Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

百年後の家族

再会

 

小鳩は九十九歳まで生きた。
そして最愛のかみこに看取られながら
臨終の時を迎えていた。

かみこは約百年前と変わらない、若くて
綺麗な姿のままだった。
百歳になる前日の夜に臨終の床についた、
母親小鳩に付いていて、その手を握っていた。

小鳩は我が人生を振り返っていた。
神子との不思議な出会いで得ためくるめいた
幸せの時間と、その別れ。

そして神子の残してくれた我が子かみこ。
かみこを愛し愛された幸せの時間
最高の幸せの人生を過ごす事が出来て
自分は本当に幸せ者だとつくづく思う。

「かみこ。あなたには感謝の気持ちでいっぱいよ。
本当にありがとう。想い残す事は何も無いわ。
心置きなくあの世に旅立てるわ」

かみこは小鳩の手を握り締めながら
「わたしの方こと、ママに愛されて本当に
幸せだったわ。ありがとう」

「そろそろお迎えが来たようね。
じゃあママは行くよ。ありがとうね。
さよならは言わないよ」

「ママ。かみこもさようならは言わないわ。
だって、しばらくしたらまた会えるもの」

小鳩は、安らかな笑顔のまま旅立って行った。


小鳩が行って一年経った。
一周年の日をお墓の前で手を合わせていた
かみこの前にアヤカが現れた。

 アヤカの美しさはいつ見ても変わらなかった。
以前と違うのはアヤカ似のイケメンの
青年と一緒だった。

その青年を思わず見とれているかみこに、
アヤカが、

「この子は、私の息子なの。サキと言うの。
憂佳と私が生み出した宝物なの」

その後、かみことサキが恋に落ちる事に
なるのは、また別の物語になるのだが。

 アヤカとサキが小鳩のお墓にひざまづいて手を
合わせる。

その時お墓に手を合わせていたかみこの肩に
優しく手が置かれた。

振り返ると、そこには眼鏡をかけた女性がいた。
すぐにわかった。

「ママ!神子ママ!」

二人は強く抱きあった。

「かみこ。やっと会えたわね。よく顔を見せて。
本当に私の若い頃、二千年前の私によく
似てるわね」

アヤカが、
「百年経って、ようやくサターンの怒りも解けて
神子は昨日惑星アンジから地球へ戻って来たのよ」


かみこは晴れて神々の領域の住人になる事になり
神子と共に天空へ向かって昇って行った。

アヤカがかみこに説明した。

「ここは、人間達は高天原(たかまがはら)と呼ぶ
場所なの。天国とも言われるわ。

臨終の時を迎え、神の元へ召された人間達が来る
場所なのよ。
そろそろ人間達がやって来るところよ」

がやがやとにぎやかに話ながら大勢の人間達がやって来た。
男と女、子供達もいる。
でも、大人達は寿命を全うした老人の姿は無かった。
それぞれ人生の最盛期のまだ若いままの姿の人間達が
いるだけだった。

アヤカが
「ほら、よく見て。あなた達の愛した人間がやって来るよ」

すぐにかみこが叫んだ。

「いたわ!ママよ。ママーーーー!!」

かみこは小鳩の元へ飛んで行った。
神子もそれに続く。

小鳩、まだ神子と初めて出会った頃の姿のままの
小鳩もかみこに気がついた。

まずかみこが小鳩に飛びついて抱きつく。
かみこを抱きしめた小鳩は顔を上げて、
神子を認めた。

「神子。また会えたのね」

「小鳩。やっとまた会えたわね」

三人はひとつになって抱き合っていた。

三人に涙は無かった。ただただ再会の喜びに満ちた
笑顔にあふれていた。


そんな三人を優しげに見詰めていたアヤカは、
自分の愛している人間を認めた。
憂佳だった。

憂佳に近づき力いっぱいに抱きしめた。

その時憂佳は近づいて来る青年に気がついた。
その青年は憂佳によく似ていた。

アヤカが
「憂佳。この子はあなたの息子よ」

 

終り。