Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

小鳩

 

 

あれから1年が立っていた。
アヤカはアジア支局の職を離れて多少自由な
立場になっていたので、カノンの影響もあって
かっての人間の恋人ユウカとまたよりを戻して
付き合っていた。

二人で六本木界隈を歩いてる時だった。
ある親子と出会った。

母親は、小鳩だった。10歳ぐらいの女の子を
連れていた。その子はカノンにそっくりだった。
間違いなくカノンが小鳩に産ませた子供だった。
親娘は手をつなぎ楽しそうに歩いていた。

生れて一年なのにさすがに悪魔の血を引いている
その子は脅威の成長力を見せている。

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小鳩がアヤカに気づいて頭を下げた。

「お久しぶりね。その子があの時の子供なのね」

小鳩はうなずいて、
「はい。アヤカさんには本当に感謝しています。
妊娠してると知った時は戸惑いましたが、
すぐに、誰の子かわかりました。一年前の
8月8日に生れたの」

「そう。本当に良かったわね」

その女の子はアヤカを見詰めていたが、
その瞳が一瞬鋭く光るのを見逃さなかった。
アヤカが人間では無い事をわかったようだ。

親娘が去って行くの見ていたユウカは、
「あの人はどういう人なの?」

アヤカは少し考えていたが、正直に言う。
「彼女は私の友達と付き合ってた人間なの。

あなたと私の関係と似てない事もないわ」

 

ユウカはうなずいた。
ユウカはアヤカが人間では無い事を知っている。

ユウカはアヤカの腕を取ると体を寄せてくる。
そんなユウカの肩を抱きながら、
「今夜は私の所へ来る?」
ユウカはうなずいた。


その夜、アヤカはユウカをベッドで抱きしめながら
ある事を決意していた。

次の日、アヤカはカノンに悪魔のスマホで電話を掛けた。
直通の回線で誰にも盗聴されない回線で、
たとえサターンと言えども聴く事は出来ない。

「小鳩に会ったわ。可愛い女の子を連れていたわ。
あなたの子供よ」

「そう。良かった。幸せそうだった?」
「羨ましいぐらいに幸せそうだったわ」

 

アヤカはその母娘の姿を撮った画像をカノンに送った。

 

カノンはその画像を受け取ると、

しばらくの間、黙ってその想いを噛みしめて
いるようだった。

 

「ありがとう。悪魔のスマホは小鳩の持ってる物は
回線を遮断されたので、様子がわからなかったの。

それで、電話して来たのはそれだけでは
無いみたいね。言って」

 

アヤカは、居住まいを正すと、
「あのね。私もユウカの子供が欲しいの」

「わかった。そう言うと思った」

「その、昨夜ユウカと寝たの」
「って、さっそくあなたの血を飲ましたのね」

「違うわ。ユウカを妊娠させると色々と負担を
掛けるし、それはしたくないの」

「そう。でも子供は欲しいという事は」

「そう。子供を産むのは私よ」

 

「・・・・逆なら私のように簡単なんだけど」

「お願い。あなたなら何か良い方法を知っているでしょ」

しばらくカノンを考えていたが、
「相当の決意がいる事よ。サターンの補佐役として
ナンバーツーのアヤカが、そんな事を知られたら
破滅よ。それも良いのなら・・・」

「かまわないわ」
「ユウカを愛してるのね。本当に」

「愛してるわ」

「わかった。ユウカの血をアヤカが飲んでも
ダメなの。人間の遺伝子は弱いから天使の
体の中を通るうちに消されてしまうの。
だからユウカの血を直接アヤカの子宮に
送り込んで卵子に受け取らせるの。
出来る?」

「わかった。出来るわ。ありがとう」

「頑張ってね。無事にあなた達の子供が
産まれる事を祈ってるわ」

「うん。頑張る。ユウカの子供を絶対に産むわ」


終り。

 

(画像は九歳の頃の花音)