなずいてさゆの肩に腕をまわした。
「そうですね。何をやっても咎められることはない」

さゆは私に顔をぐいと近づけると、
「お願い、また私を元気づけて」
私は一瞬、何の事かわからなかったが、さゆが目閉じて
顔をそらしたので気がつく。
近くには誰もいなかったし、上の監視カメラと盗聴マイクも
作動していない。

目を閉じたさゆの顔をじっと見つめた、
そして自分の衝動に身をまかした。
さゆを抱きしめて、その唇にキスをした。


私はこの謎の少女、まだ14歳の女の子に恋し始めて
いる自分を感じていた。