Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

悪魔との契約 最終回

大天使 エピローグ 最終回

 

かみこが株式投資を始めるには元金がいる。

小鳩は必要なパソコンを買うためになけなしの
十万円を出してくれたので余裕は一銭も無い。

そこでかみこは十万円のパソコン資金を
五万円でパソコンを新品だけどグレードの
低いものを買った。
その浮いた五万円で株式投資を始める事にした。

かみこは株式投資のあらゆる書籍資料を読破して
記憶し、過去のチャートなどのデータも全て記憶して
その頭脳で計算して買う銘柄を選び出した。

証券会社の推薦する銘柄は一切無視した。なにしろ
元金が少ないので、自分の選んだ銘柄を着実に売り買い
して資金を増やして行く。

そして一か月が立った。

かみこは収益が振り込まれた口座の通帳を小鳩に
見せた。 小鳩はその通帳を目を丸くして見た。

「ゼロがやたら多いのね。一、十、百、千、万・・・」
と数えて行く。

金額がわかり、何度も何度も通帳を見返しながら
思わずかみこの顔を見ながら、
「まさか・・・一千万円ーーーー!?」

かみこはうなずいた。

小鳩は興奮しながら、
「すごいーーーーーーーーー!!
かみこは株の天才ね!一か月で一千万円も稼ぐなんて!
一千万円の通帳なんて初めて見た!」

せいぜい自分の口座の給料が振り込まれた手取りの
二十万円ちょっとがやっとなのだから。

「一千万円あれば何でも買えるねーーーーーー!!」

「ママ、あのね日本の税率は世界一高いの。だから
収入が高い程税金も高くなるの。だから年度末には
約半分ぐらい税金に持ってかれると思うな」

「へ?そうなの?」
「そうよ。だからこのお金は無駄遣いしないで、
大事に大事に手をつけないで預けて置かないとね」

「でもさぁ、かみこならこの調子で稼いで行けば
この先いくらでも稼ぐ事が出来るのじゃないの」

「それはわからないわ。株式投資の世界は
水ものなの。突然の株の大暴落が起こるものなの。
わたしは運が良かっただけなの」

とりあえずかみこは小鳩に十万円を返し、これからは
マンションの管理費などや光熱費などの雑費はこの
口座から払う事にした。

それからかみこはいずまいを正して小鳩の
前に座ると、

「あのねママ、この株で稼いだお金は、言わば
あぶく銭なの。
パソコンで操作して売り買いして回したお金なのよ。

それと比べて、ママが毎日朝から晩まで勤めて
汗水たらして働いて得た貴重なお給金とは、
価値が違うのよ。
ママは本当に偉いと思うし、尊敬しているわ。
ママ、私の為に働いてくれて本当にありがとう。
心から感謝してるわ」
そう言ってかみこは頭を下げた。

小鳩は少し恥ずかしそうに首を振って、
「そこまで言われると、照れるじゃない。
まあ、そんなに汗水たらしてるわけじゃないけどね」

次の休日に、かみこの仕事が順調に滑り出したお祝いを
かねて、遠出をしてドライブに出かける事にする。

早朝からうきうきと二人で作ったお弁当を持って
駐車場のロードスターに乗り込む。

ふと小鳩は、助手席のかみこを見ると、
「ねえ~かみこ、お願いがあるんだけどぉ」
「なあに?ママ」

「この車だけど、ロードスターはとっても
良い車なんだけど、少し小さくて狭いと思うのよ。
それにオープンカーなのは良いのだけど、
晴れてる時は最高だけど、この前突然の雨に降られて
屋根を出すのが遅れてずぶぬれになったじゃない」

「そうね。それで?」
「だからさあ、そろそろ買い替えた方がいいかなあー
って思うのだけど・・・」
「・・・」
「とても良い車があるの。もちろん国産車で広くて
シックで安全な車なのよ」
「どんな車?」

「レクサス。っていうの。素晴らしい車よ!」
「どれくらいするの?」
国産車だから外車と違って安いよ。たったの
三百万円程よ」

かみこはじっと小鳩を見ていたが、
「この車はまだ十分乗れると思うけど、そんなに
ママが欲しい車があれば買えばいいじゃない」

小鳩は嬉しそうに、
「ええっー買っていいの!?」

「ええ。ママが自分のお金で買うのは自由よ」

小鳩はがくっと落ちそうになり、
「はあーーぁ、私が買えるわけないじゃない!
だからかみこにお願いしてるのよ」

かみこは考えていたが、
「わかった。そのお話はドライブから帰った後で
しましょうよ」

「うん。そうだね」
小鳩は車のスターターのスイッチを押した。

しかし、いつもはすぐにエンジンがかかるのに、
ブルブルッ、と切れてかからない。またスイッチを
押しても、すぐに切れる。何度押してもかからない。

「えーーーーって、このボロ車はーーーー!?」
小鳩は頭に来て叫んだ。

その時小鳩は、はっとなって思い出した。
以前もこんな事があったと気がついた。

ずっと乗っていて古くなったライフを神子を
拝み倒してようやく念願の新車のロードスター
買って貰える事になり、
うきうきとライフのエンジンキーを回したら、
エンジンが全然かからなくて、頭に来て、

『このオンボロライフがーー!!』と叫んだ事を。

その時神子が言うには、
『ライフは、嫉妬してるのよ。
初めてライフに乗った時の事を憶えてる?』
『よく憶えてる。初めての自分の車で飛び上がる
ほど嬉しかった』

『長くあなたに大切に愛されて、ライフも懸命に
あなたに尽くして来たのよ。
そんなあなたがいよいよ新しい車、ロードスター
乗り換えると知って焼いてるのよ。可愛いじゃない』

そしてこのロードスターは神子が、
買ってくれたという想いを噛みしめていた。

そしてかみこが言った。

「ママ、ロードスターは嫉妬してるのよ。
ママが車を買い替えたいと言ったからよ」

小鳩は思わずかみこの顔を見た。
あの時の神子とまったく同じ事を言うかみこを。

そしてかみこはロードスターに話しかける様に
言った。
「ねえ、ロードスターさん、そうでしょう
あなたは焼いてるのよね」

すると、プォッとクラクションが小さく鳴った。

小鳩は飛び上がるほど驚いた。

「ほら、返事したよ」

「う、嘘よ・・・」

「嘘じゃ無いわ。この車は神子ママが買ってくれたと
以前言ってたじゃない。このロードスターには、
神子ママの魂が宿ってるのよ。だからよ」

「神子の魂が宿ってる・・・」

「そうよ。ママから神子ママに聞いてみたら」

「本当なの?ねぇ神子、返事をして!」

するとまた、プォッとクラクションが鳴った。

小鳩はハンドルに抱きついて、
「神子!神子なのね。愛してる!」

そんな小鳩にかみこが優しく肩に手をかけた。
小鳩は起き上がるとかみこに抱きついて、

「かみこ。愛してるわ」

「ママ。私もママを愛してる。世界一、いいえ
銀河一大好きよ」

「かみこ。そして神子。このロードスターを生涯
小鳩は乗り続けるわ」

二人は唇を合わして熱いキスをした。

唇をようやく離して、
「さあママ遅くなるわ。出かけましょう」

小鳩はスムーズにエンジンが掛かったロードスター
動かして道路に出る。

高速に入って快調に走り続ける。

 

 アヤカは神子に報告するためにまたワープ回線を
使って神子の元へ交信した。


「あらアヤカどうしたの?この間交信したばかりなのに。
まあ、アヤカの顔が見れるのは嬉しいけどね」

「うん。その~え~なんと言うか・・・」

「何に?はっきり言いなさいよ」

アヤカはいずまいを正すと、
「じゃあ言う!わたし妊娠したよ!憂佳の子を」

「えーーーーー!そっか、おめでとう」

「ありがとうぉ。何か私ね、憂佳の子供を
妊娠したとわかった時に嬉しくて嬉しくて・・・」

神子は、
「アヤカ。泣いている?」

アヤカはあわてて目頭をおさえて、
「大天使は泣いてはいけないのだけど・・・」

「そんな事無いよ。大天使であろうとも
泣きたい時は泣いて良いのよ。
特に嬉しくてたまらない時には」

アヤカはハンカチで拭きながら、うなずいた。

神子は、
「本当に良かったわね。
あーぁ、何かね、アヤカそして小鳩、かみこを見て
自分も小鳩の血を、ラブウェイに入れて貰って
子供を産みたかったなぁって思ってしまう」

アヤカはハンカチを置くと、
「ねえ神子。それは欲張りと言うものよ。
あなたには、かみこという可愛い子供がいるじゃない。
神子はかみこのりっぱな母親に違いないのよ」

「そう。そうだよね」

「そうよ。小鳩が神に召されたら、かみこに会えるじゃない。
百年なんてあっという間に経つよ。

それに、私達は神の領域に生きる、悪魔と大天使よ。
だから、寿命が来て神に召された小鳩とも会えるよ。

その時は天空で、神子、小鳩、かみこの三人で
暮らせるよ」

「本当にそうね。ありがとう、アヤカ」

「その時は、わたしも憂佳と、私達の子供との
三人で会いに行くよ」

 

悪魔との契約。
すべて完結しました。


書いてて自分でもすごく楽しかったです。

もう小説は長いのは書かないと思います。
これが最後の作品かな。

前章は多少苦しんだ面もあったけれど、
今回は意外にスムーズに更新する事が出来ました。
でも、冗長過ぎて無駄に長くなって、かなりの部分を
削ってだいぶ書き直しました。

この作品は主人公がハロメンでは無くて、一個人を
主人公に設定したので難しい面もあったのですが、
随分乱暴な性格設定で、はと宗さんにはご迷惑を
かけたと思います。お許しください。

 バレンタインデーからホワイトデーの事を
はと宗さんを主人公に、ちょろっと書くつもりが
こんなに長く書くはめになってしまいました。

はと宗さんには長い事読んでいただき、本当に
ありがとうございました。