Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

さゆと萌 エピローグ 一

さゆと萌の子供

 

あれから一年ほど立ったある日の事。

麻美はさゆの家へ車で迎えに行った。
玄関からさゆが出て来た。

さゆは赤ん坊を抱いてもう一方の手で萌の手を引いていた。
その姿を見たら大抵の人はさゆの二人の子供だと思う
かもしれない。
その赤ん坊は、さゆと萌の二人の子供なのに。


一年ほど前、さゆは麻美に電話をかけた。

「麻美さん・・・側に萌ちゃんは居るの?」
麻美はキッチンのテーブルに腰かけて、

「今萌は居間で宿題をやってる所なの。
少し離れてるから声は聞こえないと思うわ」

「そうなの。お勉強頑張ってるんだ。
もう一年生だもんね」
それからさゆは少しの間考えてるようだった。

麻美は黙って待っていた。
ようやくさゆは、
「麻美さん、最近お腹が目立つようになってきたの」
「はい」

突然さゆの声が泣き声になった。
「こんな姿を・・・萌ちゃんに見られたくないの」
「はい・・・」

「萌ちゃんは、どうやって子供が生まれるか知ってるって
麻美さん言ってたわね。
萌ちゃんにわたしが他の人の子供をお腹に宿してると
思われるのが死ぬほどつらい・・・」

最後の方は泣き声で言葉にならない。

さゆが妊娠してる事は萌にはまだ言わない方がいいと
言ったのは麻美だったから、さゆの気持ちを思うと
言葉が出ない。

その時、麻美は萌が側に立って居るのに気がついた、

「その電話はさゆみお姉ちゃんだよね!
なぜお姉ちゃんは泣いてるの!なぜ?!」

麻美は萌を茫然となって見た、

「向こうでさゆみお姉ちゃんの泣いてる声が聴こえたの」

「そうなの」
麻美は、少し考えてから黙ってスマホを萌に渡した。

萌は息せき切って、
「さゆみお姉ちゃん!萌だよ!大丈夫だよ。
萌がついてるから大丈夫だよ」

さゆは突然の萌の声に息を呑んでいたが、
「萌ちゃん、ありがとう。さゆみは大丈夫だよ」

「良かった、良かった」
萌はそう言うと、スマホを麻美に返した。

麻美はスマホを受け取ると、決心して言った。

「道重さん。私にすべてまかせてくれますか。
決して道重さんの悪いようにはしませんから」

さゆは、
「はい。わかりました。すべておまかせします」

麻美はスマホを切ると、側に座っている萌の顔を
じっと見詰めた。
萌も麻美の顔を見詰めた。

「道重さんのお腹には、今赤ちゃんがいるの。

その子は、萌の子供よ」

 

続く。