Dark blueの絵日記

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

悪魔との契約 最終章 六

猫の罪状


小鳩は大天使アヤカに、
「神子に会いたいの。どこにいるの?」

「あなたは神子の契約者ね。今、神子はサターンの
名の元に査問委員会に掛けられてるの」

「査問委員会って神子が何をしたと言うの?」
「第一に、神子とその契約者は色々契約違反を犯したとして
調べられてるの」

「契約違反って何なのよ」
「それは、あなたも身に覚えがあるでしょ」

身に覚えが無いとは、とても言えないのだけど、
神子に色々我がままを言って困らせた事は度々だった。
例えば、高級車やマンションを買って貰った事などなのか。


「とにかく、わたしをその査問委員会の行われてる場所に
連れて行ってよ。神子が悪いわけでは無い事を言いたいから」

「それは出来ないわ。人間の契約者の出る幕ではないの」

「いいからそこへ案内しなさいよ!でないと・・・」
小鳩は作業着のつなぎを脱ぐとその下に着けていた全身タイツの
腰に差していたケースから、ナイフを取り出した。

その刃渡り18㎝のサバイバルナイフをアヤカに突きつける。
「さあ!査問委員会へ案内しなさいよ」

アヤカは厳しい眼で小鳩を見据えると、


「そんな玩具を振り回すと、どうなるかわかってるの」

「このナイフは玩具じゃないわ。死ぬ覚悟は出来てるわ。
最後に神子に会いたいの。私に殺されない内に案内して」

 「あなたは私を殺せないわ。そのナイフで人殺した事があるの?」
小鳩は首を振って、
「殺した事は無いわ。でも神子に会うためには何でもやるわ」

「あなたがここで乱暴狼藉をはたらいたりナイフで脅かしたり
した事が、神子がかえって不利になる事がわからないの」

自分のした事が神子の不利になる、小鳩は言葉に詰まった。

アヤカは小鳩を諭すように見詰めると、
「さあ、ナイフを仕舞いなさい。そしたら神子の今の現状を
話してあげるわ」

小鳩はうなずくとナイフを皮のケースに収めた。

 

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アヤカはまず自分と神子の関係を語った。

「神子とは古いつき合いなの。出会ったのは二千年前よ。
二人がまだニンフだった頃。ニンフとは人間界で言う、
妖精の事よ。
天上界の全知全能の神のゼウスに仕えてたの。
このゼウスがとんでもないスケベの神なの、
綺麗な女神やニンフを手当たり次第に欲望のままに
自分のモノにするわけ。当然若くて美しいニンフの私も
ゼウスのモノになっちゃうのだけどね」

そこで小鳩は口をはさんで、
「その、スケベな神のゼウスの事なんてどうでもいいから、
今の神子の事を話してくれない」

アヤカは咳払いをすると、
「わかった。その後二千年立って私は運良く大天使に
昇格して、今はサターンに仕えてて主にアジア一帯を
任されて統治してるの。
神子の方は未だに悪魔の主たるサターンの使途として
下等な人間共と契約する仕事をしてるわけ。
もっと要領よくすれば良いのにと思うのだけど」

下等な人間とは自分の事かと思う。
神子は、ゼウスやサターンに取り入ったり出来なくて、
要領が悪い悪魔なのか。

「さっき言った契約違反の件だけど、限度額以上のお金を
使い込むのは、神子の裁量にまかされる事もあるし、
致命的な違反とは言えないのだけど、
第二に、神子はもっと致命的な違反を犯しているようなの」

「致命的な違反って何?」

「人間と契約した悪魔が、絶対に犯してはいけない違反があるの」

アヤカは、組んだ脚を組み直して、


「それは、絶対に人間を愛してはいけないのよ」


つづく