Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

悪魔との契約 最終章 三

猫は聡明

 

以前、神子は絶対に詮索するなと言い渡されていたが、
仕事が午後から出勤になった機会に、一度神子の後をつけた
事があった。

神子は電車に乗った。しばらくして日比谷線に乗り換えた。
六本木で降りる。

そして54階の高層商業ビルに着いた。
神子は入口に入ろうとして立ち止まり、さっと振り返った。
こちらの方をじっと見ている、あわてて小鳩は隠れた、
尾行に気がついたみたい、さすが悪魔だな思った。

それで当時はビルの中に入って行った神子の追うのは諦めた。

そのビルのどの階に悪魔界の支所があるのか、見当もつかない。
しかし、行方不明の神子の手掛かりを掴むには、
そのビルにある支所に行くしかない。

考え込んだ小鳩は、ふとある事に気がついた。
前に自分の携帯が壊れて使えない時、神子が
スマホをくれたのだ。

そのスマホ見た事のないスマホで、アップルのロゴも無い。
非常に良く出来たスマホで回線が繋がらなかった事が
一度も無い。

神子に聞くと、詳しい事は教えてくれなかったけれど、
このスマホの回線を維持するために悪魔界専用の
通信衛星三個を地球を回る軌道に飛ばしていると言う。

その他、世界中の電話回線、デジタルの全ての回線、
TV、ラジオ、有線、無線の映像、音声のすべての
回線。それに監視機能は世界中の屋内屋外のすべての状態、
人間動物、それこそ蟻一匹の姿さえ逃さないと言う。

衛星には高性能のコンピューターが搭載されていて、
スマホと連結していて衛星同様に使える。
監視映像もスマホに映し出される。

もちろん、それらは神子のスマホに限られる。
小鳩のスマホはと聞くと、
「パスワードを入れれば、同じように使えるわ」
もちろん、小鳩にはパスワードは教えない

だから小鳩のスマホでは国内での通話だけしか使えない。


その悪魔のスマホは、神子に全然繋がらないので
頭にきて窓から放り投げてしまった。
降りてスマホを捜しに行く。

20階から落ちたのだから、壊れてるに違いないけど。
スマホは中庭の植え込みの地面に突き刺さっていた。
半分埋まったスマホを掘り出し汚れを落とすと
外面はほとんど壊れていない。

電源を入れると普通に使える。
どんだけ頑丈だと呆れるほどだった。
よく見たら、SaturnNetとある。
サターンネット。これは怪しい。いかにも悪魔の回線に
違いない。

早速、色んな検索サイトをあたったけど、
SaturnNet、サターンネット、悪魔通信、などは
一切出てこない。

何百、何千の件数をあたってもまったく出てこない。
秘密保持は完璧のようだ。

 久しぶりに外へ出て、銀行でお金を降ろし、
ホームセンターで必要な物を揃え、スーパーで食べ物を買う。

 

スマホでの検索は止めて、PCの検索に切り替えて、
丸一日費やして何万もの件数を粘り強く検索する。
PCの前に陣取り、傍らに大量の握り飯と水を置き
パクつきながら朝から夜遅くまでかかってようやく、

ある個人のSNSに辿り着いた。

あるヨーロッパの在日大使のブログだった。
SaturnNetの文字が眼に飛び込んで来た。

英語だったけど、翻訳してだいたい意味がわかる。
SaturnNetの優秀な事を書いている。

SaturnNetのスマホは特別の選ばれた階級の信頼された
人達だけに販売される事がわかった。
その大使はその国の大統領に紹介されてSaturnNetの
事務所に出向いてスマホを求めたと言う。

自分はただの一般人のアラサーの女に過ぎないのに、
このスマホを持てるのは、ひとえに神子のおかげだと思う。

そして、SaturnNetはあの六本木のビルの展望台の階下に

事務所を置いているとある。
なるほど、悪魔の住む天上界に一番近い場所というわけだ。


小鳩は綿密な作戦を立てて万全の準備をしてSaturnNetに
乗り込むつもりだった。
神子が行方不明になって二週間以上立っていた。

会社にはあれから行っていない。
首になってもかまうものかと思った。

 

荒れ果てていたマンションの部屋を綺麗に掃除して片づけた。
それまで安アパートに住んでたのを、神子のおかげで
この高級マンションに越してくる事が出来たのだ。

もうこの部屋には戻れないかもしれない。
悪魔の巣窟に殴り込みを掛けるのだから、
良くて魂を抜かれる。最悪小鳩は抹殺されるに違いない。

もう何も怖い物は無い。このまま一生神子と別れるくらいなら、
死んだ方がいい。

いよいよ作戦結構の日が来た。

 

つづく