アヤカとかみこは帰るため、宇宙船に着いた時の
部屋に入った。
アヤカはかみこをしっかり抱くと、
「さあ、あのレストランの屋上に戻るよ」
するとかみこが、
「あの、出来たらお願いがあるのです」
「なに?言ってみて」
「・・・星を見たいんです」
外は暗くなっていた。
アヤカはかみこの言うその意味がわかった。
「星を見るには、東京で一番高い場所と言えば」
「スカイツリー!」
「そうね」
アヤカはスマホを出して、
「あのね、スカイツリーの天辺に降りたいのだけど
位置がわかるかしら、ピンポイントで降りるには
眼でそこを確認しないといけないの」
パイロットが、
「その、正確な位置がわかれば良いのですが」
するとかみこが言った。
「スカイツリーの正確な位置は、
東経:139度 48分 38.5214秒。
北緯:35度 42分 36.2257秒。
です!」
アヤカは思わずかみこの顔を見た。
そして、その通りパイロットに伝える。
「了解!」
軌道を修正して、
「スカイツリーの真上に来ました」
二人は一直線に降下して、スカイツリーの天辺に降り立った。
「ああ、今夜は星が綺麗よ!」
「あの、神子の居る星が見えるでしょうか」
「わかってるわ。まず北斗七星を見つけなさい」
かみこがぐるりと天空を見回して、
「見えました!」
「そしたら、北斗七星の柄杓の形の先端の
星から柄杓を五倍にした距離にあるのが、
北極星よ。
そしてその右後方に輝くのが
恒星の『スマ』よ。わかった?」
「ハイ!」
「そのスマの周りを回っているのが、
神子の居る惑星『アンジ』よ。
アンジは精巧な望遠鏡で
見ないと肉眼では見えにくいけど、恒星スマが
見えれば、その近くにあるのはアンジだと
想像出来るわ」
「はい!」
かみこはアヤカに抱きつくと、
「アヤカ!ありがとうございます!」
「今度、小鳩と一緒にスカイツリーの展望台から
スマとアンジを見に行きなさい」
二人はレストランの屋上へ降り立った。
レストランに入ると、
小鳩と憂佳が座っているのが見えた。
続く。