Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

さゆと萌 ラスト

子供の未来

 

「さあ、萌、お腹の子供に話してあげて」

萌はさゆに近づいていく。

さゆは腰を落とし、床に膝をついた。

萌はさゆの膨れたお腹を見詰めていたが、
一度顔を上げてさゆの顔を見た。
さゆはうなずいた。

振り返って麻美の顔を見る。
麻美もうなずいた。

萌はさゆのお腹に抱きつくと横向きに顔を
ぴったりとさゆのお腹にくっつける。

まるでお腹の中の音を聴いているみたいだった。
それから顔を少し離し口をお腹につけたまま
何事かをつぶやくようにお腹の中に語りかけた。

さゆはそんな萌の背中に手をまわし、じっと
眼を閉じている。

しばらくして萌は立ち上がると、ソファーに行って
腰かけた。
麻美とさゆは萌を見詰めた。

萌は口を開いて、
「あのね、お腹の赤ちゃん、女の子だったわ。
その子に話しかけたの。
あなたは萌の子供なの?って。赤ちゃんは答えて
くれたの。

わたしはあなたの子供よ。って」

 

麻美はそれを聞いて大きく息を吐き出した。
さゆを見ると閉じた瞳からひと筋の涙が流れた。

さゆは立ち上がりソファーに行くと、萌の側に
座ると抱きしめた。萌もさゆの胸に顔をうずめる。

麻美も行って二人を抱きしめた。

そしてさゆに、
「道重さん、萌に言葉をかけて上げて」

さゆは顔を上げた萌の瞳を見詰めながら、

「わたしの大好きな人、絵里。わたしのお姉ちゃん。
そしてお兄ちゃん。その誰にも言った事が無いけど、

萌ちゃん。愛してるわ」

「さゆみお姉ちゃん・・・」

「萌ちゃん、ひとつお願いがあるの。
さゆみ。って呼んで欲しいの」

萌はさゆの瞳を見詰めていたが口を開いて、

「さゆみ。萌も愛してるよ」


麻美は抱き合っているさゆと萌を見ながら
さゆが萌の子供を懐妊したわけがわかったような
気がした。 
自分は悪魔からキスされて血が混ざった唾液を飲んで
妊娠して萌を産んだのだけど、

その悪魔の子である萌の血の混ざった唾液をさゆが
飲んだだけで妊娠したというのは弱いような気が
したのだけど。

すでにさゆと萌の行為はエスカレートしていて、
あの二人だけの夜に燃え上がったさゆと萌は、
お互いのクンニリングスにおいて、萌はさゆの
ラヴウェイ、膣に血の混ざった唾液を送り込んで

無意識のうちに、確実に萌のDNAを折よくさゆの
子宮の卵管に落ちた卵子の内部に進入してさゆを
懐妊させたのだと思う。

悪魔の血を受け継いだ萌は、徐々にその能力を
現し始めていて、萌の友達のあゆみの母親が
麻美に語ってくれたのは、

あゆみの話では暴走した車が二人に迫ってきた時
萌はあゆみを抱えて空高く数十メートル飛んで
逃れたという話を、あゆみの母親は笑い飛ばしながら
それは別にして萌があゆみを助けてくれた事を感謝して
いた。

麻美はあゆみの話、萌と空高く飛んで下の方に人が小さく
見えたというあゆみの言葉を、
萌だったらあり得る事だと思った。

そしてさゆを妊娠させた事など、悪魔の子としての
萌の能力は舌をまくしかない。

萌ならさゆのお腹の中で成長し始めた胎児に語りかけて
萌の子だという事を確かめられるだろうという、
いわば賭けだったのだけど、見事と言うしかない。

しかし、その悪魔の子だという事を萌に話すのは
まだまだ数年後の先にするつもりだった。

さゆは体調が悪いのは胃潰瘍だという事にして
入院するほどでは無いのでしばらく療養するという
事になったので、活動はお休みする事になった。

萌は毎日のようにさゆの家に足しげく通い、いよいよ
入院して出産に備えたさゆを献身的に尽くしていた。

その時、萌の手を強く握りしめてさゆが女の子を
産み落とした時、
萌が涙を流して感動していう様子を見て、麻美は
萌の涙を初めて見た事に気がついた。

萌は決して泣かない強い女の子だった事に。


文字通り珠のような可愛い生まれたばかりの女の子を
抱いているさゆは幸せそうだった。

それを見た麻美はつい言ってしまう、

「その女の子が大きくなったら、道重さんのような
アイドルになって欲しいと思いませんか?
生まれたばかりで早すぎるけど」

さゆは、ベッドの足元で無事の赤ちゃんが産まれて
ほっとしたのかベッドに伏せて眠っている萌を見て
それから抱いてる赤ちゃんを見ながら、
ただただ幸せそうな笑顔を見せるだけだった。

麻美はうなずいた。
「そうですね。道重さんにはもうすでに二人の可愛い
アイドルが居るのだからそれで十分ですね」


終わり